見出し画像

第6回「性同一性障害で困ったこと、困らなかったこと」

今日はこれまで自分が、「頭は男で、身体は女性」の状態で生きていて、困ったことがあったのか?という話をしようと思う。

まず最初に、私は性同一性障害(性別不合)だ。身体が男と女半分ずつになっている。具体的にどういう状態かというと、「首から上が男で、首から下が女」になっているとイメージしてもらえれば幸い。で、基本的には男です。

基本的には困ったことは「ない」

トランスジェンダーなのでとっても生きづらいです~~~(><)とでも言った欲しかったでしょうか・・・?
人によりますが、案外困っていない人は多いです。
実際に、性自認と身体の不一致を感じていても、そのまま生活している人もいますし、学業や仕事を問題なくこなせている人もたくさんいます。
人として当たり前のことやってるだけですからね。

困ったことがないのは、性別以前に周囲から評価されることをずっと続けてきたから。

すごく簡単なことだと思います。

学校では勉強ができる人が評価され、職場では仕事のできる人が評価される。そして人間性がよければさらに評価は高くなっていきます。

たとえ、頭と身体の性別が食い違っていたって、上記は自分の努力次第で達成できるのです。自分はそうやって生きてきました。
だから基本的は何も困っていないのです。

人生においって性別で判断されるシーンってなんだろう

私は、28歳のときまで、自分が性同一性障害だとは気づかなかったけども、「人生で性別で判断されてしまうシーンがあること」は子供の頃から意識していたと思います。そして「性別で判断されないのは、学生のときまで」だろうと考えていました。

学生までは自由です。個性的であっても何も言われません。基本的には結果さえ出せばいいのです。その人が男か女かどうかは関係ありません。

性別のバイアスがかかりにくい職業を自然と選んでいた私

性別のバイアスがもっともない職業はなんだろう。
私は昔からクリエイティブの分野だと思っていましたし、そのときはそれで間違いなかったと思います。

私は自分の強みを知っていたし、社会人になっても結果さえ出せばいいだろう。基本的にはそういう考え方でした。
しかし、その時はまだ、自分の強みが通用しない(求められない)時代が来ることを考えていませんでした。

景気が悪くなって”無難な人採用”が重視され始めたときが一番困った

基本的に困ったことがないのですが、人生最大のピンチはここだったと思います。

リ ー マ ン ・ シ ョ ッ ク 後 の 就 職 活 動 ・・!!!

なんか景気が悪くなると、みんな採る側の心の余裕が一気になくなるんですよねーー。
男も女も無難で型どおりの人が欲しいわけですし、冒険してちょっとおもしろい人を採ってみようなんて思いません。

冒 険 し て ち ょ っ と お も し ろ い 人 を 採 っ て み よ う な ん て 思 い ま せ ん 。

自分が就職活動はじめる2年前は、景気回復とか言われてたのに、それがガラッと雰囲気変わってしまって、すごい変わったなーーーーと感じたのを覚えています。

この時は、就職活動うまくいかなかったなーと感じてますが(第二新卒に掛ける人が多かったし、本当にひどかったと思う)一概に性別のせいだったかというとそうでもなく、これ世の中が悪かった気もします。

本当は自分の強みで勝負したかったと思いつつ、時代が変わったし仕方ないかと思い、自分が今持っていたスキルで入れる会社に入りました。

就職活動してた時期は、自分が性同一性障害だと気づかなくて悔しいし、もし気づいて、それを踏まえてちゃんと就職活動したかった、という気持ちは残ってますが、それ以上に不景気という、自分の力ではどうしようもない何かがあったのでは・・・??という気がしています。

困ったこととはなんだったのか

日常的に困ることはありますよ。

例えば、自分は男ながらも、見た目は女性なので、「お姉さん」と呼ばれ、一瞬誰を指しているのか?と考え、「ああ、自分のことか」と理解するまでに3秒くらいかかるとか、その程度の困るならあります。

話を戻して、私が困っていない一番の理由は、
性同一性障害の人は生きづらそうというイメージがあり、他の人から見て困ると思われがちだが、それほど困るものでもないと思っているから、困っていない。これに尽きます。

「困りごとをそもそも作らない」というのが大事。
問題のないところに問題を作ったって意味がありません。
困っている人がいるみたいな見方をやめることが、困る人を減らすことができるかもしれませんね。

28歳の時「ゴメン、本当の性別女じゃなくて男だった」を食らった性別不合の当事者です。日常的に男女の性別使い分けを強いられそのまま根付いてしまった奇妙な人生。サポートや紹介していただけるメディアさんも募集しています。