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世界はきみを入れる容器ではない。

この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。

朝、池澤夏樹のスティルライフの冒頭を読みながら、いろいろ感じることがあり、noteに書き留めておきたくなった。

家庭と仕事の往復から少し距離をとり、自分の内面と向き合う時間を意識的にとったことで、そういった時間の大切さを再認識することになった。

スティルライフは、日常や目的意識とは切り離された読書ができる、自分にとって稀有な一冊。

この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。
でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。
大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
たとえば、星を見るとかして。
二つの世界の呼応と調和がうまくいっていると、毎日を過ごすのはずっと楽になる。心の力をよけいなことに使う必要がなくなる。
水の味がわかり、人を怒らせることが少なくなる。
星を正しく見るのはむずかしいが、上手になればそれだけの効果があがるだろう。
星ではなく、せせらぎや、セミ時雨でもいいのだけれども。

#スティルライフ #読書 #エッセイ #池澤夏樹 #マインドフルネス

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