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坂を降ろうとする台車をしっかり掴んでいた。日々を手放すのが怖かったから。転がり落ちるのが怖かったから。でももしかしたら、片方の手でも十分だったかもしれない。不安なら、足でも何でも使って。 怖くて離せなかった、もしその一方の手で。 涙を隠すのに、いつも両手で顔を覆っていた。誰にも見られたくなかったから。どうせ、誰もいないところで泣いていたのに。 もし、立ち上がって涙を拭いて、そっと離したその一方の手で。 手持ち無沙汰で、訳もなく両手をポケットにしまっていた。自信があるよ