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冬が始まるね

もう、22回目となるこの12月。何度経験しても、初めてのような緊張感をもたせる慣れない不思議な月のように感じる。浮き足立って歩く人々や、町中にともるイルミネーション、どこからともなく聞こえてくるクリスマスソングを聞くたびに私は泣きたい気持ちに駆られそうになりながら可愛いショーウィンドを横目に早足で歩いていく。それは、恋人や友人家族と過ごす12月でも同じで私はいつまで経ってもこの12月という月に上手く馴染めずにぷかぷかと漂っている気がする。
子どもの頃確かにあったあの胸の高鳴り、誰かから聞いたクリスマスの可愛い思い出、街中ですれ違う幸せそうな2人。私は12月が確かに好きだったはずなのにいつの間にか12月が近づくと誰とクリスマスを楽しむか、年末はどうやって過ごすかそれによってそれによって価値が決められるような気がしてそれが私を焦らせる。クリスマスは幸せでないといけない、年末は家族でいないといけない。誰もそんなことは一言も言ってないはずなのに、そのあたりまえにいつの間にか怯えてしまうようになっていた。クリスマスを迎える度、これで間違ってないのだろうか?年末が来る度に、実家にかえらないといけないよね?と合わせることに必死で私は純粋に楽しめていない。急に訪れる寒さを誤魔化すように誰かと身を寄せあって、寂しさを誤魔化しているだけなんじゃないのだろうか?なんて考えてしまう自分はもしかしたらすごく冷たい人間なのかもしれない。ディズニーランドでみんなとカチューシャつけてる感覚に似ている。みんな純粋に楽しんでいるのが伝わるのに、私1人同じ熱量で着いてけないこの感じ。別に嫌いなわけじゃない。でもサンタさんはいなかったと分かってしまったし、実家以外の世界も知ってしまった。自由を手にした分不自由に感じることもあるなんて私知りたくなかった。実態のしれない夢を信じていたかった、帰る場所なんてひとつで良かった、いつまでも子どものままで12月を好きでいたかった。そんなのはただのわがままだって、昔夢見たサンタに告げられたい。そして、そのまま見知らぬ街に連れてかれて年末はそこで過ごしてみたい。それが無理なら今年の12月は心の底から楽しんでみたいです。余計なこの思考から逃げて、可愛いショーウィンドにはしゃいでマトリョシカとかスノードームとか買っておうちに飾るみんなみたいなかわいい女の子になってみたいです。喧嘩せず、家族みんなで年越しそば啜ってみたいです。2022年小さな希望を持ってみたい。


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