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現れる

娘がモーツアルトとかベートーヴェンのピアノソナタを弾くようになるお年頃になりました。小さい頃はギロックやカバレフスキー、クレメンティのソナチネなどを弾いていましたが、年があがるにつれ「よく聞く」曲も弾くようになりました。
 YouTubeもあまり見ないし、好んで音楽を聴こうとしない娘は先生に与えられたものを弾いているうちにその曲が好きになるタイプ。娘の同級生は基本的に自分が好きな曲を弾き、あまり好きではない与えられた曲を弾くととっても手こずるそうな。

娘はお見合い結婚で幸せになれるタイプ。お友達は恋愛結婚じゃないとやっていけないタイプだね、と話しています。

 コンクールの課題曲が発表になると、まず私が隅から隅までチェックして知らない曲も全て聞き「この曲(私が)好き!」というものを決めます。その後、娘が一通り聞き好みが合致すればその曲に、合致しなければ「この曲こんなにいいんだよ!」とアピール大会して、そんなにこだわりがない娘は「じゃあいいよ」と言って譲ってくれることが大半です。

 娘が弾く曲なんだから娘が好きな曲を弾けばいい。至極ごもっともな意見、もちろんわかっております。でも、毎日下手くそな練習を聞かされるこちらの意見だってあってもいいじゃない笑

 もちろん優先順位の一位は先生のご意見です。「これにしなさい」とはめったに言われませんが「これ弾いて欲しいと思ってたんだよね~」とか、ある時は音源も楽譜のコピー(たいていはこちらで準備するので先生が用意していてくださることは滅多にない)も準備してあって「抗えない雰囲気」があり娘も空気を読んで「わかりました(苦笑)」となることもあります。

 まあこだわりがない女なのでなんでもいいんです。本当に。

そんな中のソナタの話。モーツァルト、ベートーベン、ハイドンなど「古典」というカテゴリーにいる方たちのピアノソナタは例外はもちろんあるけれど、正直譜読みはそれほど手こずらないと思うんです。ロマン派から近現代の曲のような和音の意外性が少なくて「次、そうなるよね」みたいな音の収まり方をするので、弾いていて間違ってもすぐに気づけるので「とりあえず全部を弾けるようになる」まではあまり時間がかからない。

 ところがそこからが問題。楽譜通り弾くことは当然ですが、そこに肉付けをしていって「古典の音楽」であり「モーツァルトらしい」あるいは「ベートーヴェンらしい」音色でかつ「表現」をしなければならない。難しい~~。私はそんなこと考えたこともなく弾いていたな~と思いながら、娘のピアノを横で聞く。弾けるようにはなる、でもなかなか「モーツァルトっぽく」ならない。先生に言われたことをきちんと守っても、練習時間を増やしても「モーツァルトならこの人!」と思っているクララ・ハスキルさんの音に近づけない。コンクールは近づいてくる・・・・どうする・・・となる。

ああでもない、こうでもないと言っていたコンクールの2週間前。突然「この音じゃない??」という音が現れるのです。もうそれは「現れる」としか表現できないほど突然に。いや~~~出てきた~モーツァルト~♫と思ったこと数回あり。先日はベートーヴェンのソナタを弾いていて、これもなかなか現れてくれなかったけれど直前に到来。娘は「古典の人は2週間前に現れるんだね」と言っておりました。

https://youtu.be/QynFwdNrDm4

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