見出し画像

防弾少年団(BTS)のRMが熱狂ファンである「Lee U-FAN」は誰?


 「作品鑑賞しました。先生。私は「風」が好きです。」

(写真:プサン市立美術館インスタ)

 防弾少年団のリーダーで現代美術の愛好家であり、コレクターであるRMが2019年、韓国のプサン市立美術館で開かれたSpace Lee U-FAN展に訪れ、残した芳名帳の内容が話題になった。

 このSpace Lee U-FANは、韓国の全国自治体が熾烈な誘致競争を繰り広げた後、プサン市が誘致に成功し、2015年4月に開いたものである。

 RMは、プサンでのファンミーティングの前に、マネージャーと二人で静かにこの美術館を訪れた。この訪問は、Lee U-FANの個展が開かれたフランス パリ―のポンピドゥー・センター ・メスの間違いでポンピドゥー・センターに行ってしまい、個展を見逃してしまったため、訪れたものだった。


 RMは韓国現代美術の巨匠であるLee U-FANの大ファンらしく、展示作品の「風シリーズ」から「アーティストの制作中の苦悩をしみじみに感じた」と主席キュレータへ伝えたよう。

※このRMの訪問後、観覧客が4倍も増えたとのうわさも。

 Lee U-FANは、現在、韓国国内生存作家の中、もっとも高い値段で取引される作家である。物故作家である金換基(Kim Whanki)に次いでオークションでの落札総額2位である。

 では、RMがわざわざ芳名帳に残すほど感銘を受けたLee U-FANって誰でしょう。

 Lee U-FANは、日本や韓国現代術の巨匠で、日本の現代美術においてもっとも重要なムーブメントであった「もの派」の理論を導いた人である。

 ソウル大学美術大学を中退した後、来日し、日本大学文理学部哲学科に編入、卒業する。

 当初Leeは、ソウル大学文学部志願だったらしいが、成績が至らず、進学を諦めようとした時、担任の先生から「美大でも文学を勉強する人が多い」との勧めを受け、美大に入学したらしい。

 来日後は、1969年「事物から存在へ」の評論で「モノ派」の理論の土台を作る。その後も評論を出し続け、総40編余りの評論を出す。

 どのムーブメントもそうであるように、Leeの評論が理論的な土台になって、モノ派も日本美術界において1,960年代末から1970年代中期まで旋風を起こした。評論家として認知を得たLeeは、その後は、作家として活動する。

 彼の作品は、関係を取り扱っている。単純なモノがモーチフになるが、そのモノと余白のある全体空間を演出する。その空間では、作品と作品外の世界を改めて認識させ、感じさせるダイナミズムがある。そのために主に使う概念は、「Dialogue (対話)」である。すなわちモノとモノが出会う姿を通して「対話する関係」を表現するもの。

 文字による説明だけでは、分かりにくいので、実際の絵を観てみよう。

東風(写真:ソウルオークション)

 まずLee U-FANの作品を観てみよう。

東京では、今年8月から国立新美術館開館15周年記念李禹煥展が行われる。東京で初めての大規模な回顧展であるので、ぜひチェックしてみてください。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/leeufan/

 また、常設展では、香川県直島の李禹煥美術館で観覧できる。

https://benesse-artsite.jp/art/lee-ufan.html

 Leeの作品を買うためには、New Yorkに本拠地を置くメージャーギャラリーである「Pace Gallery」で問い合わせすることで購入が可能である。また、オークションで落札いただくことで入手可能である。日本のオークションでも作品が出品されているので、チェックしてみてください。

 BTSのRMは、特に現代美術に興味が高く、色々な作品を鑑賞していて、またコレクトしているが、その中でも韓国の巨匠を中心とした韓国作家に興味を見せております。

特に彼は、Lee U-FANの大ファンです。

 評論で日本の芸術界に衝撃を与え、また作家としても旋風を起こした現代美術の巨匠、Lee U-FANをぜひ押さえておきましょう。特に東京での展覧会は、ぜひ訪れてみましょう。

※余談ですが、2021年10月SBIオークションプレビューで初めてLee U-Fan先生の作品を肉眼で観ました。コロナなどで知らずにストレスを受け、ちょっぴり傷つき、疲れていたせいか、余白のあるこの作品が迫って来ました。この作品は、原画ではなく版画だが、市場金額の2倍に近い460万円で落札されました!

SBI AUCTION カタログから

 また、余談ですが、日本のオークションハウスに、韓国コレクターからLee U-FAN先生の作品についてのお問い合わせが多いとの話を聞いております。韓国では人気が高すぎて、韓国と比べ、日本の方がお求めしやすいからです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?