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動機づけ面接法のポイント①

相談援助をしていると、明らかに不健康な生活をしているのに『全く変わるつもりはない』という人によく出会います。

前回もお伝えしましたが、変化に向けてはステージがあります。

前熟考期:何かを始めるつもりはない(半年以内に)
熟考期:何かを始めるつもり(半年以内に)
準備期:いくつかの準備をしている(1ヶ月以内に)
行動期:すでに行動を始めている(半年未満)
維持期:行動が変わって定着している(半年以上)
※2014 Prochaska

健康問題に無関心な人は、変化のステージでいうところの『前熟考期』にいます。

そんな人に出会うと、あなたは(健康診断を受けさせて検査結果と直面させるのが近道だろう)と考えると思います。

そして、こんな会話をするでしょう。

あなた「そろそろ健康診断に行きましょう!」
相手「ん〜でも、病院嫌いなんですよね〜」
あなた「40歳以上は年1回の健診が義務ですよ!」
相手「ん〜でも、行かなくても罰則はないでしょ…」
あなた「罰則はないけど健康あっての人生ですよ!」
相手「ん〜でも、今は何ともないし…」

出ました。暖簾(のれん)に腕押し状態…
手応えゼロの会話シリーズ…
あなたは、本当に本当に良かれと思って情報提供するのですが、相手は『でも』と言って反論してきます。

ここで一つ耳寄りな情報をお伝えします。
『人は自分の言った言葉を信じる』の原則です。

『でも』の後に続く言葉は「病院が嫌い。行かなくても罰はない。今は何ともない。」などと、全て現状維持の怠惰な自分を支持する言葉です。だから、その言葉を信じて変わらない決意を固めるのです。
このように変わらないことを支持する言葉を『維持トーク』といいます。

たしかに考えてみればそうなんです。
不安や恐怖への一般的な反応は『逃避』なんです。
「病院に行け」って球をいくら投げられても、怖いから『でも』と言って受け取らないのは必然です。

だからこそ変化することに対しては戦略が必要になります。
そこで最適な戦略が『動機づけ面接法』なんです!

あなた「あなたの一番の心配事は?」
相手「ん〜 ずっと働き続けられるか心配だなぁ…」
あなた「具体的には?」
相手「なんか最近、身体がダルくって…」
あなた「あなたなりに対策していることは?」
相手「お酒は控えてます!」
あなた「他にも考えていることはある?」
相手「歳も歳だし健診は行った方がイイのかなぁ…」

ここで もう一度、耳寄りな情報をお伝えします。
『人は自分の言った言葉を信じる』の原則です。

先ほどと違って「働き続けられるか心配。体がダルい。お酒を控えてる。健診に行こうか。」と、健康に向かう発言が増えています。そうなんです。その言葉を信じて徐々に変わる決意を固めはじめるのです。
このように変化に向かう言葉のことを『チェンジトーク』と言います。

動機づけ面接法では『動機のない人はいない』という前提に立ちます。
誰もが『変わりたいけど変わらない』というアンビバレンス(両価性)の天秤の上にいるものです。
だから、戦略的に『チェンジトーク』を導き出すことで、その天秤に『変わる側の重り』を乗せていったほうが変わりやすいわけです。

維持トーク vs チェンジトーク
さて、重りはどちらに多く乗せられるか?
さて、天秤はどちらに傾くことになるか?
その鍵を握るのは『動機づけ面接法』です!

以上、今日はここまで。

よろしくお願いします。


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