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戦略人事の潮流はルービックキューブを揃えること

HRBPはヒューマン・リソース・ビジネス・パートナーというらしい。

最強の戦略人事―経営にとっての最高のCAO/HRBPになるを読んだ。

原著は、Mastering the Cube: Overcoming Stumbling Blocks and Building an Organization that Works。著者のコンサルタント会社ではHRBPのスキルアップを扱い、本書は組織アラインメントについて語っている。

ここ、2,3年HRBPやCHROなる言葉をHR関連を調べていると戦略人事なる言葉と共によく聞くようになった。そこで本書を手にした。導入部を読むと、戦略的な人事部門があり、その遂行にHRBPが欠かせないと読み解ける。

CAOはチーフ・アラインメント・オフィサーの略。HRBPの専門性を持ちつつ、戦略と組織と人材の3つを整合(アライン)させる役割とのこと。本書に関わった会社はこちらで対談も収めている。

対談より、ルーツはHRチャンピオンことHuman Resource Champions: The Next Agenda for Adding Value and Delivering Resultsのようだ。本書も言っているが、やや欧米的と見えるのは戦略がトップダウンアプローチだからか。

主に組織のアラインの話が登場し、8つの阻害要因と成功要因に分けてリーダーシップの取り方を解説しているのが本書の全体像だった。これらの前提を持って本書を読み進めていった。

アラインメントリーダーは並べて方向を揃える

適材適所ではなく適所適材。

組織には様々な選択肢(報酬制度、組織構造など)が存在する。本書ではその選択肢を適切に選ぶルービックキューブの6面を揃えるような役割が必要と説く。キューブの一面だけをそろえる部分最適化を警告している。

日々の業務が変わらなければ、出せる結果は変わりません

引用:最強の戦略人事―経営にとっての最高のCAO/HRBPになる
P.52

戦略は捨てることは本書でも登場するが選択肢を選ぶにはトレードオフが必要だ。その際に日々の業務プロセスの一面を観察し見直す必要があるなと本書から教わる。戦略>能力>選択のイメージは常に持ちたい。

リンクメーカーを言語化する

本書で響いたのは、協働促進術(リンケージ)の話。

協働促進術(リンケージ)とは、組織の境界線を超えて協業する必要のある人々をまとめるメカニズムです。

引用:最強の戦略人事―経営にとっての最高のCAO/HRBPになる
P.82

あらゆるグループの人々をカジュアルに結びつける方法が言語化されていることが心強かった。このポジションで戦略的な視点でもって動きたかったのでなおさら響いた。フォーマルな場でなくても動ける役割がある。

結局、組織は協働がベースだ。その協働を促進する役割もやっぱり必要なんだ。あらゆる溝を多面的に立体的にとらえて橋を架ける動きに目を向けていきたい。そのためには戦略的に動きたい。

本書では、リンケージは組織構造に命を吹き込む切り札とも言っている。これをやりたいんだと共感する箇所があった。

経営にとって最高の人事とは

本書を読み終わってびっくりしたのはHRBPの話ではなくて、アラインメントの話が中心だったこと。これも一応HRBPの話なのかもしれない。

漠然とHRBPってなんだろう?と思って本書を手にしたが、名前はともかく戦略を元に動ける人が必要なんだと感じた。その軸でもって私は、リンケージを意識して組織間を渡り歩く人になりたいなと感じた。

本書のまとめにチェンジ・マネジメントや変革のリーダーシップなど、これも今時聞く言葉が並ぶ。経営層の考えを理解し現場に伝える選択肢コントロールのプロは変化に対応できる人を指すのだろう。


※ 画像の出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」 (https://rnavi.ndl.go.jp/imagebank/)

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