ファンタジーの世界
魔法というものの種類
雑談です。
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大雑把に魔法使いと言った時に、実はいくつかの種類があると思っている。魔法というものを生み出す仕組み、原理が異なるというものであって、原理が同じならば西洋で〇〇と言うものが東洋で言う××に該当する、なんてこともあると思っている(当然、文化が違うので別物ではあるのですが)。
枯渇するもの
魔法と聞いてアニメやら映画やらを思い浮かべた時、その“魔法”や“魔力”というものは枯渇するだろうか。例えば、ハンターハンターの『念』は枯渇する。つまり、念を使いすぎると限界が来てバテてしまったり、しばらく休まないと使えなくなったりしてしまう。
念、やオーラ、魔力(MP)といった、“身にまとっているもの”を不思議な力に変える場合、魔法というものは枯渇する。逆に言えば、身にまとえる量を増やす訓練をした者が強くなる。同じような魔法が登場するものとして、最近アニメ化された『葬送のフリーレン』が挙げられるのではと思います。
“周りに漂っているもの”を使う場合も、枯渇という概念が存在する。精霊から力を借りるようなものや、植物や動物などの生命力(が空気中に漂っているもの)を利用するようなものである。このタイプの場合、効率的に魔力に変換する力や、より多くの生命力を取り込む(扱う)力を鍛えることになる。
ところで、かの有名な、額に傷のある少年が主人公の魔法学園ファンタジー映画は、魔法に枯渇という概念がないように思う。
杖を使う魔法の多くは、杖を“触媒”にして、錬金術のごとく(対価なしに)魔法を生み出すことができる(ただし魔法を使う能力を備えておく必要がある)。空飛ぶホウキを乗りこなせるのは運動神経の良さと経験によるもので、例えば変身が得意な先生は、変身のセンスと経験値が高い(ために完成度が高い)ということなのかもしれない。
さてかの有名な学園ファンタジー映画には、異なる種類の魔法も登場する。
一時的な変化の薬は、杖を用いた魔法が使えない人でも、調合や使用が可能と思われる。薬師が魔法使いと言われる世界では、枯渇という概念はない。強いて言うなら、材料に限りがあったり、作り方に制限があったりして、時間的な制限があることが多い。自然には不思議な力があり、それを借りて薬(や道具)を作るという点では、精霊の力を借りるタイプの魔法と似ているかもしれません。
ここまでは、自然に存在するものを使っていましたが、“縛ることで力を生み出す”ものもありますね。
陰陽師の使う式神は、霊を使役する使い魔のような存在として描かれたり、神と契約をして縛りを設けて力を借り受けたりします。
こんなところで物理の話をしても仕方がないのですが、エネルギー保存則というものがあり、バネを縮めると、元に戻ろうとする力を生み出すことができます。それと同じように、バネを縮める(縛る)力を高めることで、強いバネ(式神など)を使い力を引き出すことができるようになります。動物などをころして人を呪うタイプの世界もありますよね。
縛る、というような概念が存在する力の場合、その原理は複雑であることも多く、世界観を細部まで作り上げる必要があります。例えば、陰陽師や呪術師などの呪ったり縛ったりするものはもっとも緻密な設定が必要です。また、薬草などを調合することで生み出される力については、力の限界(その世界の“魔法”で治せないもの、作れないものはなんなのか)や、薬の調合方法などが明確であると世界観がしっかりします。念やオーラのような自身から生み出される力を変換して用いるものについては、逆に力の自由度が高いですから、力の詳細を決める必要が出てきますね。杖を使い、呪文を唱える世界ならば、MPのようなものを設定し、枯渇という概念を生み出すことも力のインフレを防ぐひとつの手です。
まとめると、魔法(やそれに準じる力)というものにはいくつかの種類があるように思います。どこから力を引き出しているのか、その世界の強さとはどのように決まるのか、力の限界はあるのか、あるならその仕組みとはどんなものか、整合性は取れているか、それらがしっかりと描かれている世界は見ていて(読んでいて)楽しいなあと思います。