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ポストに投函された紙のチラシを捨てながら思うこと。

今の時代でもポストに届く紙のチラシは有効なのだろうかという話です。

帰宅して、ポスト覗くと、紙の束。ポスティング広告です。電話勧誘と異なり、ポスティング広告はリズムゲームの邪魔をしないのであまり腹が立つことはありません。ただ、チラシを毎度ゴミ箱に入れながら、一体どの程度の効果があるのだろうと疑問に思っていました。

そこで「ポスティング」について雑に調べることにしました。ぐぐっただけですけど。

出るわ出るわポスティングを提供する会社の案内が。こんなにたくさんポスティングの会社があるとは思っていませんでした。少数大手が牛耳って全国を統制しているというよりは、各地に各地のポスティングの会社があるような印象です。

調べているうちにひとつの一般社団法人にたどり着きました。全日本ポスティング協会です。2020年7月時点で元文部科学大臣と元経済産業大臣が名誉顧問を務めるこの法人の実態はさておき、興味があるのは会員会社一覧です。約150のポスティングに携わる会社が名を連ね、そのうち50の正会員についてはおおよそ各社ホームページに飛べるようになっています。このあたりをいくらか覗いてみるとポスティングの何たるかが掴めてきます。

ポスティングの料金は中身や配布対象によりますがざっと4円から10円でした。単価が安いので数百程度の少数の依頼は難しく、数千或いは数万の最低部数が設定されています。(正会員の中では)ポスティングに特化した会社は多くなく、印刷やデザイン、ポスティング以外の広告やマーケティングコンサルなどにも手を広げています。

ポスティングの目に見える大きな成果物のひとつは反響率で示されるようです。例えばあるイベントのチラシを配ったら何人がチラシを見てイベントに来てくれたのかといった数字であり、今回私がいちばん知りたかったことです。広告内容にもよりますがおおよそ0.2%前後に落ち着くそうです。0.2%か。10000枚配ると20世帯前後が応えてくれる。逆にいえば9980世帯前後は見ずに捨てるか見ても捨てるか捨てなくても応じないかということになります。この数字だけ見るとあまり分が良くなさそうですが、かなり雑な計算で40000円の広告費を投じて20世帯が2000円の利益を生み出してくれれば元が取れるとすると、商品・サービス次第で広告費を回収すること自体は難しくないようにも思えます。

ポスティングの目に見えない成果物として接触機会の増加を挙げている会社もありました。少なくともポストから回収する際に手に取らせることができ、ひと通り目を通して捨てる人であれば回数を重ねることで広告の印象が刷り込まれるというのです。残念ながら私自身は振り返ってみても、物件のチラシだったなぁピザのチラシだったなぁ寿司のチラシだったなぁくらいの曖昧さで、我が家のポストに投函される中で具体的な企業名が思い出せたのは「銀のさら」だけでした。お寿司食べたい。

ポスティングする側は私がお寿司に興味があるのか知る由もありません。絞れるのはせいぜいエリアと建物の種類(戸建てかどうか、単身用か家族用か等)くらいなもので、絨毯爆撃を仕掛けるより他なく、無駄打ちの多さから反響率が低くなるのは仕方のないことかもしれません。私がお寿司を求めているのか等、誰が何を求めているのかを調査したうえでポスティングすれば無駄打ちが減り、反響率をあげることもできるのでしょうが、反響率を10倍あげるためのコスト増加は10倍では済まなさそうですし、そもそもポスティングである必要性が問われます。

インターネットの発達した現代社会でこんな古典的な手法が根強く残っていることが不思議で仕方なかったわけですが、安さと費用対効果を考えるにつれ、だんだんと納得感が増してきました。

総じて、冒頭の「今の時代でもポストに届く紙のチラシは有効なんだろうか」に対しては、「確かに反響率は高くないが費用対効果は優れており、今の時代でもとりあえず宣伝を試みたいクライアントの選択肢として有効」というのが私の中の結論になります。

安くて費用対効果の優れたデジタルな新規手法が編み出されればポスティング業界全体が一網打尽にされそうですが、今のところ「デジタル ポスティング」で検索をかけてもあっと驚く方法は見つかりませんでした。ポストにチラシが差し込まれる日々はまだしばらく続きそうです。

今回、調べたことにより、これまで見向きもしなかったチラシにも愛着が湧いてきました。どのチラシにもデザインした人がいて、印刷した人がいて、配布エリアを決めた人がいて、配布した人がいます。これからはそんなチラシの裏側のストーリーにも想いを馳せながら、チラシをゴミ箱に入れようと思います(とか言いながら取り置きするチラシは増えそう)。

余談
全日本ポスティング協会の正会員のホームページを見比べるのが面白かったです。類似の説明をどう見せているのか。webではなくポスティングとはいえ、広告を扱う以上、ある程度はホームページの見栄えを気にした方がいいと思うのですが、会社によって千差万別。デザインを扱っているかどうかにもよるのかしら。

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