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転生したら、暇な魔王だったので、異世界ライフを、楽しみたい話。(異世界魔王ライフ、第1話)

……魔王城にて……


俺は憂(うれ)いていた。

?「あの……?」

暇(ひま)すぎて。

?「あの……もしも~し?」

やる事ないし。

?「もしも~し、聞こえてますか~?」

退屈(たいくつ)、
極(きわ)まりない。

?「もしも~し、もしも~し?」

転生(てんせい)したのに、
異世界(いせかい)ライフも何もあったもんじゃない。

?「お~い。聞こえてますか~?」

待っていたのは、
何かゴッツイ椅子(いす)に座って、
ただ勇者(ゆうしゃ)って奴を待つだけの俺。

?「いや、
何か妙案でも考えてるのかもしれん」

もっとこう、なんつーか、チートスキルで~、
魔王とかドラゴンとかやっつけて~、
美少女なんかをパーティに入れて……

?「ありえない、ありえない。
だって、こんな場所で、考える事って無くね?」

地位(ちい)と名誉(めいよ)と酒と女で、
楽しく異世界ライフを過ごしたかった……
ハズ……だったのだが……

?「私もそう思う!!雑用(ざつよう)は、
下っ端(したっぱ)連中(れんちゅう)にでも
任せれば良いのよ( ` -´ )bイイネッ」

何故(なぜ)こうなった!

アイツを思い出して来て、
何かだんだんムカついてきた……

?「人間界ってさ、ホント強い奴って居ない。
魔王をやっつけよう!
って奴がまだ、出てないのよね〜」

こんな場所に
異世界転生(いせかいてんせい)されて、
勇者って奴の倒され待ちってか!
倒す奴が居ないって時点で、
それは無いんですけどね!!

そう。

この元凶(げんきょう)は……
全ての…… 
諸悪(しょあく)の根源(こんげん)は……

?「そう思いますよね!
まo……」

俺『全部、アイツのせいだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!』

子分1「うわっ!!」

子分2「ヒェッΣ(゚ロ゚」)」」

子分3「!?工エエェ(゚〇゚ ;)ェエエ工!?」

子分4「お、落ち着いて下さい、
魔王(まおう)様!!」

あ。そういえば、居たな。変な奴ら。
確か……幹部(かんぶ)とか言ってたな。

幹部A「また、
いつもの癇癪(かんしゃく)ですか?
魔王(まおう)様?」

いつもとは何だ。いつもとは。

俺が、毎回(まいかい)毎回、
ヒステリックを起こしてると思ってんのか?

……まぁ、当たってるけど(´・ω・`)

子分A「魔王様。
深呼吸(しんこきゅう)、深呼吸。
はい吸って~。はいて~。」

仕方ない。合わせてやるか。

(  '-' )スゥゥゥ⤴︎︎︎(´Д`)ハァ…
(  '-' )スゥゥゥ⤴︎︎︎(´Д`)ハァ…

少しは心が落ち着いた。

さすが、
(一応)幹部(かんぶ)を名乗るだけはあるな。

俺『落ち着いた。ありがとう、子分Aよ。』

こういう時は、
礼ぐらい言ってやろうか。

子分A「ですから、
私は子分(こぶん)Aでは無くて……
幹部(かんぶ)なんですから……
そろそろいい加減(かげん)、
名前を覚えて頂けると……」

って、言われてもなぁ(´・ω・`)

俺『だって、お前らさ、
似(に)た様な形(かたち)してんの、
多すぎだろ!?』

目の前には、多分モンスターらしい奴ら、
4人(4匹?)居るんだけど、
区別(くべつ)がよく分からん。

俺『いちいち呼んでられるか!』

本来なら、
幹部(かんぶ)って奴(やつ)らの意見が
正しいのだけれど……
今は、なんか気分悪いし、めんどくさい(´ε`;)

子分A「ですから~。せめて、
私たちの名前ぐらいは
覚(おぼ)えて頂(いただ)かないと~。
ね〜。
ウチらって、一応(いちおう)、
幹部(かんぶ)なんですから~。
立場(たちば)ってものが……」

確かに。それは一理(いちり)ある。
のだが……

俺『(ヾノ・∀・`)イヤイヤ名前なんて、お前らが、
テキトーに名乗(なの)れば良いやん。
そもそも、
アイツに異世界で魔王やれって俺は……』

子分A「魔王様、「俺」では無くて「余(よ)」。
そうお呼びください(>人<;)
それと、テキトーはダメです。
私達にも、一応プライドってのが、
ありますので……」

……俺が話ししてる途中なんだが。

こうなったら、
言いたい事を全部言うぞ!!

俺『その「余(よ)」ってのも、
お前らに言わされてんの!!
それと、
「色々めんどくさい事は、私達でやるから~、
お願いだから魔王を辞(や)めないで~」
……って泣きつかれたから、
仕方な~く魔王やってんのにさ~。』


ふと、
アイツの話ししてたら、
色々思い出してきた。


……そう。
あの忌(い)まわしい
俺の黒歴史(くろれきし)と、
俺の人生を狂(くる)わせた、
アイツの事も。


……回想シーン……

俺(余)は、魔王。

元々は日本から来た、いわゆる転生って奴だ。

俺の転生前の人生は最悪で。

まず、
記憶がある小さい頃には、
母親が居なく
(詳しくは知らんが離婚(りこん)したらしい)

父親が生活費やらなんやらで、
昼夜働いてて、両親不在の日が多かった。

だから、幼い頃の俺は、
父親の両親(祖父母)の元で、
居候(いそうろう)していた。

祖父母は農家だったので、
食う物には困らなかったが、
自分らの食う分+‪α‬程度の食料なので、
万年貧乏(まんねんびんぼう)だった。

更に不運(ふうん)な事は重(かさ)なり、
私自体が病弱で、
小学校にもあまり行けず、
入退院したり通院したり。

そんな訳で、
貧乏病弱(びんぼうびょうじゃく)な俺が、
久しぶりに学校に行った所で、
休み時間とかは、
1人で図書室の本を読み漁るか、
病気で保健室で寝てるか。

そんなつまらない日々を過ごしていた。

不幸中の幸(さいわ)いなのが、
図書室効果かは知らんけど、
勉強は人並(ひとな)み以上に出来た。

なので、授業中は暇(ひま)だった。

でも、勉強は出来る。

そんな訳だから、クラスメイトはというと、
宿題の「答え」だけ聞いてくる。

こっちは、1人寂(さみ)しく、
図書室効果で頑張って得た知識なのに。

クラスメイトが、
答えを聞いて楽しようとしてるのが、
釈然(しゃくぜん)としなかった。

だからこそ、言いたくない。

なんか、利用されてるだけの気分になるから。

こんな、ひねくれた性格も相(あい)まってか、
友達って呼べる人とは、巡り合わなかった。

学校の先生は先生で、
他の生徒より、頭一つ分以上の知識がある俺に、
先生(自分)への売名行為かなんかは知らんが、
クラスメイトが答えられない様な、
難しい問題を答えさせようとする。

が、

俺はそれを苦労せず、即答(そくとう)してた。

こんな先生とのやり取りを繰り返されれば、
そりゃあ、
頭良いって称号は、嫌でも付いて回る。


さてここで、読んでる読者に質問です。

貧乏病弱(びんぼうびょうじゃく)で、
たまに授業に出てくる、
ひねくれ者だった俺でしたが、
クラスメイトから、どんな対応をされるか?

答えてみて下さい。





はい、タイムアウト。

答えは『いじめられっ子になる』でした。

いじめられっ子で、片親で、病弱で、
勉強では鼻につく奴。

これが俺だった。

だから当然(とうぜん)だけど、
他人を疎(うと)み、憎(にく)しみ、悲しみ、
どうしようも無い怒り。
これらが、俺の心を濁(にご)らせていった。

そんな気持ちのまま、
俺は、病気で人生終了になるんだけど。


この世に未練(みれん)は無く、
俺は人生も何もかもが、気に入らなかったから、
地獄行きなのかな……
って死ぬ間際(まぎわ)、そう思ってた。



……天界……

ふと気がつくと、よく分からん所に居た。

天国でも、地獄でもなく。

目の前には、神々(こうごう)しい、
いかにも神様です。って感じの女が居た。

多分、これが女神(めがみ)って奴なんだろうな。
って思った。

ただ、その女神(仮)、
俺の前で、めちゃくちゃ泣いてるのよ。

俺は、こういう時、
どうすれば良いのか、よく分からないので。

とりあえず、泣き疲れるまで待ってみた。

しばらくすると、泣き止んで、こっちを見てる。

女神?「アンタ、酷(ひど)い人生だったね〜」

女神(仮)は、こう言った。

はぁ?えっ?何言ってんのこの人?

これがコイツに対して、
最初に思った感情(かんじょう)だった。

俺『てか、貴女は女神様ですか?
なんで、俺の人生知ってんの?』

俺の事を泣いてくれるのは、
せいぜい家族ぐらいだと思ってた。

だけど、この女神様(仮)は、
俺の為(ため)に泣いてくれたのか?
ちょっとだけ嬉しかった。

女神?「申(もう)し遅れました」

女神(仮)は、一礼(いちれい)した後、

女神「私は、この世界の女神をしています。
名前は……色々と言われてますので、
なんでもいいですよ(*^^*)」

なんでもいい。と言われてもなぁ。

女神「失礼ながら、
あなたの人生を見させて頂きました。」

俺の人生、黒歴史(くろれきし)なんですけど。
勝手に見ないでくれ。

女神「こちらの不手際(ふてぎわ)で、
貴方の人生が最悪だった事、
心から申し訳ないです。サーセン┏○ペコ」

ちょっと待て、今、サラッと、
酷(ひど)い事を言って無かったか?

不手際(ふてぎわ)で。と。

さっきまで、嬉(うれ)しかったのに。
何が起きた?
なんか裏切(うらぎ)られた気分だ。

俺『こんな人生だったのは、
お前のせいだったのか!』

思わず、大声で言いたくもなるよ。

だって、俺の人生を狂(くる)わせた、
黒歴史(くろれきし)を作った奴なんだから。

女神「はい、実は……
前世(病弱な時の俺)の設定が、
想定外(そうていがい)以上に
酷(ひど)かったので」

女神「仮に、普通の人生だったならば、
天国行きとか、地獄行きになるのが、
お決まりの定番コースなんです。」

ここに居るって事は、
普通じゃないのか、俺は。

女神「でも、あなたは、
当初(とうしょ)の予定よりも、
早くに亡(な)くなったため、
問題が起きてしまいました。」

問題?

女神「なので、特例(とくれい)として。
あなたは異世界転生して、
第2の人生をエンジョイして下さいm(_ _)m」

って、急に言われてても。色々困るんですけど。

俺『んと……。俺って、病死やん。
仮に転生してもさぁ、病弱だとさ~。
同じ事の繰り返しじゃね?』

健康な身体(からだ)だったら、
楽しく人生を過ごせてた訳だった訳だし。
これくらい言っても良いよな。

女神「では、
病気では死なない身体(からだ)にしましょう。」

なんか違う。病気うんぬんでは無くて。

なんかズレてないか?この女神は?

俺『あの……そうじゃ無くて……』

女神「はい?あなたは、病死なんですよね?」

俺『そうですが……』

女神「何か不都合(ふつごう)でも?」

俺『……無いです。』

言い負(ま)かされた。

女神「では、次に行きますね。」

まだ何かあんのか?

女神「あなたは、前世(ぜんせ)で、
人を恨(うら)んだり、憎(にく)んだり、
してましたよね?」

俺『……はい。』

そんな事言われても、
恨(うら)まなきゃ、やってらんね~よ。
って人生だったからな。

女神「あなたの人生の場合、本来ならば、
カルマ(業)が高い為、地獄行きとなってます」

女神「カルマとは、悪い概念みたいな物で、
普通は、長い年月(ねんげつ)をかけて、
地獄で浄化(じょうか)させるんです。」

俺『なるほど。』

女神「しかし、あなたは、異世界に行く。
ここに問題があります。」

俺『何か、問題でも?』

女神「あなたのカルマは、
何処(どこ)で浄化(じょうか)されるのか?
って事です」

俺『そんなの、女神様の力で、
なんとかならないもんなのか??』

女神「先程(さきほど)言った通り、
異世界は、別世界なので、私の管轄外なんです。」

女神「なので、この世界では、無理なんです。
……ですが。」

俺『ですが?』

女神「元々は、私の落(お)ち度なんで、
向こうの異世界の女神と、
交渉(こうしょう)したんですよ。」

俺『それで?』

女神「で、異世界で
中和(ちゅうわ)出来ないものかと、
試行錯誤(しこうさくご)した結果(けっか)……」

(;゚д゚) ゴクリ…

女神「異世界魔王として、申し分無いぐらいの
カルマだったので、
あなたには、魔王になって頂きます。」

俺『ちょ、ちょい待つー。』

女神「なんでしょう?」

俺『異世界で魔王って、何すんの俺?』

女神「文字通り、魔王ですが?何か?」

俺『よくあるゲームのなら、知ってるけど……』

女神「それなら問題ありません。」

俺『いやいやいや。
なんで魔王なんよ?理由は?』

女神「あなたのカルマが、
異世界魔王級のカルマと
さほど変わらないからです」

女神「幸い向こうの異世界では勇者は不在。
そして、魔王も不在の世界です。」

俺『それって、平和で、いい事だろ?』

女神「いいえ、それは違います。」

女神「地球を知ってるあなたなら、
分かりませんか?
国同士の争い、宗教上の問題、人種差別……
人間同士でも、色々あるんですよ。(´Д`)ハァ…」

女神も、なんだかんだ大変なんだな。

女神「で、地球上で魔王を作るのは、
ほぼ不可能(ふかのう)なんです。」

俺『そりゃなんで?』

女神「地獄で、カルマを浄化しているからです。」

俺『それ、さっき聞いた。』

女神「ほんの一部、浄化(じょうか)されずに、
人を呪ったり浄化しきれてない
カルマもありますが」

女神「魔王を生み出す程(ほど)のカルマは、
地球上には、存在(そんざい)しないのです」

俺『じゃあ、俺が、地球上で
魔王やれば良くない?』

女神は、首を横に振った。

女神「無理なんです。100歩譲(ゆず)って、
地球に、魔王が誕生したら、
世界のバランスが崩れます。」

なるほど。そういう理由で、
今まで魔王が存在(そんざい)しなかったのか。

女神「前例(ぜんれい)が無いんです」

女神「それに、魔王という、
前例(ぜんれい)を作ってしまっては、
私の地位(ちい)が、危うくなるし……」

って言われてもなぁ。
女神の地位(ちい)とか。
俺からしたら、どーでもいい話だな。

女神「ご理解(りかい)、頂(いただ)けましたか?」

地球上に、魔王は存在(そんざい)させない。
これだけは、譲(ゆず)れない気持ちなんだろう。

なんか腑(ふ)に落ちない。

更(さら)に言ってくる女神。

女神「幸(さいわ)い、異世界先には、
元々、魔王という名前自体は、存在しててね。」

女神「『人間共が、自堕落し過ぎてるから、
魔王をぶっ込んで、危機感を与えて欲しい』
って、向こうの要望(ようぼう)でもあるのよ」

とんだ要望(ようぼう)する奴も居るんだな。
俺を、刺激物か何かと思ってんのか?

女神「前置きが長くなりましたが、
そういう理由で、
あなたは異世界で、魔王として転生します!!」

俺『ちょっと待て!俺の意見は?』

女神「決定事項(けっていじこう)なので」

せめて、俺の意見ぐらい聞いて欲しかった。

俺『はぁ?嫌なんだけど!!』

俺は猛抗議(もうこうぎ)した。

俺だって、どっちかと言うと、
勇者とか、そっち系に憧(あこが)れるのは、
至極(しごく)当然な訳で。

異世界転生で、魔王って言うのは、
酷(ひど)い仕打ちじゃね?

しかし、そんな気持ちを知ってか知らずか
女神は答えた。

女神「それに、あなたが魔王になれば、
チートスキル大盛りしても大丈夫だし、
病気にだって負けない身体になります」

女神は、早口でまくし立ててる。

女神「まぁ、最悪な時が来たら、
勇者を派遣(はけん)して、
あなたを倒せば良いし…… |・ω・`)コッショリ」


普通、女神って奴は、
魔王と真逆(まぎゃく)な存在だよな?

って、勇者を派遣(はけん)して倒すとか
言って無かったか!?今!!

女神「本来(ほんらい)魔王とは、
一部の神が闇堕(やみお)ちして、
造(つく)られるってのが、定説なんです」

女神「例外(れいがい)も 居るっちゃ居ますけど、
それは置いといて……」


女神「つまり、
あなたを1回、神様と同じ様な状態にして、
あなたのカルマで、闇堕(やみお)ちさせれば、
魔王誕生!!ってな訳よ~。(*´ω`*)」

流石(さすが)の俺にも分かねぇ、
トンデモ理論(りろん)を
吹っかけてきやがったぞ。
もう女神じゃねぇよ、こいつは。
女神と呼ぶのは止めよう。
もうね、アイツとかコイツでいーや。

女神(以下コイツ)「それと……。
これは憶測(おくそく)だから……。
今から、独(ひと)り言を話しますね」

何やら、もったいぶった顔で、
コイツは呟(つぶや)いた。

コイツ「確かに、あなたのカルマは
膨大(ぼうだい)なんだけれど……
ほんの少しだけ、良い心が残ってるのよ。」

失礼な奴だ。
俺にだって、良心(りょうしん)ぐらいあるだろ!
……多分。


コイツ「で、ここからが、本題なんだけど……」

一応、黙(だま)って聞いておこうか。

コイツ「膨大(ぼうだい)なカルマよりも、
德(とく)を積んで、
良心(りょうしん)が勝つ事があれば……
もしかしたら……」

もしかしたら?何かあんのか?

コイツ「あなたは、
魔王という鎖(くさり)が解け、
別の生活が出来る……かも知れません。」

(; ・`д・´)ナン…ダト!?続きを聞かせろ!

コイツ「でも、断定(だんてい)出来ないのよ。
なぜって?前例(ぜんれい)が無いのよ。
魔王が改心(かいしん)したって話しは。」

俺『はぁ~?前例(ぜんれい)が無い時点で、
無理ゲーじゃね?』

ひとしきり黙(だま)ってみたかったが、
どうしても言いたかった。仕方ないよな。


コイツ「だから~、
理論的(りろんてき)には可能なのよ。
神が下天(げてん)して魔王になるのも、
その逆もまた然(しか)りってね」

つまり、
コイツのトンデモ理論(りろん)通りによれば、
俺の頑張り次第では、
魔王のまま、勇者に虐(いじ)められるのも、
魔王から德(とく)を積(つ)んで、
別の人生も可能な訳か。

人を憎(にく)んた俺が、
まさか、こんな事に巻き込まれるってなぁ……
ある意味、笑えるわ。

コイツ「って、独(ひと)り言は置いといてっと。」

随分(ずいぶん)な独(ひと)り言だったな。
俺の人生、異世界ライフを
何だと思ってるんだ。コイツ。

コイツ「という訳で、あなたは異世界転生して、
1回神様にした後に魔王になるわ。
ある意味、元神様だったから、
チート能力が使えるわ。」

コイツ「た・だ・し!!
魔王が勇者以上にチートだと勝てないから、
ある程度の制約(せいやく)は付けさせてね( ˙꒳​˙ )」

魔王ってのが引っかかるけど、

俺『結局、何言っても変わらないのか。
で、どんなチート能力なんだ?魔王ってのは』

コレ聞いとかないとな。
一言で魔王って言っても、
多種多様(たしゅたよう)いるからな。

コイツ「そうね~。
よくあるゲームに出てくる、ラスボス級の能力。
これは確実に渡せるわ。」

漠然(ばくぜん)としすぎだろ、おい。

今、魔王だったら、
目の前のコイツに、一撃を食らわせたいわ。

コイツ「あとは、
あなたのカルマを数値化(すうちか)して、
いつでも見えるようにするわ。」

俺『ちなみに、
今のカルマの数値はどんくらいなんだ?』

ちょっと気になる。俺のカルマだからな。

コイツ「12億8000万カルマよ」

俺『多すぎだろ!?』

思わず突っ込んだが、どんだけ深いんだよ!
俺のカルマは。

コイツ「もしも、
このカルマがカンストしちゃったら、
あなたは破壊神(はかいしん)として、
自我(じが)がなくなり、世界が滅ぶでしょう。」

は?って事は……
悪いことしたら、俺って終わりじゃね?

俺『一応聞いとくが、
カンストってどれくらい?』

コイツ「20億カルマ、
これを越(こ)えないように。」

コイツ「でね、カルマは、
德(とく)を積(つ)めば減り、
悪いことすれば、増えるわ」

って事は……こういう事か。

俺『つまり、12億8000万のカルマを、
德(とく)を積みまくって、返済しろ?
って事で、合ってるのか?』

聞いてみた。
頼むから、間違いであって欲しい。
そんな話しはウソと、
異世界返済ライフなんて無いと、
言って欲しい。

そして、こう言ってきやがった。

コイツ「そうなりますね(*^^*)」

コイツ、笑顔で即答(そくとう)しやがった。
マジ許せねぇ。

俺『出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
出来るわけねーだろ!
こんな無理難題(むりなんだい)!!』

コイツ「出来る出来ないは、
あなたにかかっています。
私には無理でも、これ以上の譲歩は無理なんで。
頑張って下さい\(*⌒0⌒)♪」

最(もっと)もらしい理由を言うだけ言って、
逃げやがったな、コイツは。

俺『お前に無理な事を、俺に、
押し付けるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

コイツ、聞こえないフリでもしてるのか?
俺の声は、
無情(むじょう)に響(ひび)いただけだった。

終(しま)いには笑顔たっぷりで、

コイツ「では、異世界魔王ライフ。
楽しんでね〜(* ̄▽ ̄)ノ~~ マタネー♪」

って、異世界に転生させやがった。

俺『クソ野郎~~~~!覚えとけよ~~~!!』

俺の最後の声は、
無音(むおん)の世界で、
誰にも聴(き)かれる事もなく、
静かに消えていった……。

……再び、魔王城……

俺とアイツとのやり取りは、
こんな感じで終わった。

今、思い出しても腹ただしい。

かといって、自我(じが)の無い
破壊神なんて勘弁(かんべん)したい。

じゃあ、どうやって、
俺の異世界ライフ、過ごすか……

それと、いつか、人生を狂わされたアイツに
逆襲(ぎゃくしゅう)出来るか……

色々と、考える事が多すぎて、今日は疲れた。

幸(さいわ)いなのが、
今いる、ココら辺(魔王城らしい)
一帯(いったい)は、
私を倒す勇者の姿は無く、
しばらくは大丈夫だって。
誰かが言ってたな。
(・∀・)シランケド



こうして、俺の異世界魔王生活が 始まった……

第1話 ~完~








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