京都逃避行 vol.1〜梅湯〜

東京で嫌なことがあったので次の日の夜行バスに乗り、京都へ逃げた。
京都に行ったのはおそらく中学3年生以来で、8年ぶりくらい。
前々から京都に行きたいとは思っていたので勢いで行ったは良いものの何の予定もなかった。

到着したのは日曜日の6時30分。とりあえず夜行バスでバキバキになった体を休めるためにお風呂に入りたいと思い、調べたら土日限定で早朝営業している梅湯という銭湯があったので向かった。
銭湯はあまり得意じゃない。ローカル色が強い。何か独自のルールがありそうで緊張が解けず、落ち着かない。しかし日曜日の7時ならば人は少ないだろうと梅湯へ向かった。

受付には若い女性がいて、さすが学生の街だなと感心した。
向こうから「レンタルタオルは使いますか」と聞いてくれたので借りたのだが、ハンドタオルみたいなサイズだった。ここで悪い癖が出る。受け取った時には男湯へ足が動き出していて、その動きをキャンセルすることもできず、さも「求めていたタオルはこれですよ」みたいな顔をして男湯に入ってしまった。このタオルは計画的に使わなければいけない。というかこれだけで体を拭かなければならない。このタオルで体を洗うなんて言語道断。すでに考え事が1つ生まれた。

「男湯」と書かれた暖簾をくぐるとそこまで広くない脱衣所に5〜7人はいて、浴場にはそれ以上の人影がいる。予想は外れて日曜の7時から繁盛していた。

素早く服を脱ぎ、浴場へ向かい、一番手前のシャワーで体を洗い、一番手前の湯船に5分ほど浸かり、素早く脱衣所へと戻った。人が多くて落ち着かないこともあるが、そもそもお風呂は好きだけど暑がりなので長時間入浴することができない。個人的には十分な入浴だった。でもおそらく浴場の5分の1ほどしか進入していなかったと思う。

小さいタオルで体をなんとか拭くことに成功してロッカーに向かうと横の列のロッカーを使ってる人がいた。奇奇怪怪でも言及されていたが、なぜだかロッカーには常に隣の人がいる。これも銭湯が得意でない理由の一つだ。あれほど近い距離で着替えをするという経験は誰しも緊張とストレスを感じるだろう。

素早く着替えを終え、髪を乾かし、梅湯を出た。滞在時間はおよそ20分ほどだったと思う。やっぱり銭湯は苦手だ。でも外へ出ると着いた時よりも朝日が高く昇り、温まった体に吹く冷たい風が心地よかった。
ネガティブなことばかり言ったけれども、梅湯に行ったのは正解だった。心は緊張していたのに体はしっかりと休まっている。心の回復と体の回復は全く別に存在しているのだろう。しかも体が回復すれば、それに伴って心も回復するような気がする。矛盾しているようだが、そうとしか言いようがない。

心地良い気持ちで朝食に向かった。


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