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歌詞に隠されたストーリーに泣かされる!何回聴いても涙がとまらない失恋ソング!

みなさんこんにちは。墓穴掘男(ぼけつほりお)と申します。

突然ですが、みなさんは音楽を聴く際に何を重要視して音楽を聴きますか?
いろんな音楽の楽しみ方あると思います。
とはいえ、音楽の楽しみ方をざっくり分けるのであれば、
「リズム」「歌」「歌詞」の3つに分けることができます。

「リズム」で楽しむ方は、音楽を本当に音として楽しみ、メロディーや楽器の織りなすグルーヴを楽しむ方のことを指します。英語の曲や歌もなんとなくノリや響き方で好きになったりする人ですね。

「歌」で楽しむ方は、その歌い手の歌唱力やカラオケなどの歌いやすさを楽しむ方のことを指します。海外の人はどちらかと言うと歌手の歌声を好きになる方が多いとテレビで言ってましたね。その点日本人の音楽はカラオケ文化などによってみんなで歌える曲や歌いやすさやノリやすさを好む傾向にあるそうですよ。

そして「歌詞」を楽しむ方は、その音楽の歌詞に共感したり、喜怒哀楽の表現に心惹かれたりなど言葉の意味を噛み締めながら音楽を聴いている人のことを指します。こちらも少し日本人的考え方かもしれませんが、カラオケで歌うのも好きだし、聴くのも好きなタイプです。

ちなみに筆者の私はもちろんのごとく、「歌詞」を楽しむタイプです
自慢のスピーカーを近所迷惑ギリギリのラインまで爆音にして好きな音楽をかけながら歌詞カードを読み、焼酎を楽しむのが生き甲斐の人間です。

そんな私が今回どうしてもこの機会に知って欲しい「失恋ソング」があるので、是非この場を借りてこの想いを伝えられたらと思います。

失恋ソングに見せかけたまさかの復讐劇!?
松田聖子の名曲「SWEET MEMORIES」

まず紹介するのは松田聖子さんの代表曲「SWEET MEMORIES」です。

いやほんと、幾つになってもお綺麗ですよね。この楽曲がリリースされたのは松田聖子さんがまだ21歳の14番目のシングルだったそうで、21歳の時にこの曲を歌うにしては大人すぎてびっくりしますよね。

初めてこの楽曲を聴いた時の素直な感想は、
「懐かしい痛み」という大人な表現にため息が出てしまい、全身の力が抜けていったことを覚えています。「懐かしい痛み」「ずっと前に忘れていた」ということですから、大人になって同窓会で再会した元彼との話だと思っていたんですよ。

「失った夢だけが美しく見えるのは何故かしら」
「過ぎ去った優しさも今は甘い記憶」
「Sweet memories」


彼との思い出を振り返りながら、あんなに燃え上がった恋はなかったわ。でもそんな日々も今思えば辛い思い出じゃなく甘い記憶なんだといっているところが、まぁ大人で粋じゃないですか!?

ところがこの「SWEET MEMORIES」面白いところがここからなんですよ!!
最初はこの楽曲の1番の歌詞を聴いていると、
「この甘い記憶が今の彼女を強くしたんだな〜」とか
「二人はまた愛し合うことができないのかな〜」とか考えていたんですが、
2番の歌詞を聴いてまた展開がガラッと変わってくるんです!

ちなみに2番冒頭は英語の歌詞になっているんですが、簡単に翻訳してしまうと


キスはしないで。 私たちはもう昔のようにはなれないの。
心の痛みを増やしたくないの。だからもう私を傷つけないで。
あなたのことを想って、あなたの愛を求めて、どれだけたくさんの夜を過ごしたかしら。あの頃は、心からあなたを愛していたのよ。


みたいになります。
元カノにキスを迫るなんてちょっとクソ野郎な感じもしたのですが、この2番の歌詞が加わることで1番の歌詞と相まってストーリーが全然変わってきます。

まずこの物語は同窓会で再会した二人の話がイメージしやすかったのですが、
2番の歌詞を読み解くに、まぁもしこれが中学生や高校時代だったら少し青さがなさすぎる話で想像しにくいなと思いませんか?
だって、「あなたの愛を求めて、どれだけたくさんの夜を過ごしたかしら」が高校時代の彼との思い出だったらなんか大人すぎてリアリティが湧かないですよね。。。

そう考えるにこれは同窓会とかで再会した話ではなくて、割と成人を迎えた後の出会った二人が10年後以上時を経て、再会しているのではないかと思われるわけですよ!
しかも私が想像するにこの二人は実は最後まで付き合っていなかったのではないかとも考えられます!

仮に成人した二人を主人公の彼女21歳と彼25歳としましょう。
彼女は大学三年生で彼は社会人三年目。共通の友人から紹介された彼女はすぐ彼に好意を抱くことになるが、彼は女癖が悪く彼女のことを遊び相手としか思っていなかった。彼女は彼に振り向いてもらうためにまたは他の女の子に負けないように必死になって彼を口説いたことでしょう。そして彼が好むような女に必死になろうともしたでしょう。色んなアプローチをしたが、彼女の想いは彼に届くことはなく、ただ「悪戯に傷つけあった二人」。それから二人が再び会うのはここから十年後の話。

ここまでの関係性であれば「彼女(追う側)<彼(追われる側)」という彼優位な立場だったはずです。

そこから十年。彼女31歳となりより魅力的な女性へとなった今、
彼女は恋愛に対して退屈な日々を送っていた。それはかつて愛していたあの「彼」を超えるような燃え上がる恋愛ができなかったからだ。いや、もしかしたら彼を愛していたこと、傷ついたことを想い返すとそれ以上に前に進めないでいたのかもしれない。そして彼女は決心をしたのではないか。彼と再び会うことでこの彼への「愛している」という想いが本物かどうかを確かめるために。
そして十年の時を経て彼と再会した時、彼女が最初に感じた感情。それは。

「懐かしい 痛みだわ」「ずっと前に忘れていた」

彼と再会した時、改めて確認することができたのだろう。
あの大恋愛はもうすでに過去であり、甘い記憶(Sweet memories)であることを。

はぁ〜本当に素晴らしい歌詞です。
ちなみに今更ですが、この解釈はあくまで個人の妄想かつ自分勝手な解釈なので、ご意見、物申すことがあっても構いません!
そしてここからラストスパート。十年の時を経て彼女の復讐劇が始まる!!

十年ぶりに再会した彼から「幸福(しあわせ)?」と聞かれる一幕があります。
このシーンの「しあわせ」は、多分色んな意味を含めた言葉でもありますね。
お互いの十年の軌跡や境遇を確認し合うような瞬間でしょうね。私たちでも十年もあっていなかったら、「どんな仕事してる?」とか「結婚したの?」とか積もる話もあるでしょうし。この場面でもそんな会話をしたはずです。

そして1番の歌詞でこう続くわけです。

「友達ならいるけど あんなには燃えあがらなくて」

ここで重要なのは、「友達」とは何なのか?
これはどう見ても「あなた(彼)」以降の元カレのことを指しているのではないでしょうか?友達に燃え上がることって普通はないですよね?
それを十年ぶりに再会した彼に伝えるのって何だか不思議な感じしませんか?
お互いがもういい大人だということを差し置いても、魅力的になって再会した彼女に「あなたほど燃え上がった恋愛はなかった」なんて言われたら、彼はどう思いますか?
少なくとも私がこんなこと言われたら100%といっていいほど彼女を意識してしまいますけどね!
「あれ、まだ俺に脈あるんじゃない?」ってなると思います!
下手したらそれこそ若かりし頃の記憶を思い出して、彼女との夜を想い、意識してしまったりすることも絶対にあるはずです。

そしてそれは二番の歌詞で行動として起きてます。
彼が彼女にキスをしようとしてましたよね?そりゃそうでしょう。
あんだけのことをいわれたら、ちょっと行動に起こしたくなるのは男のさがですよ。
だけど彼女はそれを拒んだのです。
「痛みを増やしたくないの もう私を傷つけないで」とも言っています。
でもその後の英語の歌詞には、

「あなたとのことを考えて、あなたの愛を求めて、どれだけたくさんの夜を過ごしたことか、あの頃は、心からあなたを愛していたのよ」

ってキス拒んだ後にこれ言いますかね?
すごい誘ってきているように聞こえませんか?
ここの表現での解釈をするのであれば、
「ほら、あなたが好む魅力的な女性になったわよ。あの時、私と付き合わなかったことを後悔するのね」に近い行動に感じてなりません。

そして彼もまた本当に後悔することになるのです。
彼女にとって彼はもうすでに過去であり「遠い記憶 Sweet memories」なのですから。
ここで立場は「彼女(追われる側)>彼(追う側)」へと変わってしまったのです。

そして最後の歌詞へと繋がっていきます。

「失った夢だけが 美しく見えるのは何故かしら」

ここは一番のサビの歌詞と全く同じなのですが、ここにおいては、
彼または彼女二人が再会を経て思ったことなのではないでしょうか。
彼と再会してやっぱり彼との記憶はもう過去なんだと悟った彼女と、
彼女を傷つけてきたばっかりに改めて大事なものを失ってしまった彼。
二人にとってのSweet memoriesは深い爪痕を残し、また誰かを救う音楽として、
松田聖子さんに歌われ続けるに違いないでしょう。

何度聴いても想像を掻き立て、歌詞の素晴らしさに酔いしれる名曲です。
ほんとにこの歌詞を書いた松本 隆先生に感謝であり松田聖子さんの歌声に感謝です!
まだまだ松田聖子さんの名曲はたくさんあるので今後ももっと深掘りして聴きたいですね。ちなみに松田聖子さんの40周年を記念して「Sweet memories」が初MV化され全編日本語バージョンで歌われています。
また考察するのに面白い大人な「Sweet memories」になってますのでこれも是非聴いて見てください。


1メロのワンフレーズ目で泣かされる!never young beach「お別れの歌」

次に紹介するのはバンドnever young beachの「お別れの歌」です。
曲名だけでも「お別れ」と入っているわけですから、何となく聴かなくても男女の別れがテーマになっているんだろうなと思わせる曲なのですが、是非この楽曲に関しては公式のMVを見て欲しいです。

ちなみにこのMVに登場しているのは俳優の小松菜奈さん。
映像は縦型のスマートフォンで撮影された映像が続き、彼氏と彼女の仲慎ましい動画が続いていきながら、楽曲が流れていきます。

楽しそうな二人。映像だけ見ていると別れる理由がないように感じるほどの二人の映像がどうしてこの「お別れの歌」なのか。

音楽の歌詞にはストーリーが存在し、楽曲が終わるまでその起承転結を歌詞から読む必要があるわけなんですが、私がこの曲を知って、この曲を聴いて一番驚かされたのは、
この楽曲のワンフレーズ目。この一言にこの二人の関係性の全てが表されていました。

とりあえず二人の関係性を紐解く上で、彼らを彼、彼女(小松菜奈)25歳くらいとしましょう。
二人は高校生の時にクラスが一緒になってから話すようになり彼女の天真爛漫な性格に惹かれていった彼の方から告白。「君を悲しませたり傷つけるようなことはしないから俺と付き合ってくれ」彼の素直さや優しさに惹かれていた彼女。二人は交際をスタートさせて、海に行ったり、買い物に出かけたり、旅行したり、または何げない日常を動画に納めて共有のフォルダに残していたのかもしれない。二人の関係は誰が見てもお似合いのカップルそのものだった。そんな二人が付き合い始めて8年。

彼は大学を中退してから音楽活動をしているバンドマン。彼女は都内の金融関係で働いているOL。彼女の実家は由緒正しい家柄で同棲に対して反対を押し切って一緒に彼と生活を送っている。二人で住むには少し狭いワンルーム。彼女は彼の夢を支えるために稼いだお金を生活費に充て、彼の活動を最大限サポートしてくれていた。

そんな日々を送る中で、彼は売れるために必死にバンド活動をしてきたが、結果がなかなか報われず、彼女に迷惑をかけることの煩わしさや悔しさ、そして彼女の優しさに漬け込んでしまう自分の情けなさから彼は決心したのではないかな。

ここから「お別れの歌」の冒頭にストーリーは繋がっていきます。

「あー君には言えやしないよ」

私はこの言葉を初めて聴いた瞬間に涙が出てきました。
なぜなら、この一言で、二人の関係がどれだけ良好で彼女のことを理解しているかが伺えたからです。
もちろんここで言えないことは「別れる」ということで間違いはないでしょう。
彼女が別れを言えないのは脳裏には「別れる」という選択肢を抱えながらも彼と過ごした楽しい日々もまた彼女を支えていたからに他ならないであろう。ただお互いが確実に今の現状において「別れる」という形へ少なからず向かっていたのも事実。

そして

「君の目をちゃんと見て話したいよ」

もしかしたら彼女の仕事の忙しさや彼のバンド活動にかまけて話す機会をあえて少なくしていたのかもしれません。二人の間では会話しても、

彼女「今日のライブはどうだったの?」

彼「盛り上がったけど、お客さんは少なかったよ」

彼女「そうなんだ。早くバンドとして売れて私を養ってよ!(笑)」

彼「本当にいつも迷惑かけて悪いな、、、」

彼女「もう〜謝らないでよ。別に謝って欲しいわけじゃないんだから」

こんな会話を繰り返すばかりでお互い核心に触れないようにしていたのかもしれませんね。
彼女も優しさから冗談っぽく、あまり重荷にならないようにしてくれていた。
でもその優しさが彼を

「うまくは言えないが」「眠れない夜が増えてきた」原因にもなっていった。

それでも君の目を見て話そうと決心したときに、彼の目には涙があふれていた。
そしてそれをそのまま彼女に伝えたのかもしれない。

「あー君の前で泣きたくないよ」「君の目をちゃんと見て話せないよ」

泣きじゃくる彼に対して彼女の反応は、ハンカチを手に取りながら彼の涙を拭ってくれていた。彼女の目には涙を流すまいと必死にこめかみに力を入れているのがわかる。
そうだ。彼女はいつだって自身を顧みず、彼を立ててくれていた。支えてくれていた。こんな自分が泣きたい時だっていうのに。もう彼女に甘えるのはやめよう。これで最後にするんだ。彼は不器用にそして伝えるのであった。

「お別れの時だよ。」「君とはいれないな」

そんな言葉を吐いた瞬間だった。お互い過去の記憶がフラッシュバックして、楽しかった日々が脳裏に浮かんでくる。それはあの時スマホに収めた思い出の動画を見るように鮮明に映り込み、そして

「二人だけの秘密は全部日々に溶けたよ」

二人の知らないことや隠し事がないくらいお互いのことをさらけ出して、日々を過ごしたよね。あの日々は本当に楽しかったよね。思い出話に花を咲かせて時間いっぱい話し込んでいたに違いない。

歌詞の最後を考察するに、彼女と別れてから時は流れ、
彼女のことを想いながら聞いてほしかった

「陽気な歌でも歌い」
「愛していたよ」

と音楽で伝えているのかもしれない。

本当に大好きなnever young beachの楽曲です。
この楽曲をしこたま聴いた上であのMVを見ると改めて新しい発見に出会ったり、もしくは別れた君の動画を捨てきれないまま彼は今でも動画を視聴しているような演出にも感じるので、何回でも定期視聴してしまいます。
ちなみにnever young beachは他の楽曲も最高にポップで最高なのでオススメですよ!
是非聴いてみてください。


青春時代の失恋をそっと救ってくれる名曲! 銀杏BOYZ「エンジェルベイビー」

最後に紹介させてもらうのは2017年にシングル発売された銀杏BOYZの「エンジェルベイビー」です。この曲に関しては、誰もが泣けるというよりも私自身の体験談からこの曲に泣かされた、いや、救ってくれたと言っても過言ではないので私の青春の思い出と共にこの曲を紹介させてほしいです。

遡ること、私の高校時代。私にはよく遊んでいた「ありちゃん(仮)」という男友達がいた。元々、同じ中学校に通っていたもののその時はあまり縁がなく、高校生の時に同じクラスになり、そして同じ音楽の趣味をきっかけに仲良くなった。その音楽の趣味というのは「銀杏BOYZ」だった。よく二人でお昼休みに銀杏BOYZの話をしては学校終わりや部活がない休日に地元の安いカラオケに入り浸っては、銀杏BOYZを喉枯れるまで歌い続けた。

そんなある日、いつものようにありちゃんとカラオケに行く約束をした学校終わりに同じクラスの女の子が「今日、カラオケ行くんだよね?私たちも行っていい?」と話しかけてきたのだ。その子は「ともちゃん(仮)」。サラサラなショートヘアーに高校生にしては身長が小柄な女の子。でも性格は割とドライでハッキリとしていてクラスの人気者から携帯のメールアドレスを聞かれたときも「私、あんまり喋っとことない人とメールアドレス交換したくないんだよね」ときっぱり断っていたのを放課後のクラスで見てからというもの少し話しかけ辛い印象があった。そんな女の子からむしろ話しかけられ少し驚いていたが、「ありちゃんがいいんだったら、オレも別にいいよ」と伝えた。

その日はいつもと違ってカラオケでは女子も合わせて4人で時間を潰したのだが、当時の私とありちゃんもそれなりの思春期だったので女子の前で銀杏BOYZというちょっぴり下ネタ多めな楽曲を歌うのはかなりの抵抗感があった。女子の前で下ネタ曲を歌えば絶対に嫌われてクラスに居場所がなくなってしまう。そんな怖さからかなり無難に嵐やSMAPを歌い、メチャクチャ気を使いながら歌ったのを覚えている。
その日の帰り、四人で帰りながらペチャクチャと喋り、最後別れ道でともちゃんから「そうだ、まだ連絡先みんな知らないよね?よかったらメアド交換しよう」と言ってくれたのだ。その時の私はクラスの人気者が手に入らなかったメアドをゲットできてめちゃくちゃ高揚して家に帰ったのだった。

そこからちょくちょく四人でカラオケに行くようになりSMAPをレパートリーを増やしたり嵐の曲聴いたりして二人の女の子が飽きないために対策したっけな。

そこから夏休みに入って、一人で勉強をしていた時に、ともちゃんから直接連絡がきた。「今日、よかったら二人で会わない?相談したいことがあって、、、」
そのメールを見たときは、慌てて準備して待ち合わせのジョイフルというファミレスに向かった。待ち合わせ場所で友達や知り合いに鉢合わせないように、ファミレスに先に入って店内を見渡してはいないのを確認し、角のソファの席に着いた。後からセーラー服のともちゃんが現れて、「なんで制服なの?」って聞くと「今日は学校で部活があったから」と言う。彼女は合唱部に所属していて部活着がそもそも制服だったのだ。そこから軽く注文をして話を聞くことに。「ちなみに今日はどうしたの?相談したいことって」私は唾を飲んでは緊張した面立ちで切り出した。すると向こうも斜め下を向きながら少し照れ臭そうに言ったのだ。

「実は前から、、、、、、、ありちゃんが好きで君によかったらありちゃんの好きな人がいるかとか聞いてほしいんだよね」

「あ、やっぱりそうなんや。ちょっと怪しいと思ってたんだよね 」と言いながら、内心は全然気づかなかった。まさかありちゃんのことが好きだなんて。そこから話を聞くとありちゃんと二人だけで話すのは照れが勝って話しかけにくいところを仲のいい「私」というフィルターを通してならすごく自然に話せるとのことだった。なんでもカラオケに二人で行く時から隠れて話を聞いていたようでそこから仲良くなろうと試みたとのことだった。

私は素直に話してくれるともちゃんの本音やこの話は私だけにしかしたことがないという「二人だけの秘密」に本当に「応援してあげたい」と思ったのだ。

そこからファミレスで色々二人が成就するように計画したり、ありちゃんを誘うために私から色々と根回ししたり夕方まで話し合った。

その日の夜に私はありちゃんにメールで連絡した「ありちゃんは今好きな人いるの?例えばともちゃんとか?」今思えば、ダイレクト過ぎたと思っている。「いや〜好きな人はマジで今はいないね。お前の方がともちゃんのこと好きだろ」とありちゃんから返信が来た。すかさず「オレはあの子のこと別に好きじゃないよ!二人はお似合いと思うけどな〜」と我ながらセンスのないメッセージを送った。

そこからカラオケだけでなく、夏休みには勉強のためにジョイフルに四人でいき、ハリーポッターの最新作があればみんなで見に行った。私はともちゃんと密かに連絡をとりつつも二人の間を取り持っては時間を作ってあげた。二人のことを応援し、そして好きな人を前にしては上手く話せない彼女にアドバイスしながら反省会を繰り返し、そして夏休みは過ぎていった。

そこからともちゃんとありちゃんの関係は進展することはなく、夏休みが明けて秋季テストの1週間前のことだった。部活もなく放課後の教室で別の友達と勉強している時、ともちゃんから「ちょっときて、お願い。」と名指しでやってきたのだ。私は彼女と一緒に教室を後にして二階の教室を降りては、一階の誰もいない視聴覚室の前に移動した。そして彼女は膝から崩れ、私に告げるのだった。

「ありちゃんが〇〇と付き合っちゃった」

正直、名前は覚えていない。だが、〇〇はよくともちゃんが一緒に連れてきていた女の子だった。ともちゃんは私とありちゃん三人で会う勇気もなく仲の良い女の子とよく四人で遊んでいた。そして彼女は続けて話した。

「〇〇にありちゃんと付き合うことになったって言われた。あとごめんねって」

そして視聴覚室前の凸型に出っぱった角で泣き崩れたのであった。
彼女は涙を見せまいと私に背を向けている。
私はその〇〇がありちゃんと付き合ったことも、〇〇がともちゃんを裏切ったこともどうでもよかった。

だが、胸のあたりが沸々と湧き上がってはどうしようもなくなってしまう。
この感情をうまく学生の時は表現ができなかった。ただ、しんどくなる。そんな感じだった。
そのしんどさから彼女を慰めることも、声をかけることも、そして彼女に触れることも出来なかった。私は彼女が泣き止むまで一緒にいることしかできなかった。

20分くらいして、泣き止んだともちゃんからすすり声で「いままで手伝ってくれてありがとう。今度は私が君の好きな人を付き合えるよう応援してあげる番だね」と言われた。

正直、全くうれしくなかった。
むしろ苛立ちすら感じていた。

「もうじゃあ、なりちゃんも付き合ってしまったしオレらの関係もこれで解消だね。」

私はそんな言葉を吐き捨てて彼女を置いて、友達のいるクラスに帰って行ったのだった。

そこから四人で会うことはおろか、ともちゃんと話すこともなくなり高校生活は終わりを告げた。

そこから時は流れて、2017年。
銀杏BOYZが初武道館ライブをすることになり、それに合わせて三ヶ月連続シングルリリースすることになることを知った。そういえば、学生時代に聴いていた銀杏BOYZも最近は聴いていなかったなと、なりちゃんとの思い出に思い馳せながら久しぶりの新曲を何気なく聴いたのだった。

その曲が「エンジェルベイビー」だった。

このMVをみて、私はめちゃくちゃ泣いた。
それはこの曲がこのMVが、全てにおいて高校時代の「オレ」と現代の「私」を映し出したかのように感じたからだ。

そして歌詞は、

「どうして僕いつも一人なんだろう」
「ここじゃないどこかへ行きたかった」

と続いていく。「ここじゃないどこかへ行きたかった」このフレーズを聞いた瞬間。遠い記憶に忘れていた、ともちゃんを置いて教室に戻っていく時を思い出した。そしてあの時の感情に似た沸き上がってはしんどくなる感じがしたのだ。

「まるで時間が止まったみたいだよ」
「気づいたら あの子をおもってた」

「あの子」。高校を卒業して。専門学校を卒業して。東京に出てきて。時は流れて。いつからだったっけな。「あの子」や「あなた」、「彼女」、「キミ」。どんな曲を聴いたってどうしても「ともちゃん」を当てはめてしまう自分の気持ち悪さにきづいてしまったのは。

「hello my friend」
「キミと僕は 一生の友達さ」
「さようなら」
「美しき傷だらけの青春に」

「キミと僕は一生の友達さ」この「一生の友達」が枷になってキミと僕は恋人になれないという儚さを感じてならない。そしてこの時もセーラー服のともちゃんが目に浮かんできてしまう。「美しき傷だらけの青春に」ついあの夏、オレとキミが過ごした情景が脳裏にフラッシュバックしてくるのだ。

そうして涙が止まらなくなる。
どうしてオレはこんなに泣いているんだ?

「ロックンロールは世界を変えて」
「涙を抱きしめて」

オレの涙をこの曲が抱きしめてくれる。

「エンジェルベイビー」
「ここにしかないどこかへ」

「どこかへ」。
そうだ。どうしてあの時、ともちゃんに言われた言葉に素直に喜べなかったのか。そして苛立っていたのか。

「hello my friend」
「君と僕なら永遠に無敵さ」

あの頃のあの瞬間のオレとキミは永遠に「友達」で、二人だけのあの夏の日々はそれはもう「無敵」だった。

「あの子のちっちゃな手を繋がせて」
「ねぇエンジェルベイビー」
「ここにしかないどこかへ」

「エンジェルベイビー」。年齢を重ねても、Facebookで今のキミのことを見つけても。

「オレ」は、「私」はセーラー服だったともちゃんが好きだったんだなって、今更気が付いた。

ただ、言い訳だけさせてもらうなら、あのファミレスでともちゃんから言われた告白に自己防衛から「応援しなきゃ」って脳で彼女を好きなことを無かったことにしたんだと思う。

そしてありちゃんとのメールのやり取りですら、余計なことをしてしまうほどに隠れて嫉妬していた。

あの時、彼女が泣き崩れた背中を見て自分でも分からなかったしんどい感情を今表現するなら、あの瞬間、優しく話しかけて背中から抱きしめることができたなら、手に入れることができた「あの子」を「友達」として築き上げた関係性が邪魔をして葛藤していたんだと思う。

そして今でも何もできなかったことを後悔している。

本当なら「友達」として「好きな人」として、あの子のちっちゃな手を繋いで、学校という閉鎖空間から飛び出して、気の済むまで走っては、ここじゃないどこかへ行きたかった。

そんな想いを全て背負って。
高校生の「オレ」と今の「私」をすべて救ってくれる最高の一曲なんです。
学生時代にハマっていたバンドが大人になっても未だに私を支えてくれている。
MVでハゲの男が高校生の女の子を自転車に乗せて翔んでいくのが、いまでもあの時の出来なかったことをやってくれているようで本当に救われるんです。
銀杏BOYZ聴いたことない人は是非他の曲も聴いてみてください。


というわけでいかがだったでしょうか?
だいぶボリューミーでしたけど、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

それではまた。バイバイ。

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