綾辻行人『黒猫館の殺人』

 読みました。以下犯人について触れます。

 二件目の殺人事件については犯人はわかりました! やったね! 死体発見時の動きが明らかにおかしかったので。一軒目の殺人事件については犯人はわかりませんでした! 残念! いや遺体の描写が絞殺にしてはおかしいなとは思ったんですが。

 鮎田さんが天羽先生であることは比較的すぐに察しがついたのですが、名前が鏡文字になってるところまではわかりませんでした。年齢が近いからというメタ推理をしてしまっていたのですが、ちゃんと確信を持て推理できるの要素があるのがいいですね。名前については過去作でアナグラムを使っていたのでもう何もないだろと思ってあんまり考えなかったのがよくなかったな。

 建物が二軒あるのはタイルの色とか部屋の配置とかの描写があきらかにおかしかったのでなんとなくわかりました。鏡だ鏡だと言い始めてからもう一軒が建ってるのははオーストラリアかなということは推測できました。ただゆかりのある島があるという話については忘れてましたけど。

 手記の舞台がオーストラリアであるということがわかってから、氷でドアに鍵を掛けるトリックについては気づきました。よく読むと、天気が悪いことについては書かれているけど、雨が降っている描写はない。上手いですよね。ただ雪に埋まるようにして倒れてることを「地面に深く埋もれるように」とは言わないんじゃないかな。

 今回違和感には多く気付いたんですけどそれを推理につなげられたかというと微妙だったかと。大分わやわやしてしまった。もっとしっかり筋道立てて推理できたはず。だらだら時間をかけて本を読んでしまったのがよくなかったな。

 『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』だけでなく作者の「ルイス・キャロル」にまでからめて作られていて、テーマ性が強くまとまっていて良い話でしたね。アリステーマの作品は多くありますが、『黒猫館の殺人』は頭一つ抜けてるんじゃなかなと思いました。私も多く作品読んでるわけではないですけど。

 今作命がかかってるとか緊迫した状況ではなかったので、鹿谷さんと江南くんがゆっくりできていたのがよかったですよね。『十角館の殺人』以来じゃない? てゆうか担当編集にまでなってるとは思わないだろ!! これで晴れて鹿谷さんと江南くんがバディになったようで嬉しいです。これからも二人で事件にまきこまれてくれ。

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