そらいろ
年が明けて、二日目の空は雲ひとつない明るいそらいろ。寒さも昨日より和らいで、朝のおけいはんに乗る。七条駅から東山に少し登り京都国立博物館へ寅年初詣。それというのも、新春特集展示『京博のお正月』を観に来たのだ。京都国立博物館のマスコット『とらりん』の元絵の『竹虎図、尾形光琳筆』に始まり『猛虎図、伝李光麟筆』など、寅づくしのフロアがあり、新収蔵品では『100犬図、伊藤若冲筆』のお披露目もあるということで、いそいそと10時過ぎに入館する。先着で寅年のオリジナルとらりんポストカードのプレゼントがあり、ワクワクして今年の初鑑賞に新館へ向かう。
まずは三階に上がり、『寅づくし』を堪能し、二階で『清時代の絵画』を丹念に見たあと、一階では仏像や精緻な工芸品を観る。虎に限らず、『干支合戦絵巻』が展示されていたり、工芸品のそこかしこに虎や獣の意匠が見て取れる。とりわけ『猛虎図、伝李光麟筆』は、伊藤若冲がこれを手本として描いた『猛虎図』があったと思う。
11時頃になると、展示室は人の入りが多くなり、ガラスケース前に横入りするのが憚られる。向かいの三十三間堂からこちらへ人が流れてくるのだろうか、またしてもカフェは満席で入ることができなかった。今見ているドラマが、李氏朝鮮王朝時代劇『イ・サン』なのだが、その中に『図画省』という部署にヒロインが所属している。時代劇中では知らない役職名が多々現れるのだが、顔料を入れる道具や紙箱、筆といった道具と、絵を描く場面を見ると、日本に伝わった数々の元絵は、この部署に勤めていた画員たちによって描かれたのかと、コタツにみかん、猫にテレビも悪くはないと、一人頷く。
『とらりん』の着ぐるみは今日はお休みであった。これは、大変残念なことであったが、満足して博物館を後にし、鴨川沿いにてくてくと歩けば、そらいろの中に吸い込まれて、貴重な骨董品のことをすっかり忘れてしまった。
2022年1月2日 筆
©︎松井智惠
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