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東京で展覧会巡り 其の二

夏休みは作文が長いよッ。

オペラシティを後にして、創業100年の冷麺をお腹に入れてエネルギーチャージ後、かなり心して東京都現代美術館へ向かう。
あまりにも太陽が眩しくてヒリヒリするので、少し手前からタクシー様に乗って美術館前に横付け。これから、かなりの点数の咲く日を見て歩き回ることになるので、疲れ予防である。

企画展は「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」と「開発好明 ART IS LIFE ひとり民主主義へようこそ」
コレクション展示は「MO+コレクション:竹林の七研/ 特集展示:野村和弘 /EYE TO EYE-見ること」の3本立て。

最初から、三つは無理だと予感していた。なので、美術館のお友達に、こっそり尋ねる「どの展示から観るのがいい鑑賞体験になる?」と。三つ、コレクション展の中も小さく三つに分かれているので、合計6っつの企画展示を観たとしよう、どれから足を踏み入れるかで、全く作品の印象は変わってしまう。

まず、「MO+コレクション:竹林の七研/ 特集展示:野村和弘 /EYE TO EYE-見ること」ここからはじめてください。新しく収蔵された作品や、館が収蔵している作品を個展形式で展示されているので、じっくり観ることができます。

入り口にあったのは、大学時代に織物を教わった髙木敏子さんの作品。懐かしい時代を感じます。 

今回は、前本彰子さんの作品群(企画展にも別作品があります)によるインスタレーションがお目当てだったのです。ネットの画像では綺麗なドレスも質感を伴うと、不在ながらも、着る人の感情が渦巻いているような凄みがありました。

「竹林の七研」に展示されている作家の作品には、多くの発見がありました。
小林ドンゲという作家の版画作品を初めて観ましたが、引き込まれます。まだまだ知られていない魅了する作品は世の中にあるのだと、嬉しくなります。朝倉摂さんが、絵の世界から舞台美術の制作に変わっていったことも、初めて知りました。東京ならではの舞台芸術と美術家の関わり深さを感じました。福島秀子さんの作品もまとまった形で観ることができ、実験工房の時代の中で、一人の作家が作品を発展させていく様子を見せる展示となっています。
女性作家にフォーカスされていますが、作品の世界はもっと広く繊細に物語る自立して展覧会でした。

「EYE TO EYE-見ること」は長谷川繁さんの個展。目に入ると、思わず「何、この茄子ときゅうりとバナナと鰯は?」と興味を持ってしまう作品です。薄塗りの油彩なのに絵の具の薄さを感じさせないのは、モチーフが構成された画面全体の構図と色彩のバランスが絶妙だかでしょうか。迷いながらも、迷わず描き進める作家の確かな筆使いが感じられます。

野村和弘さんのインスタレーションは、三種類のコレクション展の一番最後に、いくつかの部屋に分かれて展示されています。
ボタンや指輪、既製品の小さなものの使い方が独特な野村和弘さんの作品。概念的ではあるのだけれども、そうでもない。どう騙されるか、観客に一見優しそうなそぶりを見せつつ、意味は放置したたまま。大人の色気がある作品です。

さて・・・。

ここまでで、もう充分質と強度もある作品を観て外の椅子にへたり込むわけです。「いい作品と展示、コレクションだったなあ」と、コールコーヒーが飲みたいなあと思う。

しかし、ここでお店で寛ぐと企画展はもういいやとなるであろうから、えいやと立ち上がる。なんでここまでしてみないとダメなんでしょうね。がめつく欲深いのがよくわかります。

よっしゃあと、企画展「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」の入り口へ向かう。あら、だんだんお客様が増えているではないですか。午後3時近くなって家族連れの方もちらほら。
かの有名なコレクターがお持ちの作品が2フロアに渡って、ここぞとばかりに展示されています。

わざと、隙間のない構成でもう、文化祭のような量です。どの作品も、それぞれ貴重なものばかりですが、こうやって隙間なく展示すると、見え方も変わってきます。入り口にある草間彌生さんの初期の素描や作品はかなり良いものでした。どれもバリアが少ないので、近づいて鑑賞できますが、作品にぶつからないようかなり気をつかいます。

ふう

大小様々、技法もいろいろな巨大な作品の森に入り込んだ感じです。写真を撮影するのも、意味がないなあと思い、フラフラとコレクターの精神の森を彷徨っている感覚になります。150組の作家たちの作ったものが一堂に介しています。あるコレクターが切り取った時代と作品は、充分見応えはありますが、地下のフロアの展示を観る頃には、似た傾向の絵画が多くて、さすがに飽きて、うっ!ときました。集める人の好みや傾向が現れるのが、面白いところだとも言えます。

現代美術と一言で言っても様々なり。

「開発好明 ART IS LIFE ひとり民主主義へようこそ」は余力なしでパスしました。

もう、美術で頭がいっぱいになり、フラフラ。
まだ次の目的地があるので、本気で休む。
コーヒーフロートに乗っかったアイスクリームの甘さが幸福感をもたらしてくれる。お菓子は魔法。

広すぎるわ〜

続く

*コレクション展からご覧になられることを、お勧めいたします。

©️松井智惠                  2024年8月15日



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