03_パラサイト

パラサイト 半地下の家族

3回目にして旬の映画のこと書きます。

「ジェットコースターみたいに振り回される」という評を見てなるほどなと思い、観た後に夫にそれを言ったら「ジェットコースターは徐々に上っていって落ちる瞬間に『落ちる!』って分かるけど、これは急に落とされる」って言われてなるほどなと思った。

罪が重なるにつれ確実に上へ上っていく。突然突き落とされるのも分かってる。でも上ってる気がしなかったのは、ドリフ感のせい。ミッションインポッシブル的なお約束のハラハラ感はあるけど、ドリフっぽいから「そんな悲惨な事にはならんだろう」と妙に安心してしまう。突き落とされて「そういえばそういう映画だった」と気付いた頃にはもう叫ぶしかない。そんな130分だった。
ずっと夢中で、終わって「え、130分?そんなにあった?」と唖然。でも確かに途中で「もうやめてくれ」と思わす長さ。作品に合った時間。

経済格差と「それを笑うしかない」という点で、テーマはほとんど「ジョーカー」。というか、まんま同じような絵もあった。ジョーカーはコメディではないけど、主人公はコメディアンを目指していたし、実際、悲惨すぎて「いっそコメディなら」と思いもした。それを「また見たい」と思わすかっこよさも備えてるのですが。ああ、また見たい。

涙と笑いは対になっている。私自身、自虐ネタが冴えすぎて「ボビーはちょっとかわいそうなぐらいが一番面白い」と言われたことがある。その時も、笑いながら泣いた。
恐怖と笑いも対になっている。子供の頃に見た映画「IT」が怖くて今もトラウマなんだけど、大人になってから見た人は「あれはギャグ」だと言う。本当に?何度も夢に見たのよ?
悲しすぎて笑っちゃう。怖すぎて笑っちゃう。負の感情と「笑い」の相性が良いのは、なんか皮肉だな。

話が逸れました。
パラサイトはコメディとしてもホラーとしても社会派としても満点だった。本気で笑ったし本気で怖かったし、観てからしばらく考えさせられた。
映画にひっかけての記事を読んで、韓国の格差社会についても知った。何度も出てくる「計画」という言葉の背景や、半地下(不動産)に住まざるを得ない状況、袋小路のように貧困から抜け出せなくなる実情、など。
アメリカでも流行っているとのことで、「ジョーカー」のヒットもあり、経済格差は世界で広がっているんだなと知った。日本はどうだろう。「万引き家族」を観てみようと思う。

映画はいろんなことを教えてくれる。過去も未来も、今、生きてるだけじゃ実感の無い事も教えてくれる。だから旬の映画も観ないとね。

(ここからちょっとネタバレ)







最後のシーン、夫と私で「希望」と見るか「絶望」と見るかで意見が分かれました。それだけですごい映画だと思う。

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