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京極夏彦がオモチロクてたまらない

タイトルは水木しげる先生から拝借

京極夏彦の「狂骨の夢」を読んでいる。もうすぐ終わりそう。読み終わってからだと完走した達成感から「何も言えねー」って何も言わなくなるので、一番気分が盛り上がってる今感想を書いちゃう。オモチロイ!

京極夏彦は名前は知ってたけど何となく怖い。字面だけでもう何か怖い。
もう亡くなった小説家ぐらいに思ってたらびっくりするぐらいご存命!ていうか思ってたより全然若かった。これ完全に犬神家の横溝正史とごっちゃになってるな。すみませんでした。

そんな印象だったもんで、外出中に夫に「狂骨の夢」を勧められた時も「うん、また読んでみるわ!」って快活に答えたら、その足で車でブックオフに連れて行かれ、「あったよ~!」って探して持ってきてくれて、その後「読みーや!」とファミレスに連れて行かれたもんだから、もう完全に読むしかなかった。完全なるアテンド。

と、デニーズで読み始めたら最初っから面白い。いや、オモチロイ。ドリンクバーが進む進む。

題材は、妖怪(民俗学)、宗教、神話、心理学、記憶喪失と二重人格、集団自殺事件。
時代は戦後で、主要キャラクターは古本屋(で神主)と小説家と刑事と探偵と釣り堀屋の主人と元精神科医と牧師。

どうです…?面白そうでしょう…!?グフフ~!

ネタバレしない程度に物語のあらすじを書くと、
前半に「朱美の告白」を中心とした不穏なエピソードが続き、
中盤にそれらが繋がっていくつもの大きな謎に発展していき、
後半は主役の京極堂が華麗に謎解きをする。

この謎解きのターンに入ってからの複数のピース(不穏なエピソードたち)をつなぎ合わせて一枚の絵(真実)にしていく感じが心地いい。
謎を解いても別の謎が膨らみ、「ちょっとちょっと~どうすんの~?」ってさらにワクワクする。

もっと細かい感想書いていい?書くね!

前半は「朱美の記憶と告白」「髑髏」だけを共通とした、別の主役を立てた話がいくつか続きます。
なかなか話は見えないし、暗いし、難しい言葉も多いし、絶対に読みにくいはずなのに文章が抜群に面白くて「読める…絶対読みにくいはずなのに読める!」ってなる。
言葉の怪しさと情景がありありと浮かぶ表現力よ。すごい。

中盤に入って主要キャラクターが続々と登場。
「狂骨の夢」はシリーズ3作目で主要キャラクターたちは他の作品にも出てくるらしいんだけど、そうとは知らずに読んでいた私は「急にめちゃくちゃキャラクター濃い人たちが集まり出したけど」って戸惑いました。先に言ってよ~。

しかしこのキャラクターたちが…いい!
小説を読んでてこんなに脳内で登場人物を実写化できたの初めて!メディアで公式に実写化されてるかもしれないけどむしろ絶対知りたくないなぜなら私の中で完成しているから。探偵の榎木津(外見は想像上)が最推しです。みんな良いけどね。超いい。

中盤は登場人物が一気に増えるし、謎が謎を呼ぶし、展開的には一番ややこしいけど、前半の暗くて不穏な雰囲気から軽快な会話劇が中心になるので内容がスルスルと入ってくる。すごいよ!京極さん

前半は読みやすいとはいえ「読まなきゃ…終わらない…」って気持ちがあったけど、中盤から物語に活気が出てきて一気に面白くなってきて「読ませてください!お願いします!」というマインドに。これは推しが出来たからという理由もあります。きっとあります。

後半の京極堂の謎解きシーンも、何にでも詳しい京極堂のうんちくが凄まじいので置いてかれ気味になるけど、他のキャラクターたちも一緒に置いてかれ気味なので「な、何言ってんだよ!」とか言って質問してくれるから何とかなる。みんなも一緒に頑張って振り落とされないようにしような。
しかし京極堂、後半にやっと出てきたくせに全登場人物の台詞の総量を上回るぐらいよく喋る。

民俗学(妖怪、祭り、民話)にはここ数年妙〜に興味が出てきていたものの、どこから手を付けていいか分からなかったので、この作品で「民俗学欲」がかなり満たされました。でももっとホリホリしたい。

加えて宗教、心理学、神話が混ざるとなればかなりカオスになりそうなのに、「髑髏」をテーマにきれいにつなぎ合わせて鮮やかに作品に昇華させてて、しかもかなりオモチロイ。
史実も含まれてるし(どこまでがフィクションかもう分からない。教えて京極堂!)どんだけの時間をかけて取材してるのか。しかも京極夏彦って会社員しながら暇つぶしに小説を書き始めたそうな。す、すごすぎる。

さ、あと2日もあれば読み終わりそう!
サクサク読んじゃうといいながら読み始めて二ヶ月弱かかってます。前半に…ね、チンタラとしましたから…。あと分厚いですから…。

ところで、これ妖怪小説だよね?
「狂骨」という単語はやっと出てきたけど、まだはっきりと妖怪としては出てきてないんだけど。もしかしてもう出てきてるの?出てきたら「俺は狂骨だぞ!」って言ってくれるの?

今日読んだら出てくるの?マジでもう読み終わるよ?と心配しながらフィナーレに向かいます。もう出てこない気がする。

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