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地球を爆破せよ!?

シュプートニク1号が打ち上げられてからおよそ3週間が過ぎた。現在シュプートニクは、非常に忙しい日々を送っている。新しく始めた2つのサービス、「レコメン堂」と「Umber Read」が予想以上に反響があり、TV、ラジオ、webサイトなどのメディアにも取り上げられ、サービスを利用した人の投稿からさらに波及した。いまではお店を一時休業する前よりも忙しいそうだ。

今回は、2週間ほど前に、あたくしnomaがUmber Readをお願いした時のことを回想しよう。あれは、非常事態宣言が東京に発令された4日目の4月11日、駒沢公園でUmber Readの引き渡しをお願いした時の話。

では、あの日の様子を、nomaのinstagramからレポしよう。

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指定した時間に現れたのは、アナーキーであり「革命家」志望(偏見?!)で、見るからにベ平連からデモを終えて帰ってきたような黒いヘルメットに黒いグラス、黒いマスク、肩から下げられているのも黒いカバン・・・・といういかにも怪しいのにどこか洒落っ気をおびた姿で現れたシュプートニク。その黒いヘルメットの端には、2枚のマステを貼った上に”Umber Read”と書かれた手書きの文字がしょぼくてかわいらしい・・・・

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写真を見てもらう方が、一目瞭然というのか、その時の様子がきっとうまく伝わるだろう。

黒い服装に黒いヘルメット姿で自転車に乗って彼は現れた。そのスタイルについて、前のめりなシュプートニクにたずねると、「これが制服ですから」...どこか自信ありげにさらっと返ってきた。

この日nomaが注文したのは、3つのオプションから選ぶCセット「シェフの気まぐれサラダが嫌いな店主じゃなくてNくんのゴリ押し3冊」と、無料オプションZ「スタッフNくんとのソーシャルディスタンスを保っての世間話サービス」の2つ。(スタッフNくんは、シュプートニくんのことね!)

http://snow-shoveling.jp 〜詳細はこちらのUmber Readのサイトへ〜

無料オプションの「世間話サービス」もお願いし、シュプートニクの表現でいうところの“ヒューマニズム”についての世間話をした。駒沢公園で、シュプートニクとnoma、うちの夫の3人で、律儀にも2m弱のソーシャルディスタントを保って、2時間くらい話をした。

2時間の「世間話」は、一言でヒューマニズムにはまとめられないような多岐にわたる話なので、簡単に内容の項目だけを挙げると、こんな感じ

✓18で単身アメリカへ             

✓マクドナルドから非マクドナルドへ〜アメリカ上陸編〜 

✓「ええカッコしい」と向上心

✓憲法第25条について 

✓結婚は必要かについて

✓小学校時代の経験

✓死にそうになった時に、死に物狂いで何ができるか などなど

どこがヒューマニズムについてだと一見思われがちだが、会話の中にはシューマニズム?!が見え隠れしている。また、それ以上に話をきいていると、若き日の生意気で血気盛んだった18のシュプートニクの姿がまじまじと目に浮かんだ。

シュプートニクがアメリカへ初めて渡った2年後の97年には、カレよりも1つ年下のnomaが、理解不能の「宇宙人」だと揶揄されながらも北京へと1ヶ月単身で渡っている。またまた、アメリカと中国、東西陣営の話になりそうだが、一見対照的にも見える90年台中頃のアメリカと中国の経験が、シュプートニクにとっても、nomaにとってもその後の人生に大きな影響を与えた地点であったことはまちがいない。

この話から展開した話は、すごく面白いと思っているので、また別の機会にでもじっくり書き留めたいと思っている。

今回は、7つ目の「死にそうになった時に人は(死に物狂いで)何ができるか」というテーマについて。

人は、死にそうになったときになって初めて、死に物狂いになる。

そんなの当然だ。しかし、死にそうとまではいかずとも、「不安」や「心配」、「しんどい」「やばい」という感情を抱くわたしたちは、その「不安」に対してどうしたらいいのだろうか。

言うまでもないことだが、人が抱く「不安」は、人それぞれに違う。同じ屋根の下で暮らす家族であったとしても、国や地域、年代、家族、性別、社会的階級(ブルジョワか、プロレタリアートか)によっても違う。共通の属性に属していたとしても、各々異なるということを前提に立たなければならない。当たり前の話だが。

とりわけこのコロナ禍においては、その不安を軽減できるように働きかける方向よりも、むしろ更に不安を加速させるような状況を余儀なくされる人々もいるだろうと思う。ICUで治療を受けている人やその家族。いつ感染させられるか分からぬリスクをかかえたまま働かざるを得ない状況にある人。今月の家賃、ライフラインの支払いができず、この先どう生活していけばいいかわからない人。stay homeと叫ばれる中、そのhomeにおらざるを得ないことにより、更に暴力などの恐怖が蔓延し、それがいつまで続くかわからない弱い立場のこども、おとな。きっとさまざまな状況の人たちがいる。

ただ、そういった現状も踏まえた上で、わたしたちはこの「不安」にどう向き合っていけばいいのだろうか。シュプートニクに不安についてたずねた。カレにとって、「不安」というのは、beforeコロナからあったもの。しかし、withコロナの状況下におけるカレの「不安」はbeforeとは違う。withコロナ下での「不安」について、シュプートニクはこんなふうに語った。

「不安は大きな楽しみ。

今後世界は変わるかもしれない。変わらなければいけない。今まで以上に人々が政治とかシステムに対して能動的に動いていく、興味を抱く人が増える。民衆運動とまではいかなくとも。どこかで何かを変えるために、誰かが動いたりしていると思う。それが篝火である。

種をまく。その種がどのくらい発芽するかっていう確率論でもある。種が増えている。それがどんどん加速していくのが楽しみである。

afterコロナやwithコロナの方がスピードや量、パワーも、強いチカラになるのではないか。

いや、むしろここで変わんないと、もうダメなんじゃないかな。そういった世論や民衆の声が、大きな変化が訪れることにつながるかもしれないという楽しみがある。」

そんなふうに社会に対する不安を期待に変換し、「楽しみ」ということばで語ったシュプートニク。

共感しながら頷くnoma。これからの状況に期待をせざるを得ない局面を迎えていると思っている。nomaの考えはこうだ。

いま、教育のあり方にしても、仕事の概念や働き方、会社の形や商いの形態、家族や人々の付き合い方、関係性、それらが見直されていくだろう。更には、政治への関わり方(関心も含めて)、地域や社会への参入の仕方など、各個人が属する集団から、もっと幅を広げて国や世界へのコミットメントの仕方も変わるかもしれない。

逆に言うと、今変わらなければ、わたしたちが生きている間には、もう変えること変わることはできないのかもしれないとも思う。

ちょっとしたことでもいいと思う。どこかのデモから戻ってきたようなUmber Readのヘルメットをかぶって、自転車や時には大型バイクで乗り込んでいくようなことをしなくてもいい。ああいうのは、笑ってちょっとホッとするためにあるようなもの。

もっと簡単に誰もができることはたくさんある。でも、変わるということは、簡単にはできない。少なくとも勇気が必要だ。

特に教育なんぞは、根本から見直さなければならない。教育分野だけを独立して変えることはできない。教育の構造やあり方を見直すには、地域や家庭、「仕事の仕方」それらすべてを今一度一度構築してきたものをだーーーーと壊さなければならない。教育に対する価値観の見直しを行ってこそ、初めてそこからシステムや社会の制度の変革へと変えられる。そして教育の見直しをすると、あらゆる問題があぶり出される。それくらい行き詰まっている、爆発寸前である(ある意味では爆発しているのかもしれない)。というような意味で、わたしは岡本太郎ではないが(太陽爆発はすごく好き)教育界、社会全体を完全に爆破しなければならない。大胆な改革が必要となる。

しかし、そんな大きな変革まで一気にいかなくても、ささやかな気づき、小さな変革でも、その積み重ねが、大きな変革へとつながる。それがシュプートニクのいう「種を蒔く」ことなんじゃないだろうか。

小さなことでさえも、何かをする、「他人」に「社会」にコミットするということは、それが本人には疑いようのないほど善いことのように見えても、何かをするだけで「批判」されるリスクに侵される。 新たな問題も山積みになるかもしれない。しかし、そんなリスクを担っても、わたしたちは変わるためには、一歩を踏み出さなければならない。

今はstay homeと言われることが、コロナ感染拡大の収束への助けになると言われているが、同時に考えなければならないのは、afterコロナの状況。この状況下でも面白おかしく動いているUmber Readのシュプートニクがいる。先程、カレのサービスを「ああいうのは、笑ってホッとするためにあるようなもの」と述べた。それも嘘ではないが、きっとこの文章を読んでもらえたら、ことばの裏側に秘められたnomaの強いメッセージがきっと伝わるだろう。そう信じて、そろそろ閉じようと思う。

−次回について−

今回たくさんの強いメッセージがあったので、ちょっとまじめ腐りまくったから、次回はもう少しアホ感を出していきたい。次回はちと息詰まらないようにブレイクタイムにしようか。シュプートニクとnomaの米中経験対決!?でも取り上げようかな。きっとふたりとも若造過ぎて面白いであるよ。


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