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餃子とビールには、いつだって敵わない。

23時ちょうど。
PCの傍らには、もう泡も消えてしまったビールが半分くらい残ったグラスと、冷えた餃子ひとつと茄子のぬか漬け一切れがのった皿。

餃子はもともと6つあった。
いや、18個あった。
いや、餃子じゃなくてもよかった。

湯船に浸かりあたたまった身体で携帯をいじっていた21時過ぎ、突然、口が何かしらの肉を食べたくなった。同時にシュワッとした飲み物で喉を潤したい衝動も発生した。
しかし少し冷静になると、胃腸が空っぽではなく腹ペコ!ではないことがわかる。「ここは29歳、大人になろう」ということで、肉およびシュワッとドリンクの衝動は一度流し、目的もなく開いている携帯の画面をまたスクロールする。
その親指が止まる。
なんとも旨そうな熱々のとんかつの写真が、画面いっぱいに表示された。ああ、SNSというのは罪深い。サクサクで身厚のとんかつ、食べたい。食べたい。食べたい。

今日の昼食は、白米に豚汁、納豆だった。13時頃。
それから16時半ごろにマフィンとコーヒー。

21時現在、まだ寝るのにはちょっと早い。
進めたい作業があり気持ちも乗っているので、PCを開こうと思っている。

気がつけばわたしはフライパンを温めていた。

長らく冷凍ストッカーで眠っていた餃子の存在をわたしはしっかりと覚えていた。もはやちょっとした心の支えでもあった。instagramで見かけて心奪われたのはとんかつであったが、しょっぱくて、にくっけがあって、ビールを美味しく飲めるものだったらなんでもよかった。
(そう、少し脱線するが、非常に恥ずかしい話、お風呂に入る前に350mlの缶ビールを1本だけ冷蔵庫にいれた。もうその時からこうなることを予感していたのだと、負けを認めていたのだと、いまとなっては思う。)
冷凍餃子に、長い間蓄えていたそのポテンシャルを発揮するタイミングが訪れたのである!!

熱された油で光る、たまご焼き用のフライパンに餃子を等間隔で並べる。
5個並べたところできれいにフライパンの長辺に収まったのだが、冷凍餃子は6個✕3列=18個の1シートで構成されていた。ちょっと悩んでから6個目をフライパンのスミに設置し、残りの2列分12個は再び冷凍ストッカーに戻した。

白い煙がちら、とたったところで水を注ぎ、蓋をする。
その間にぬか床から小なすを取り出しスライスして、タッパへ。このとき視界の端にちゃんとフライパンを捉えておくことと、聴覚はそちらへ傾けておくことがポイント。
蓋の開け時は音で見極めるのだ。
注いだ水がほとんど蒸発してしまって、高めの、パチパチという音がしはじめたら蓋をとると、ちゃあんと餃子の耳まで半透明になって火が通っているのである。それから数十秒〜1,2分焼けばできあがり!いざ、薄手のフライ返しを餃子と鉄板の間に滑らせる。

…カツン。
フライ返しが途中でつっかえる。

ここで我が家のフライパン落とし穴。油通しが上手くできておらず、こべりついちゃうもんだいが発生。
くうう、せっかく上手く焼き加減を調節できたのに…と思いながら、力づくでフライ返しを押し込んで餃子をひっくり返す。ああ、一つは完全に皮がフライパン側にくっついてしまったがやむを得ん。
なにはともあれ、熱々の餃子が焼けた!!

グラスに金色のビール(冷えが甘いがそれもご愛嬌)、ちょっと皮が向けた餃子に茄子の糠漬け、22時半。
もはやPC作業はうすっぺらい免罪符だった。


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