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正しい判断に導くために(ジョン・ロック)

僕たちは、周りの人たちの意見や情報を鵜呑みにして「〇〇〇さんが言っていたから正しい」と信じたり、自分の経験にもとづいて「これは〇〇〇だ!」とすぐに結論付けたりすることが少なからずある。

確かにその方が楽だし、何ら日常生活を送るうえで問題ないことも多い。
しかし、中には偏った判断をしてしまい、その後大きな問題や失敗になってしまう原因になることもある。

僕自身、学生時代お付き合いしていた彼女に「女性はみんなケーキが好きだろう」と考えケーキをプレゼントしたら「私、ケーキ嫌いなの」と拒否されたり、会社の先輩から「この場合、〇〇〇すると上手くいくから」と言われ、その通りに顧客対応をしたら大失敗して修復するのが大変だったり・・・と、やってしまったあと、「もっとちゃんと調べておけばよかった・・・」後悔したことも多々ある。

「何が真実なのか?」「それは個人的な考え方であってすべてに当てはまるわけではないのではないか?」ということを冷静に考え、あらかじめ必要な追加情報を調べたり、全く立場の人に意見を聞いたりすることで、トラブルなくものごとを進めることができたであろう。

そのことに対して「理性に関する『3つの過ち』」と表現し、警笛を鳴らしているのは、ジョン・ロック(1632-1704年)というイングランド生まれの哲学者・政治思想家である。

ジョン・ロックは著書「知性の正しい導き方」(下川潔訳、ちくま学芸文庫)の中で、「3つの過ち」について次のように述べている。
(分かりやすく表現を改編)

①自分の力で考える苦労をせず、自分の好みの人の言うことを信じてしまう
②自分の中に沸き起こる感情を重視し、都合の良い判断をしてしまう
③幅広く全体を見渡さず、一部の面だけを見て判断してしまう

③に関しては、「自分の才能にひどく自惚れているような人物でも、ほかの人たちと話をし相談することがどれほど有益であるか分かるでしょう。たとえ、自分よりも理解の能力や速さや洞察の点で劣っている人たちに相談したとしてもです。」とも述べている。

確かに、自分と同じ環境で同じ経験をして育ってきた人はだれ一人としていないし、自分の見えていないところを見えている人からもらった情報やアドバイスによって、アハ体験をすることも多いことからも、納得できる。

ジョン・ロックは言う、
「私が想像するに、大部分の人たちは、自分の知性をなおざりにしているために、それぞれ自分なりに到達しうる地点のはるか手前までしか到達していません」と。

人は自分がもっている知識や経験などにもとづいて日々の決定を行なっている。さらにはその国の文化や社会通念からくる習慣や常識などが前提として影響を及ぼしている。
そのことを理解した上で、「3つの過ち」を意識して、
「それは真実か?」「全体像の中で、自分の見えていない見方や考え方はないか?」
を考え、学び、日々の決定に活かすことができるようになりたいと思う。

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