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ギリシャ初日ロマ人親子に携帯をスられる #19歳僕のギリシャ2ヶ月放浪記5

夢の国へいざ出発

朝に荷造りを終え、格安航空ライアンエアーに乗ってギリシャに向かうため、ローマから少し離れたチャンピーノ空港にバスで向かった。

空港は多くの人で賑わっていたが、定刻で飛行機は離陸した。そして定刻でアテネ国際空港に到着した。ライアンエアーは定刻通りに到着すると機内でファンファーレが流れ、乗客全員で拍手をする習慣がある。ファンファーレを聞けてラッキーと思いながら、空港を出て市内に向かうバスを探していた。

夢の国到着早々に厄介な奴に絡まれる

なかなか見つからなかったが、やっとの思いでバスに乗り込んで席に座った。すると隣にチェロのような大きい楽器を持った40代くらいのギリシャ人男性が座ってきた。バスが出発すると同時に話しかけてきた。「どこに行くんだ?」と聞かれ、とりあえず市内中心にあるシンタグマ広場に向かうと言った。すると「オモニアにだけは絶対行くなよ」と言われた。少し聞き覚えのある街であったため、なぜかと理由を聞くと、「ドラッグ中毒者の巣窟だからさ」と答えてきた。よく考えてみると、僕の宿泊先はほぼオモニアにあると言っても過言ではない程に近い場所にあった(激安なAirbnbの裏の理由がわかった)。なんでこのおじさんは僕の事を脅かしてくるのだろうと思っていた傍から、さらにスリの発生率や誘拐の話、ギリシャのあらゆる危険情報を喋ってきた。経済破綻した国だからそれくらいは覚悟していたため、なんとも思っていなかったが、とりあえず永遠に聞きたくもない情報を伝えてくるおじさんが嫌になってきた。幸いにもシンタグマ広場の5駅ほど手前で降りて行ってくれた。やっとおじさんではなく、街の風景に集中できると安心した記憶がある。

ギリシャ神話を感じる街並みとPOPのコラボ

小学生の時に「パーシージャクソンとオリンポスの神々」というギリシャ神話の神と人間とのハーフに産まれた子供たちのシリーズ本を読んで以来、ギリシャ神話に夢中だった僕の一つの夢が叶ったと、街の風景を見ながら感傷深い気持ちに浸っていた。
街の風景は思った以上に東欧感が強かったが、街のあちこちに散らばっている古代遺跡や歴史的建造物を見るだけで胸が高鳴っていた。早く外に出て歩きたいなと思っていたところでシンタグマ広場についた。

シンタグマ広場は、広場というよりかは小さな公園だった。周りは電線で引っ張られたバスで溢れかえっていた。今まで見たことのない国の風景にとてもわくわくしていた。暗くなる前にチェックインを終わらせたいと思っていたため、Google Map頼りに宿泊先に向かった。宿泊先まで歩いていると気付く事がある、それは落書きの多さだ。もうスペースがないんじゃないかというくらい建物は落書きで埋め尽くされている。

落書きで埋め尽くされたアテネ市内

ギリシャ1日目を飾るスブラキと引き換えに失ったiPhone

そんな街並みを歩く事40分程で宿泊先に着いた。街はすでに暗くなりかけていた。インターホンを押すと陽気な30代ギリシャ人男性が登場した。僕が泊まる部屋や洗面所などを簡単に案内してくれた。彼が住むアパートの一部屋を貸しているため、寝る場所以外は全て共有だ。案内が終わるとすぐに「チャオ」と言って家を出て行った。僕もとりあえず荷解きを終え、夜ご飯を食べに外に出ることにした。

宿泊先から歩いて1分程の場所にギリシャ料理屋(ギロス・スブラキ専門店)があった。高校生くらいからずーーーっと食べてみたかったギリシャ料理だ。迷うことなく入店すると陽気な男性キッチン店員3人と受付をしている女性店員がいた。

アテネ初日に食べたスブラキ
大きな窓ガラスがある内装のお店

とりあえずスブラキを注文し窓際の席に座った。僕の席の横には当時25歳の眼鏡を掛けたギリシャ人女性(シドレア)が座っていた。女性店員と話している感じ友達のようだ。彼女と目が合い、料理を待っている間に他愛もない会話をしていた。思った以上に会話が弾み、料理を食べながらも話していた。その時、店内にロマ人の3人組親子(母(40代)・娘2人(10代前後))が店内に入ってきて、僕の席に向かって歩いてきた。すると母がいきなり、僕が食べていたスブラキのポテトを手掴みで取った。驚いた僕はとりあえず「何をしているんだ」と言った。シドレアや店員たちも出て行けという仕草をしている。急に母が申し訳なさそうな表情になり、3人組親子は店内を出て行った。

これが全ての悪夢の始まりだった。テーブルの上に置いてあった携帯がなくなっていることに気が付いたのは、この事件の10分後だった。

つづく。

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