女性的を定義したリーダーシップ論に注目
リーダーシップはスキルである。
経営学の視点で語られるリーダーシップの中に、そういえば女性の強みから発見したリーダーシップの考え方があったなと、2015年に読んでいた本を今回読み直してみた。
本書は、献身的リーダーシップを提案。世界の潮流と今の時代に照らした時に、このリーダーシップ像が必要かもしれないというお話だ。これは、共感の時代の象徴とも言える考え方だと当時は思った。
世界中で起きている事柄の事例集のボリュームがやや多いが、一部希望が持てる構成には共感する。世界は人一人の行動で変化すると思わずにいられない。
女性的という視点を分解し定義する
行動心理学の視点でうまくいっているやり方を抽出すると、何が男性的で何が女性的なのかが見えてきたとある。対象調査人数も、32,000人+125の資質(13カ国を対象)としている点では標本の目安としては十分そうに思う。
その対象をリスト分け。性別を抜きに資質の指標に照らすと、リーダーシップに求めることは女性的な資質が多めと統計的に相関が読み解ける結果となったようだ。
キーワードは、柔軟・忍耐強い・直感的・協同的が並んだ。男性的な部分は、逆境に強いがあげられる。求めることを成功の軸に変えても、似たキーワードが正の相関を見せる。
特に個人的に面白かったのが、人々が求めるリーダーシップ像にも成功にも忍耐強い特徴が欠かせないのだなと感じたことだ。
これは13カ国どの国であっても同様らしく、他にはつながり・謙虚・率直・共感・信頼・寛容・柔軟性・弱さ・調和が並ぶ。
本書は現代社会の課題解決(これは課題が複雑性を持つVUCAと捉えて良さそう)において役立つのは男性的より女性的な資質だと考えている。
まさに近年問われる弱さ(自分は完璧ではなく失敗もあると認める勇気)の話である心理的安全性にも繋がる。多様性でもあり、男性にも女性的な資質を求めていて、取り入れてほしいと求められる結果と読み取った。
リーダーシップも認知的多様性が強調される時代
献身という言葉をどう捉えるかにもよるが、辞書的な解釈より、自己犠牲というよりは、利他的であると考えるとよさそうに思う。
加えて、リーダーシップ論は時代と場面によると解釈している。情熱が必要か献身が必要かと、環境やチームを想像してから当てはめるとよさそうに思う。
協働的な要素を強調して共に働く時間を増やすといった工夫が必要なのか。それとも、プロジェクトの推進に情熱を持ってひっぱる存在が必要なのか。これは、状況によるし、スキルとして使い分ければいいように思う。
スキルなので環境適用という捉え方が必要でデッキゲーム思考なのかもしれない。つまり、選択肢の一つとして押さえておきたい。
本書を読み通すと、女性的価値観のとりいれが男性社会中心だった社会に必要だという締めに思う。排除ではなく共存。男性だからでも女性だからでもなく、資質の見極めがリーダシップ論に必要だ。
マネジメントの分野でリーダーシップを語る時には、この献身さも本書を読み直しても今は必要な時代だと感じた。多様性を尊重する時代でもあり、成果を求めるチームにも必要な要素だろう。
共に働くを意識していきたい。
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