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『マーケティングつながる思考術』連続講座⑤~バズれば売上は上がるのか?~

SNSの普及によって発生したバズマーケティングブーム。
そもそも、「バズる」とは、多くの蜂が群がっている様子を表す「buzz」から生まれた言葉であり、大多数の人が同じコンテンツについて話題にしている様子を表しています。

今回は、世間で魔法の杖のように思われてしまいがちな「バズ」について、より解像度高く理解できるようにポイントを解説します。


こんな人におすすめ

・バズマーケティングについて理解したい人
・バズマーケティングでよくある失敗事例を学びたい人

この記事を読んでわかること

・バズマーケティングの役割について
・バズるために必要な条件について

バズマーケティングが担う事ができる役割

バズマーケティングは、主にソーシャルメディア上でコンテンツが拡散される事を狙うマーケティング手法です。
コンテンツがバズることによって、コンテンツに触れた人の強い興味喚起に貢献する事ができる施策です。一方で、バズが起こるかどうかは自社でコントロールできないことに注意が必要です。

次に、マーケティングファネルでバズマーケティングを確認していきます。

バズマーケティングが最も効果を発揮するのは、認知獲得・興味喚起の分野です。「購入にまで影響するのでは」と考える人もいますが、バズコンテンツの性質を考えると難しいと言えます。

また、バズるコンテンツは基本的に短尺なものがほとんどです。そのため、商品・サービスの理解促進までは至らないケースがほとんどです。

バズマーケティングにおいても、施策に対する期待が過剰すぎる事が医療ミスの原因と言えます。
次からは、よくある2つの医療ミスの原因について解説していきます。

なぜそのコンテンツはバズらなかったのか?

バズるためには、SNS時代の情報設計に基づいたコンテンツ設計をする必要があります。その要素が以下の3つになります。

  1. Talk-able

  2. Buzz-able

  3. Share-able

Talk-able(伝えやすさ)

そもそもですが、バズは人が誰かに何かを伝えたい・教えたいという想いから生まれるものです。では、誰かに何かを伝えたい・教えたいとなるときはどんな時でしょうか?
それは、感情が動かされた時です。日常生活の中で、人は全ての物事に対して、事前の期待と事後の評価をしており、その中で事前に期待していた以上のものに触れた時に感情は動きます

人が誰かに何かを伝えたい・教えたいという心の振り子が振れる時には、図の6つの琴線スイッチ(感情スイッチ)が刺激されています。

バズマーケティングを行う際には、どの琴線スイッチを刺激しようとしているのか、そして生活者が琴線スイッチを刺激された後に、「どんな感情を感じ、どんな言葉で人に教えるのか・共有するのか」まで考えてコンテンツを設計することが大切です。

Buzz-able(バズりやすさ)

「Talk-able」が「個人の感情の動き」に対して、「Buzz-able」はコンテンツが話題になりやすい「世の中の空気」を表します

例えば、四季のイベントとの相性や、世の中のニュース、時代の節目などのような「空気」を抑える事ができているかがバズる確率を高めると言えます。

Share-able(共有しやすさ/情報摂取のしやすさ)

「Shara-able」は、コンテンツが受け入れられやすいコンテンツであるかを表します。

現代の情報は、SNSの普及により情報を吸収するために「噛む」必要のある情報(新聞等)から「飲み込める」情報(動画等)に変わっています。このような時代では、コンテンツをただ作ればいいのではなく、摂取しやすいものになっているかという観点が重要になります。

そのような観点から、初代R25は新聞を見開き片面に集約し、たった2分で情報を摂取できるようにした情報の編集イノベーションであると言えます。

以上、バズるためのコンテンツ設計に必要な3つの要素について解説してきました。まとめると、バズるコンテンツは感情を動かすものであり、世の中に要求されやすい空気ができていて、コンテンツそのものが摂取しやすいものになっている必要があります。

バズマーケティングで売上につながりやすい条件とは?

冒頭で解説した通り、バズマーケティングはそもそも認知獲得と興味喚起に有効な施策です。ですが、「バズった結果売上が上がる」がありえないわけではありません。

例えば、日清食品のようにすでに多くの人が製品を認知しており、製品パフォーマンスの高さ、価格の安さ、手に入れやすさを理解している状態(想起につながる要素が高い状態)であれば、バズを通して瞬間的に想起率を高め、再想起させられれば売上につながりやすいと言えます。

このように、再想起によってすぐに売上に貢献できる商品・サービス(特に最寄品)はバズマーケティングとの相性がいいでしょう。

買回品や専門品でバズマーケティングを行うことは無駄ではありませんが、ほとんどが「そのうち客」のためすぐに売上を期待するのは難しいでしょう。ですが、バズマーケティングは認知や興味喚起に貢献できるため、ニーズが顕在化した時の選択肢の1つとして思い出してもらいやすくなる効果は期待できます。

最後に、「バズ」という状態を理解するためには共有という「行動」と拡散しているという「状態」を分けて理解する事が重要です。
拡散とは、「状態」のため意図的にその状態を作ることはできません。そのような「状態」を作るためには、多くの人たちが共有という「行動」をするようなコンテンツを作る必要がある事を理解しておきましょう。

まとめ

  • バズコンテンツは、Talk-able/Buzz-able/Sharableの3つの要素を満たすコンテンツである

  • バズですぐに売上につながるのは、最寄品のみ

  • 買回品や専門品で、バズマーケティングを行うゴールは興味関心や想起集合に入る事で、売上をKGIにしないことが重要

  • ユーザーの眼が肥えてきているため、簡単にはバズらないことを理解する。バズマーケティングを実施する場合は、期待値の適正化が必須

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