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もったいない"が繋ぐ世界 〜工事現場で起きた奇跡の国際交流〜

こんにちは。埼玉県北部で電気工事士をしながら、「僕らの集会所」という地域の集まり場所を運営している岸隆幸です。
今回は、仕事と集会所の活動を通じて気づいた日本の消費文化、ゴミ問題、そして異文化交流の可能性についてお話しします。

物であふれる日本の家:電気工事士の気づき

物が多い日本の家屋の内部(イメージ)

「僕らの集会所」、つまり私の実家をリノベーションした時に気づいたんです。日本の家って、物がすごく多いんじゃないかって。

季節の飾りや思い出の品、使わなくなった電化製品など、本当にたくさんのものがありました。
電気工事の仕事で様々なお宅や中古物件を訪問すると、同じような光景を目にします。

「日本の住宅における所有物の数は、欧米諸国の平均と比べて約1.5倍多い」 

国際生活様式比較調査(2022年)

これは日本の文化を反映しているのかもしれません。
四季を大切にする心や、物への愛着、あるいは「もったいない」という感覚が、物を手放すことを難しくしているのかもしれません。

ゴミ問題、深刻です

工事現場で廃棄される家電

工事現場で見かけるんです。まだ使えそうな家電や建材が、どんどん捨てられていく。
「もったいないなぁ」って思うことが多いです。

確かに日本のゴミ分別システムはすごいです。
でも、分別だけじゃ根本的な解決にはならないかも。
物を大切に長く使うこと。
本当に必要なものだけを買うこと。
そういう文化も大切にしていかないといけないんじゃないかな。

サッカーの試合後、日本人がスタジアムのゴミを拾う姿ってよくニュースになりますよね。すごいことだと思います。でも、ゴミを拾うのも大事だけど、ゴミを出さないのはもっと大事じゃないでしょうか。

「ゴミ」が「宝物」に変わる魔法:外国人労働者の知恵

車の解体現場

日本のあちこちで、ちょっと不思議な光景を目にすることがあります。
古い工場跡や空き地の一角で、外国人の方々が中古車やバイクを解体しているんです。

最初は戸惑いました。
日本の整然とした工場とは全然違う雰囲気で。
でも、よく見ると面白いことに気づいたんです。
彼らは、日本人が捨てた車を大切な資源として扱っているんです。
解体した部品は故郷や他の国で再利用されるそうです。

この光景を見て、新しい気づきがありました。
日本では使い終わったと思われているものが、別の場所では貴重な資源として生まれ変わるんです。

私たちが「もう使えない」と諦めてしまうような車や部品も、彼らの手にかかれば新たな価値を見出されます。
これは「もったいない」という日本の伝統的な考え方が、国境を越えて形を変えて実践されているようにも感じます。

食卓から始まる国際交流:チャパティが繋ぐ縁

チャパティを作っている様子

栃木県の現場で、パキスタン人の作業者がチャパティを作る姿を見たんです。
私も自分で育てた小麦を製粉してうどん作りをしたりしているので、その生地作りに興味津々でした。

彼らと一緒に食事をする機会があって、パキスタンの家庭料理を楽しむことができました。
言葉は通じなくても、「美味しい!」という表情は万国共通だなと感じました。
でも、それ以上に心に残ったのは、彼らのおもてなしの心でした。

電気工事という職人の世界で、しかも異国の地で働いている彼らが、私たちに食事を提供してくれる。
その優しさに本当に驚きました。

何度か一緒に食事をする中で、興味深い違いに気づきました。
日本では「12時になったらお昼」という決まりきった概念がありますが、一緒に働いていた外国人の同僚たちはもっと柔軟でした。
2時に食べたり、4時に食べたり。
作業の流れを優先しつつ、食事の時間を自由に調整しているように見えました。

この経験は、仕事と食事のバランスの取り方に文化や個人による違いがあることを教えてくれました。
彼らの柔軟な姿勢は、私たちにも新しい視点を提供してくれたように思います。

モスクのリノベーション現場

古い一軒家をモスクにリノベーションしている現場に行ったんです。
そこで驚いたのは、バングラデシュ人の方々が作業中にカレーを作り始めたこと。

でも、彼らにとってはこれが当たり前のようでした。作業をしながら調理をする、その柔軟な姿勢に驚かされました。

よく観察してみると、彼らの仕事と食事の境界線が、日本人の私たちとは違うことに気づきました。
作業の合間に少しずつ調理を進め、皆で食べる準備をしていく。
それは単なる「休憩時間」ではなく、仕事の流れの中に自然と組み込まれた生活の一部のように見えました。

この光景は、私にとって新鮮でした。
日本の現場では、仕事と食事は明確に分けられています。
でも彼らの姿を見ていると、生活と仕事がもっと緩やかにつながっているような印象を受けました。

効率や時間管理を重視する日本の働き方と比べると、一見非効率に思えるかもしれません。
しかし、彼らの方法には、人間らしさや柔軟性、そして仲間との絆を大切にする姿勢が感じられました。

この経験は、私に「働くこと」の意味を再考させるきっかけとなりました。
効率だけでなく、人間関係や生活の質を大切にする彼らの姿勢から、日本の職場でも取り入れられるものがあるのではないかと考えさせられたのです。

「僕らの集会所」での挑戦:小麦で紡ぐ地域づくり

「僕らの集会所」の外観


これらの経験を活かして、「僕らの集会所」での取り組みを始めました。

  1. 国際交流モーニング  実際にバングラデシュの方を「僕らの集会所」のモーニングに招いたことがあります。彼らの作るカレーと日本の朝食が並ぶ様子は、まさに文化の融合を感じさせてくれました。

  2. 麦万博の開催と将来の展望  昨年は日本人の仲間のみで麦万博を開催しましたが、将来的には万国博覧会のような、各国の料理が並ぶイベントを目指しています。料理だけでなく、音楽も含めた多文化交流の場にしたいですね。

モーニングの様子

これからの夢:多様性を楽しむ地域社会へ

多国籍の人々が交流している様子

これらの取り組みを通じて、地域社会がこんな風に変わっていけばいいなと思っています:

  1. お互いの違いを認め合える地域に 外国人も日本人も、お互いの文化や考え方の違いを面白がれる雰囲気が広がればいいですね。例えば、隣に住む外国人家族と自然に料理を交換し合うような関係ができたらいいですね。「今日はカレーの香りがすごくいい匂い。ちょっと分けてもらえないかな?」って気軽に声をかけられる。そしたら向こうも「じゃあ、うちの味噌汁と交換しましょう!」なんて返してくれる。そんな風に、食べ物を通じてお互いの文化を自然に共有できる地域になったらいいな。料理の交換から始まって、やがては地域の人々が集まって多国籍料理パーティーを開くような、そんな温かい交流が生まれる場所。それぞれの文化の違いを楽しみ、尊重し合える、そんな地域社会を目指したいんです。

  2. 新しいアイデアで地域を元気に 外国の人たちが持ち込む新しい考え方や習慣が、私たちの地域に新しい風を吹き込んでくれるんです。そうやって生まれた新しいアイデアで、お祭りやイベントがもっと楽しくなったり、困っている人を助け合う新しい仕組みができたり。

一朝一夕に変化は起こりません。でも、私たちが今この瞬間に一歩踏み出すことが大切だと信じています。

すぐには目に見える変化がないかもしれません。しかし、長い年月を経て、少しずつ確実に変わっていくはずです。
私たちの子供たち、そのまた次の世代に、きっと変化が訪れるでしょう。

強引に今すぐ何かを変えようとするのは良くありません。
でも、私たちの小さな行動の積み重ねが、未来への種まきになるのです。

これからも「僕らの集会所」の活動を続けていきます。より多くの人が参加できるプログラムを考えたり、世界各国の料理と音楽が楽しめる国際交流イベントを開催したり。
SNSを使って私たちの取り組みを広く知ってもらうのも大切だと思います。

皆さんも、身近な外国人の方と一緒に料理を作ったり、食事をしたりしてみませんか?
それが新しい発見や理解のきっかけになるかもしれません。

一緒に、未来の世代のために、多様性を受け入れる土壌を作っていきましょう。今日の小さな一歩が、いつか大きな変化をもたらすと信じて。

#食文化交流 #地域づくり #国際理解 #小麦のチカラ #多様性


著者プロフィール

岸隆幸(きし たかゆき)「電気を減らす電気屋さん」として日々奮闘中の電気工事士です。「僕らの集会所」というユニークな場所を運営しながら、古民家のリノベーションや地域の人々との交流を楽しんでいます。

趣味と実益を兼ねて、ヤギを飼ったり小麦を育てたりしています。イベントスペースとしても集会所を活用し、最近では屋敷林の手入れや高い木々の剪定にも挑戦中。

日本の「もったいない」の心と、様々な国の人々との出会いから生まれる新しい発見を大切にしています。そんな日々の気づきや学びを、みなさんと分かち合えたらいいなと思っています。

「僕らの集会所」について

「僕らの集会所」は、築60年の古民家をセルフビルドでリノベーションした、みんなの居場所です。

  • 活動テーマ: 「いまあるもの」でモノ・コトを「つくり続ける」空間づくり

  • 特徴:

    • 庭の畑で小麦や野菜を育て、ヤギを飼育する"半"自給自足的な生活

    • できることを日々コツコツと積み重ね、育てていく姿勢

    • レンタル可能な施設として、皆さまの活動や癒やしの場を提供

私たちは、あなたの「やりたい!」にチャレンジできる場所、誰かの「やりたい!」を応援できる場所を目指しています。ここは、みんなの思いが詰まったパッチワークのような空間なのです。

関連プロジェクト

麦麦クラブ 北関東を中心に活動する、麦を愛する3人組のプロジェクトです。農家ではない3人が、それぞれの地域で麦を育て、独自のコミュニティを形成しています。国産麦をベースに地域を越えて繋がる新しい試み。農家でない"遊麦人"たちが、麦を通じて人と人、地域と地域を結び、新たな可能性を探っています。

年間講座「麦づくし講座」 「僕らの集会所」で開催している、麦の魅力を丸ごと体験できる年間講座です。種まきから収穫、加工まで麦の一生を学び、自分たちで育てた小麦を使ってパンやピザ、うどんなどを手作りしたり、大麦から麦茶を作ったりと、食のワークショップも大切にしています。しかし、この講座の最大の魅力は、共に学び、作り、食べる過程で生まれる講座生同士のつながり。麦を通じて育まれるこのコミュニティこそが、私たちが最も大切にしている要素なのです。

BOKURAnoツアー 仲間たちの場所や地域に出かけて、その土地ならではの体験を楽しむユニークなツアーです。山登りやキャンプ、梅仕事ワークショップ、モック紅茶作りなど、活動は多岐にわたります。このツアーを通じて、出会った仲間たちの良さに直接触れ合う機会を提供しています。各地の魅力を発見し、人と人とのつながりを深める、まさに「僕らの集会所」の理念を体現するプロジェクトです。

合唱隊「麦唱」 麦づくし講座から生まれた音楽プロジェクトです。オリジナル曲「麦唱」を中心に活動しており、この曲は講座に参加したプロミュージシャンのご夫婦(ノボさん、はるみさん)が作曲してくれました。日常的に歌うだけでなく、講座やツアーでも歌っています。最近では地域イベントでステージに立ったり、CDやデジタル音源の配信を行ったりと、活動の幅を広げています。音楽を通じて、麦の魅力と仲間との絆をさらに深めています。

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  • メールでのお問い合わせ: yukio@bokusyu.com

お問い合わせの際は、件名に「僕らの集会所について」とご記入いただけますと幸いです。 通常、2-3営業日以内にご返信いたします。

「僕らの集会所」は埼玉県北部に位置しています。詳細な所在地や交通アクセスについては、お問い合わせの際にお知らせいたします。

皆様のご連絡をお待ちしています。「僕らの集会所」で素敵な体験ができることを楽しみにしています!

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