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記憶

私はLの死を直接は知らない。

本当は全部が嘘。

何処か遠くの街で水商売とかをして生き延びていてくれたらなって考えたりする。嘘を吐かれたんだとしても死んじゃってるよりはマシ。

私を含めて友人知人の類いは、Lの家族から悉くよく思われていなかった。知らせを聞いたのも知人経由。

だから、私は冷たくなった彼女を知らない、焼かれて灰になった後の彼女を知らない、暗くて冷たい場所に押し込められた彼女を知らない。

Lは夏が好きだった。
向日葵が好きだった。
海から吹く風が好きだった。
歌を唄うのが好きだった。

いつか忘れなきゃいけないのにね。

最近は気持ちを麻痺させるのが上手くいかない。

誰か忘れさせてください。

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