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遅延とリスケ

プロジェクトの進捗報告を行う際、遅延で報告するか、リスケで報告するか、考えたことはありますか?この考えはあまり意識されていないと思っていますが、この観点を持っておくことは重要だと考えてます。

<例1>工程Aが数日遅れたが全体工程に影響の無い場合

あなたはこの事実をステークホルダーに報告するとき、どのように伝えますか?
①遅延報告
「工程Aが3日間遅延しています。全体工程に影響はありません。」
②リスケを加えた報告
「工程Aが3日遅れていますので、計画を見直しました。全体工程に影響はありません。」

この例だと②のほうが遠まわしのように見えますね。

<例2>複数の遅延があり一部は全体工程に影響がある場合

今度はスケジュール表も合わせて見ていきます。
①遅延報告
「工程Aの影響を受けて工程B、C、D、Eが遅れています。工程B、C、Dの遅れは全体工程に影響ないですが、工程Eは全体工程に影響があります。

②リスケを加えた報告
工程Aの影響を受けて工程B、C、Dの計画を見直しました。こちらは全体工程に影響ありません。工程Eも遅れており、こちらは全体工程に影響があります。」

①と②を比べたとき、②の報告のほうがわかりやすいと思いませんか?特にスケジュール表で見ると、②のほうがどの工程に問題があるのか一目瞭然です。リスケを取り入れることで、問題のある工程を遅延と報告できます。

忙しいステークホルダーに要点を絞った報告をしたい場合、資料だけ提出してみてもらう場合などは有効な手段の一つだと思います。ただし、見方によっては遅延をごまかしているように見えるかもしれませんので、報告を受ける側が好まないのであれば使わないようにします。

プロジェクトに影響の遅れは遅延、影響のない遅れはリスケ

通常、プロジェクトには期限が決まっているので、遅れがあったからといって何でもかんでもリスケしてよいわけではありません。一つの考え方は、例2にあるように全体工程に影響のない計画変更はリスケし、全体工程に影響のある計画変更はリスケせず、遅延として報告することです。遅延している工程については今後のリカバリー策を検討し、遅延解消に努めることを報告します。

遅延解消が不可能になったらリスケ

遅延している工程はいつまでも遅延のままでよいかというと、そうではありません。遅延を解消できる望みがあるうちは遅延報告で良いですが、望みがなくなった場合、その計画は破綻したものとなります。いつまでも破綻した状態を報告し続けても意味はありません。全体的に工程の見直しを図り、場合によってはプロジェクトの完了日を変更し、望みのある計画に修正したほうが意味のある計画となるでしょう。

相手に分かりやすく伝えることが重要

ステークホルダーに対しては嘘をつかず真実を伝えることは当たり前のことですが、必要以上の不安を与えるのはよくありません。報告を受ける側、報告する側の両方が無駄な時間を過ごすことになりかねません。
いつでもリスケしてよいわけではありませんが、そういう考え方があるということを理解し、使い分けていくことが重要だと思います。

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