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13日目~帰国:アイスランド西部(レイキャビク)

じきに最終回と思うと手が止まって、先送りにしてしまう癖があります。好きなバンドが解散したら未知の曲を残しておいたり、ドラマの最終回を見なかったり。

そんでもって終わらせずに忘れるのも悪い癖で、ベトナム縦断旅行記も後半のハノイで止まったまま。この悪い癖を打破するためにも(2年半かかったけど)アイスランド旅行記をちゃんと終わらせます。かかりすぎやろ。

今回は帰国前日と帰国当日の記録です。

プレートの境目の上の、彼方と故郷

いつもは昼までホテルでのんびりですが、この日は最終日なので朝早くから動きます。いざ、車で1時間ほどのところにあるシンクヴェトリル国立公園へ。

アイスランド初日に走った道を再び走る。十日前は夫が左ハンドルやランダバウトに慣れずに運転中にパニックになったり、急な寒さで夫の顔色がみるみるうちに青くなったり、私の膀胱が破裂寸前でトイレに滑り込んだり…色々とフラッシュバックしつつ、今は余裕の運転、余裕の膀胱。私たち、成長したね!

十日前に猛スピードでスルーしたこの国立公園。アイスランドの自然は散々堪能したしもういいかな?と思いつつ、あるものが見たくて舞い戻った。

ここには世にも珍しい北米プレートとユーラシアプレートの境目が地表に現れているギャウがあって、この2つのプレートが地球で裏側で接しているのが日本。もっと言えば、父の生まれ故郷である新潟県糸魚川市です。

成人するまで、夏休みと冬休みに毎年二度訪れていた糸魚川。昔からなじみのある場所が憧れのアイスランドと繋がっていると知った時は「行くしかねえ!」と拳を握り締めた。ま、日本側のプレートの境目は糸魚川から伊豆にかけてあるので、糸魚川だけではないのだけど。

雨風が強かったのと、人が多かったのと、時間が無かったのとで、ギャウの間を少し歩いてサッサとレイキャビクに戻る。本当はゆっくり散策できる場所がたくさんあったり、泉でシュノーケリングできたり、一日楽しめる大きな公園です。すぐ帰るには少しもったいないね。

レイキャビクでラストダンス(散策とお買い物)

昼過ぎにレイキャビクに戻って散策&お買い物。そういえばアイスランドにいる間は一日二食が普通になってたな~。

こちらの写真、に写ってる場所、後で調べたところ首相官邸の敷地内でした。マジかよ普通に入れたやん憩いの場やん。国民に不満があるときはトイレットペーパーや落書きで荒らされるそうです。屈辱的!

美術館は残念ながら着くと同時に閉館。かろうじてショップは開いてたので、美術館の外壁と同じデザインのバッグを購入。超かっこよくて帰国してからも日常使いしてます。もう一枚買っておけばよかった。

観光客だからベタな事もしました。こちらは2008年にアイスランドの経済が破綻した後に戒めとして立てられたそうです。以前は金融立国を目指してたからそれっぽい格好なんですね。日本では記念で像を立てる事はあれど、戒めとしてはなかなか無いよなあ。あるのかな。

金融立国から観光立国へと舵を切ったアイスランド 、今このコロナ禍ではどうなっているのだろう。個人的には観光客から金をむしり取ろうというマインドの観光、外食、お土産、もろもろの物価の高さを戒めてほしい…いやもちろん応援してるよ!

野鳥の楽園ことチョルトニン湖。街中なのに普通に白鳥がめっちゃいてびっくりした。この湖沿いを歩いているとどこからともなく坂本慎太郎の「まともがわからない」が流れて来て、音を辿るとシャレオツなカフェレストランに着いて「たしかにわからない」と思いました。

レイキャビクのランドマークでもあるハットルグリムス教会にも行きました、が、人が多過ぎたので上には上がらず。

画像はGide to Icelandから拝借したもの

でも教会の向かいにあるカフェには入った!クレープを頼んだら生クリームモリモリ、クレープの中も生クリームで甘味を過剰摂取して元気になった。その様を見ていた隣の老夫婦にウフフってされた。インサイド・ザ・ボルケーノのゴンドラ(私は高所恐怖症)でも思ったけど、リアクション芸は世界共通だね。

近くに世界で唯一のペニスミュージアムがあったので試しに夫に打診してみたところ「ハネムーンやからなあ…」と言われて「ですよね」とすぐに反省した。私の悪いところだ。

あと外観がパンキッシュで「超激しい…」と遠巻きで見ていたお店がパンク・ミュージアムだった。え、そうなの?ちょっと見たかった!という気持ちと、知ったところで怖くて入らなかっただろうなという気持ちのせめぎ合い。

こちらの画像もGide to Icelandから拝借したもの

2つともレイキャビクの有名なB級観光名所なので、行く方はぜひ私の分も楽しんで来てください。

そこから夫婦別行動でお土産集めに奔走。100均で買った手袋を「意外としっかりしてるやろ」と自慢してくる私の両親にアイスランディックウールの手袋を買った。兄には靴下とキャンドルを買ったけど、渡した記憶が無いので渡してないかもしれない…なんせ2年半前だから…。夜は「最後だし」とちょっと高級なレストランへ。

ここでめちゃくちゃ美味しいラムチョップに出会ったんだけど、リゾットの写真しか撮ってなかった…いや、このリゾットもめちゃくちゃ美味でした。

日本まで一切余韻なし!帰国!

帰って急いで荷造り。もうこれは海外旅行あるあるなんだけど…もう幾度となく繰り返してるんだけど…バックパックに荷物が入りきりまへん。お土産屋さんはどこも閉まってるし、明日の早朝に出発するし、どうする!?どうなる!?

徒歩30分ほどのところに夜遅くまでやっているコンビニ「10-11」(アイスランドのコンビニは総じて閉店時間が早い)へ夫にひとっ走りしてもらい、丈夫そうな大きいビニールバッグを2つゲットして事なきを得る。
でも外は真っ暗だし、レイキャビクはドラッグが蔓延してることでおなじみだし、その中を一人猛ダッシュし続けた夫は若干鬱になって帰ってきた。代償がでかすぎる!

荷造りを終えて4時間ほど寝て、前日の夜に作っておいたサイドウィッチを片手に早朝にケフラヴィーク空港へ出発。チェックアウトでもたついたり、車を飛ばすも道を間違えたり(アイスランドでは次いつUターンできるか分からないという恐怖)、レンタカーを返す場所が分からずパニックになったり、手荷物カウンターで「バックパックはここじゃ無理」と弾かれて別のカウンターに走ったり、ゼーハー言いつつ搭乗の列へ。サンドウィッチをいつ食べたか記憶がない。

搭乗の列が一向に進まないと思ったら先頭にクレーム客が居たようで、ここで30分以上のロス。まあ経由地のフィンランドのヴァンター空港では4時間ぐらい余裕見てたし、大丈夫だね!ニコニコ!と夫婦で微笑み合いつつ、チケットを見ると関空行きの飛行機の時間変わっとる。トランジット40分しかあらへん。移動だけならまだしも、出国手続きもあるぞ!?
(※ フィンエアーに限らず、事前連絡なく搭乗時間が変わってた話は結構聞くので賢いみんなは航空会社を常に疑おう!)

ケフラヴィーク空港を離陸し、ヴァンター空港に着陸、即、乗客(特に日本人)が一斉に走り出す。焦りと怒りが渦巻く空港(クレームは後にしてくれとか、順番抜かしされるとか、案内が不十分で列に並び直させられるとか)あんなに怒りを露わにするたくさんの日本人なかなか見ないよまあ私も怒ってたけど。

ゼーハー言いながら機内に乗り、やっとアイスランドの余韻に浸れると思ったら隣の女子高生が爆睡して私の席半分ぐらい使ってる~!姿勢正そうとするも全然起きへん~!十代っていくらでも寝れるしフィンランド旅行疲れたんだよね~!ン~!!!!
10時間近いフライトで一睡も出来ず、暗い機内でダウンロードしておいたバナナマンのラジオを聴くしか出来なかった。

着いちゃったよ関空…

余韻もへったくれもないまま大阪に到着。
ボロボロの状態で大きなバックパックとビニールバックを担いで搭乗ロビーから少し歩いたら、テレビの取材クルーに「すごい荷物ですね~どこ行ってたんですか?」と声をかけられる。あ、お盆最終日だからか~夕方のニュースでやってるやつな~と思いつつ、ボロボロなので断りつつ。またちょっと歩いたら声をかけられる。

もう!何なん!?と思って夫を見たら8月のクソ暑い中アイスランディックウール100%のセーターにマウンテンパーカーを羽織ってて「どこ帰りやねんこれは声かけるわ」と思った。

関空快速で大阪市内まで戻って、最寄り駅を降りて、迫りくる建物たちにびびる。アイスランドで当たり前に地平線を見ていたので、「ここで暮らすのか…」と思うとちょっと気が重くなった。ここから来たんだよ。

でもコンビニで冷やし蕎麦とおにぎりを買った時に嬉しくなって、家で食べてもっと嬉しくなった。じんわり体に日本が入ってくる。出汁とか海苔ってうめえなあ。食べ終わって時刻は昼過ぎ。今寝たら絶対時差ボケなる…だめ…耐えなきゃ…と葛藤しつつ半月ぶりのお布団へ。おやすみ〜!

ここで私たちの旅行記は終了。旅行なんだけど、RPG顔負けの景色と相まって冒険って言葉の方がしっくり来るんだな。


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