見出し画像

異世界魔王ライフ。第34話。魔王と、義賊シルバー・アルセーヌ(後編)

(前回のあらすじ)

異世界魔王をやっている、キール(以下俺)。

魔王城で、休息をしようとしていた俺達に、
シルバー・アルセーヌ(以下シルバー)が、
祖父の形見、時の宝珠を取り返す為に、
単身で、乗り込んできた。

どうやら、俺と同じく、異世界転生者で、
疲れてるとはいえ、ガンマ(以下γ)と、
コピーガンマ(以下コピーγ)を、瞬殺で倒した。

そして、コピー魔王(以下元魔王)と、
シルバー・アルセーヌとの、
一騎打ちが、今、始まろうとしていた……。

…………魔王城、幹部達の間…………

元魔王「待たせたな。魔王の力を見せてやる!。
他の者は、手出しをするなよ!!」

シルバー「何人来ようが、負けないよ!!」

コピー魔王は、
俺から借りた、アダマンダイアの剣。
もとい、魔王の剣(魔剣)で、
シルバー・アルセーヌを攻撃した。

シルバー「なるほどね。さっきので、
手の内が分かったのか。だけどね!!」

シルバー・アルセーヌは、素早い動きで、
攻撃を自分の剣で受け流し、反撃に出る。

シルバー「剣の使い方が、出来てないんだよ!」

シルバー・アルセーヌは、
コピー魔王の魔剣を弾き、
魔王の剣は、コピー魔王の手元から離れた。

元魔王「グッ!!」

シルバー「魔王って、そんなモンなのか?
なんか、ガッカリだなぁ」

シルバー・アルセーヌは、
余裕な様子で、コピー魔王を見下していた。

元魔王「ナメるな!!特殊能力「破壊者」!!」

コピー魔王の「破壊者」が空間を破壊していく。

シルバー「無駄だよ。
特殊能力「ドレインタッチ」!!」

そう言うと、「破壊者」の力を吸収していった。

元魔王「……やはりな。さっき、
コピーガンマ達を倒したのは、この力か。」

シルバー「そういう事。いかなる力があっても、
勝つのは、不可能さ。素直に諦めなよ。」

元魔王「さっきっから、お喋りが多いな。
お前は、青い薔薇の、花言葉を知ってるか?」

シルバー「青い薔薇は、存在しない。
つまり、不可能って意味だろ。当然な。」

元魔王「それじゃあ、教えてやるよ。
青い薔薇の、本当の花言葉を、なあ。」

そう言うと、
コピー魔王は、魔王の剣を拾い、構えた。

元魔王「それは「不可能な事は無い」だぁー!」

コピー魔王は、魔剣を抱えて突撃をしていった。

シルバー「何度来ようが、無駄……!?グッ!!」

シルバー・アルセーヌは、
衝突寸前で、かわした。

元魔王「さっきまでの威勢は、どうした!?
ずいぶん、焦ってるじゃねーか。」

シルバー「……魔剣に、
「破壊者」の力を、乗せましたか。
危うく、殺られる所でしたよ。」

元魔王「次は、本気でいくぜ。」

コピー魔王が、魔剣を構えると、

シルバー「……分かりました。私の負けです。
魔剣を、収めて下さい。」

シルバー・アルセーヌは、言葉を続けた。

シルバー「私の「ドレインタッチ」で、
「破壊者」の力を抑えても、魔剣の攻撃が来る。
魔剣を抑えても、「破壊者」の攻撃が来る。
つまり、私の詰み。です。」

元魔王「……そういう事だ。」

コピー魔王は、魔剣を収めた。

シルバー「私は、
無駄な争いは、しない主義なんです。
私は、時の宝珠の被害者が出ないように、
取り返しに来た。ただ、それだけですよ。」

元魔王「それ、なんだがなぁ……。」

コピー魔王は、複雑な顔で、俺を見た。

俺『時の宝珠。俺が、使っちゃった。テヘッ♡』

俺は、可愛い顔をして答えた。

シーン……。

しばらく、無言の時間が過ぎて。

シルバー「え"え"え"え"え"え"え"え"え"!?!?」

シルバー・アルセーヌは、
今日一番の、絶叫をした。

やっぱり、知らなかったんだな。

俺達は、説明した。

シルバー「……って事は、
時間の歪(ゆが)みを、お前が、倒したのか。
祖父でも、倒せなかった、あの魔物を。」

俺『そういう事だ。』

正確には、俺達。だがな。

シルバー「……それなら、
私が負けるのも、納得がいくな。」

俺『俺達は魔王軍だが、
無駄な血は、流したくない。
賢明な判断で、助かるよ。』

シルバー「でもなー。
シルバー・アルセーヌとして、
祖父の遺産を取り返せない。ってのは、
名前に傷が付くっていうか、マズイんだよなぁ」

レディ(以下女神)『それなら、
コレを、持っていけば良いわ。』

レディの手元には、
俺が使った、時の宝珠があった。

女神『これは、
私の特殊能力で作った、レプリカよ。
見た目ではバレないし、時の神の力は無いから、
今後、被害者が出ることは無いわ。』

シルバー「はははははははははははははは!!
義賊シルバー・アルセーヌが、
贋作(がんさく)を、掴まされるとはなぁ。
面白い!!確かに、時の宝珠は、頂くぜ!!」

そう言うと、レディから、
時の宝珠(偽物)を受け取り、

シルバー「この借りは、後で返すぜ!アバヨ!」

そう言うと、
シルバー・アルセーヌは去っていった。

俺『……なぁ、コピー魔王。』

元魔王「……なんだ?」

俺『シルバー・アルセーヌが、
もし本気だったら、お前、勝てたか?』

元魔王「……さぁな。
お互い、タダじゃ済まない。だろうな。
まぁ、負ける試合は、したくないがな。」

そう言うと、魔王の剣を、俺に返して、

元魔王「ブラザーが居なかったら、
負けていたのは、俺様の方だったかもな。」

そう言うと、わずかに笑みを浮かべて、
そっぽを向いて、小声で言っていた。

俺『何か言ったか??』

元魔王「……何でもない。」

こうして、
義賊シルバー・アルセーヌとの、
対決は、終わった。

もし、本気で、殺りあってたら……。

いや、タラレバ話ししても、過ぎた事だ。

考えるのは、止めておこう。

ガンマ(以下γ)「イテテテ……。
アイツはどうした?」

コピーガンマ(以下コピーγ)
「酷い目に、合ったぜ……。」

俺『アイツは、帰って行ったぞ』

コピーγ「次こそは……。」

γ「リベンジしてやる……。」

元魔王「……止めとけ。次も、俺が殺る。」

コピーγ「いーや、俺だ!!」

γ「いーや。俺だ!!」

元魔王「いーや。俺だ!!」

コピーγ「なんだ?ここで決着付けるか!!」

γ「ヤル気か?上等!殺ってやんぞ!!」

元魔王「二人で、かかって来い!!
それぐらいのハンデ、くれてやる。」

γ、コピーγ「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ン!!調子に乗んな。
キール様の、コピーの分際で!!」

元魔王「ブラザーを侮辱すんじゃねぇ!!
お前ら、格下のくせに!!」

γ、コピーγ、元魔王「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ン!!」

俺『お前ら……。い・い・加・減に……。
しろォォォォォォォォォォォォォォ!!』

って感じになって、
四人で、ケンカになった。

アルファ(以下α)「……ほんと、男って。」

アイリーン(以下白龍)「……アホだよねぇー。」

ジェーン(以下お母様)「青春だわ~!!」

女神「ねぇねぇ。シグマ(以下∑)。
誰が勝つか、予想しない??」

∑「そうじゃのぅ……。ワシは……。」

ベータ(以下β)「……やれやれ。」

こうして、普通の日常に戻った、
俺達で、あった……。

34話。後編 終 制作・著作  ━━━━━   きぃえぁ

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?