見出し画像

TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」はラブライブだけどラブライブじゃない。

盛大に遅刻したアニメ第4話を視聴する前の第3話の話です。せっかく書いたので余談を足して供養。アニメを評価するのは第3話まで見てからでも遅くはないという説があったりなかったりしますが、TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」は第3話も個人的に好きな展開でした。

以下、ゲームをプレイしてアニメを見た前提で話が進んでいくのでネタバレその他諸々含めてご承知おきください。

―――――

第1話、第2話はとても満足のよい出来でした。それでもいくらかの人は思っていたのではないでしょうか。「出来のよいアニメだけれど果たしてこれはラブライブなのか?」と。この点についてはアニメ化の発表があったときから考えていたことです。

「ラブライブ」をご存じでしょうか?

第3話、優木せつ菜――中川菜々の口から唐突に「ラブライブ」という単語が出てきた時、「やっぱり虹ヶ咲もラブライブなのか」と思うと同時に「随分と強引にラブライブ感を出してきたな!?」とも思いました。これまでの媒体では匂わせてこなかったような気がするけれど目指していたのかラブライブ。目指していたのか「スクールアイドルとそのファンにとって最高のステージ」。目指していたのか「スクールアイドルの全国大会みたいなやつ」。

何だかんだあって高咲侑に呼び出されて、スクールアイドル同好会に戻るよう説得される中で菜々は屋上で叫びます。

私(せつ菜)がいたら「ラブライブ」に出られないんですよ!

これに対する侑の返しがこちら。

だったら――だったら「ラブライブ」なんて出なくていい!

いやぁたまらん。痺れますね。目指すと壊れてしまうのならば、目指さなければそれでいい。ごもっともです。せつ菜にとって「ラブライブ」とは「スクールアイドルとそのファンにとって最高のステージ」であり、スクールアイドルである以上その場に立つことを期待されている(と彼女は思っている)場所でした。一方で、侑にとって「ラブライブ」とは「スクールアイドルの全国大会みたいなやつ」でしかありません。侑は「スクールアイドルたるものラブライブ出場&優勝を目指すべきでしょ」という固定観念に近いものに一石を投じたのです。最高のステージで歌う必要なんてない。ユニコーンガンダムが見える場所(が聖地の場所)でいいんだ。学校の屋上でいいんだ。そこにスクールアイドルとそのファンがいればそれでいいんだ。

では、あなたにとって「ラブライブ」とはなんですか?

これは「果たして虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はラブライブなのか?」を考えるにあたり必ずセットで考えなければならないことであり、第3話で正面から問われたような気がしました。もちろんファンの数だけ答えはあってよく、統一見解を得る必要はありません。むしろ多様性を重んじてソロ活動に重きを置く虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会だからこそ、そのコンセプトを利用する形で「みんなそれぞれ思うところはあるだろうけど虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は(少なくとも今のところ)これまでのラブライブを目指す物語とは異なる形で物語を展開します」と登場人物の言葉を借りて宣言したのだと私は感じました。そう言われてしまえばもう「アッ、ハイ」としか言えません。追いかけるのであれば(追いかけない自由もあります)「これまでとは(少なくとも今のところ)異なるラブライブの新しい形」として見守るしかないのです。見せ方がうまい。

侑の性格もだんだん見えてきました。スクールアイドル当事者ではないからでしょうか。これまでの思考や行動を見るに、どこか達観しているというか少なくとも「無謀な賭け? 勝ちにいこう!」タイプではない気がするんですよね。せつ菜の進退についても第1話時点ではやめたい事情があるなら仕方がないと思っていて、第3話の音楽室でどうやらそうじゃないらしいことを察したからこそ屋上に至ったのであって、音楽室のくだりがなければせつ菜の(建前の)意思を尊重し、朝香果林に同調して「新しい形で同好会を始めればいいんじゃないかな」と言っていたような気がします。彼女は手の届かない最高に手を伸ばすよりも手の届く最適を求め、掛け違えたボタンを正しているに過ぎないのです。それゆえ高海千歌が「だって0だったんだよ!悔しいじゃん!」と涙を見せたとしても「え、そう? めっちゃ輝いてたよ!」という方向性で慰めそうな気がしていて。ラブライブ以外で廃校を救う道を模索したり何なら廃校すら受け入れてしまいそうな侑が浦女にいたらAqoursの物語は大きく違った形になっていたかもしれません。

その他、第3話で個人的に気になったポイントをまとめます。
・はんぺんのくだりで菜々として宮下愛&天王寺璃奈に接点を持たせつつ人と為りを表現し、せつ菜としてライブを2人に見せつけることで次に繋げる展開はうまくできているなぁと思いました。
・主役回じゃなくても中須かすみが可愛い……! どこから出てくるのかコッペパン。携帯電話への連絡に気がついていなかったことに気がついた時のすっとんきょうな声がお気に入りで何度か繰り返してしまいました。可愛いだけじゃなくて前回を踏まえて成長が描かれているところもよかったです。ただのアホの子じゃない。
・背景で何となしにかすみからもらったコッペパンを半分に割ってエマ・ヴェルデに渡す果林とそれがさも当然のようにコッペパンを食べ始めるエマの関係性なんなの?? 推しを殺しにきてるの??
・「DIVE!」の火と水の対比がとても好みです。火がせつ菜で水が菜々でしょうか。どちらかを消滅させる必要はなく、それぞれを大切にしてほしいなと思います。
・侑がせつ菜に抱きつき地面に倒れ込んだあと、侑にだけ手を貸す上原歩夢の揺るぎなさよ。
・思いのほか早くメンバーが揃ってしまいそうです。今後は新生スクールアイドル同好会に加入するための個人回ではなく加入してからの個人回も出てくるのでしょう。
・生徒会(?)の双子ちゃんキニナル。

サブタイトルが「未知なるミチ」でいきなり駄洒落をかましてくれている次回の愛さん回も楽しみです。今のところ彼女が侑に口説かれるシチュエーションが思い浮かばないのですがはてさて。

余談1
第3話までに公開された挿入歌が1枚のCDになって発売されます。告知時点でType A/B/Cの3種があったのでなんとなく察しはついていましたが、キャラクター毎にジャケットがちゃんと用意されていました。どれも可愛い。ハコ推し泣かせか! え、同時購入特典アクリルチャーム付の3種セットもあるんですか? アッ、ハイ……(ぽち)。上記CDにはメンバーと1対1でお話ができるオンライントーク会の申し込み券も付いているようなので、誰かに3口応募しようと思います。相良茉優さんは何度となく「かすかす」と言われて何度となく「かすみんです!!」と返すことになるのでしょう。2020年で最も「かすかす」と言われる日になるんじゃないでしょうか。ベタだけど仕方ない。何なら私もちょっとホンモノに「かすみんです!!」と言われたい。

余談2
オンライントーク会を狙ってCDを積む人の積み方の戦略に興味があります。例えば9枚積むとした場合、アクリルチャームの最大化を目指して3種3セットにするのでしょうか。とりあえず3枚はバラして6枚推しを買うことで推しの売り上げに貢献するのでしょうか。アクリルチャームは投げ捨てて推しを全力応援するのでしょうか。売り上げの差がどれくらい人気の差に外挿できるのかという話なのですが、ほぼほぼ中の人依存のイベント申し込み券で同内容ジャケ違いの売り上げに差が出るならば、それはシビアな世界だなぁと思った次第です。

関連記事

虹アニメ第2話楽しかったよという話。

虹アニメ第4話楽しかったよという話。

頂いたサポートは、美味しいものを経て、私の血となり肉となる。