保険屋のつぶやき8

魂が呼ばれるって信じますか。

以前、ある保険会社の資料請求者先へ行く機会がありました。
街中から随分離れた山あいの町からさらに山の中に入っていく集落です。家が特定出来ず携帯から電話すると全く圏外。仕方なく次回新たに携帯を契約したくらいです。

請求者は30代半ばの女性。
伺うと両親と3人で待ってあり、
お嬢さんとお母さんの入院保険のご依頼でした。各々の内容を詰めていき、承諾頂いたあと+αのご案内をしました。
7大疾病になったら一時金が出るタイプの商品です。当時支払い要件の良さで必ずお声かけしていました。
“なら、俺が入ろう。”
予定でなかったお父さんが声をあげました。
聞けば無保険。70代半ばです。
無保険ならケガで入院しても出るような入院保険をご検討なさった方が良くないですか。
と言いましたが、
“いいや、これでいい。”

2度目の訪問でご契約いただき、お父さんの保険も成立しました。

3か月ちょっと経ったある日。
お嬢さんから電話があり、
“父が大腸がんと心筋梗塞で入院しました。”
ご契約から90日経っているだろうかと一瞬緊張した程です。

ひと月程で退院されたので、お見舞いに行きました。
“2、3日前に書類出したので、早く出るよう言うてくれ。”
渡された医師のメモを見るとステージ4。
治療はしない旨の走り書きが目に飛び込んで来ました。
ご本人は気が付かなくも、告知を頂いた時には既にステージ4の状態だったのだろうか。

それからひと月程してお父さんは亡くなられました。

時々ご様子伺いでお母さんに会いに行くと、
“あん時は保険に入っといて助かったもんな。”
と未だにおっしゃいます。
“いやぁ〜、そもそもこちらにお伺いしたのは  お嬢さんの資料請求ではなくて、
お父さんに呼ばれて来たような気がするんですよ。”

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?