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「他の画家など気に留めないであろう雪舟」

 気になっていた、京都国立博物館の「雪舟伝説」=雪舟とその仲間たち展へ、最終日前日に観にいく。

 雪舟の作品が少しばかり。
 国宝の出品が目玉なのでしょうか。
 企画意図が見えない展覧会だった。

 もちろん、雪舟の作品は、良いものでした。

 しかしながら、展示作品のほとんどは、その後活躍する光琳、等伯、蒼白、若冲などなど、綺羅星の如く著名な画家が模写した雪舟の作品がやたらと並ぶ。自ずと全体の質が高いのは、当たり前。しかし、いっこうにときめかず。私の感性が老化したのか。と、思うと残念な展覧会でした。

 とどのつまり、私はSNSに流れる伝説に負けたのだ。

 中国アジアドラマの見過ぎが役に立ち、描かれた村の場面で、人物がどのような意味合いの行動をとっているか、あるいは、この人物はどのような役職かが、わかるのは収穫だった。雑食性の娯楽も、結構役に立つじゃないかと免罪符をもらった気分。

 雪舟の絵について少し、専門の知識もないので、感想文として。
風景も、日本と異なる岩山の自然の中で生まれたあの筆使い。
中国の画家と違い、雪舟の空気感は同じ岩山でもどこか、草食性の香りがする。雪舟は禅僧であることを忘れてはいけない。その後に続く絵師との決定的な違いはそこにあるのではと思う。
 絵の中に仏性が宿っているか否か。禅画について考えるきっかけになったことが、今回の展覧会の収穫。

 朝貢使節だった雪舟。描く絵は、明での浙派宮廷画工の有声や李在との密接な交流や切磋琢磨によって得たもの。それは当時の日本に全くなかった画風なのである。ゆえに後世の才ある画家の心を掴み、彼らは画の秘密に近づ気、習得しなければならなかったのであろう。

あ、HPに「雪舟展ではありません!」と大きく釘を刺しておられました。「みんなの憧れ、みんなのお手本」とも。
大変失礼しました。


©️松井智惠                  2024年5月25日

 

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