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第55回理学療法士国家試験PM97


解説

統合失調症についての過去問解説です!

”予後不良因子”
男性・若年での発症・精神病未治療期間がより長い
潜行性の発症(病気の多くは症状が出現して発見されるが、症状があきらかでない状態で、気がつかないうちに病気が進行すること。)
強い陰性症状の存在(意欲・自発性の低下、感情の表出の低下など、ある程度客観的に評価できるもの)

陽性症状:幻覚、妄想、自我障害など、患者さんが体験するものである。

明らかな発症誘因の存在は、選択肢2の潜行性の発症と対義的な言葉。
発症の際に心理的(ストレスなど)あるいは身体的な誘因があるものは、その誘因がなくなれば症状が軽減しやすいため予後が良いとされる。

【統合失調症】
青年期に発病で、中年期以降は稀(児童期:児童統合失調・40歳以降:遅発性統合失調症は稀)。男性15~25歳・女性25~35歳。性差はないが若干:男女比が1.4:1。
明確な原因は明らかでない。内因性障害の代表。
生涯罹患は、人口の0.7%。一年の新たな発症は人口10万にあたり15人。
治療は、抗精神病薬による薬物治療が主となり補助的にリハビリテーションなども行う。統合失調症の予後予測因子は、早期治療と治療の継続性である。発病早期に薬物治療を導入すると、予後がより良い。

"予後良好な因子"
社交性がある。(病前機能が良好であること。例:優秀な学生,しっかりした職業歴)
急性発症、明らかな発症誘因の存在、緊張型の症状を示す。
陰性症状がほとんどないこと、精神病未治療期間がより短いことなどがあげられる。

緊張型統合失調症
精神運動性障害が急激な発症。
多動と昏迷、命令自動の拒否など、極端から極端へと交替(こうたい)する症状を示すものの、比較的寛解しやすい病型。
昏迷:周囲への反応著明低下、自発・活動の減退。

参考文献
奈良勲・他:標準理学療法学・作業療法学 専門分野 精神医学、第4版増補版第1刷、医学書院、2021。

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