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クリームソーダシンドロームナポリタンスペクトラム

「ありあわせのハッピーエンドよりも心底救いようもないバッドエンドのほうがマシだった!」とベッドで悶え転げる夜がある。ここらのバカ平和な私生活は生ぬるい幸福と形容する他ない。生ぬるい幸福は、なにかに似ている。例えば、クリームソーダ。生ぬるい幸福と同じ味をしている。例えば、晩夏の夜風。生ぬるい幸福と同じ肌触りをしている。例えば、ハーゲンダッツのチョコレートアイス。生ぬるい幸福と同じ色をしている。

玉ねぎをいためるとだんだんと透明になっていく。幼き日々に似ている。ナポリタンは見た目のかわいらしさからは想像もつかないくらい重たい味をしている。騙されちゃいけない。もしくは、騙されたまま食べ尽くしてしまえたらいい。致死量の幸福に包まれ"救い"だなんて形容する早朝があってもいい。

たとえ話ばかりしている自分にハッとする。新しい罪の芽を摘んでしまいたいと間抜け顔で画策する昼下りがある。本来もっと自由に前後運動できるはずの生活様式は日常の名のもと膠着している。靴紐がたわんで遠くへ出掛けられない日暮れ時がある。
毎日はほとんど無意味だけれど、円環の構図に嫌気が指すこともあるだろうけれど、誰も首に手をかけてくれないから、もう少しだけでいい。息をさせてほしい。

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