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「売上高1兆円の社会インフラ企業を目指して。」 常識を変える人事戦略とは ‐ SHIFT 執行役員 菅原要介


「その常識、変えてみせる。」というタグラインを掲げ、ソフトウェアの品質保証・テスト事業で存在感を強める企業がSHIFTだ。2009年の事業開始から9年で売上は100倍、従業員数はグループ全体で3,000名を超えた。加速的な成長を続ける組織の作り方、独自の採用活動について、執行役員 菅原要介氏に話を伺った。(撮影/深堀雄介 取材・文/安住久美子)

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【プロフィール】
執行役員、ビジネストランスフォーメーション事業本部 本部長、人材戦略統括部 統括部長を兼務。大学卒業後、株式会社インクス(現:SOLIZE株式会社)で製造業のコンサルティングを経験し、2008年SHIFTにジョイン。ソフトウェアテスト事業部、SI、Webモバイル、パッケージ領域の部門長を歴任し、新規事業立ち上げ全般の経験を経て、現在ビジネストランスフォーメーション事業本部約2,500名の組織を統括している。

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## 9年で売上100倍、組織拡大の変遷

2005年にコンサルティング事業で創業したSHIFTは、2009年にソフトウェアの品質保証・テスト事業を開始し、9年間で売上は100倍の200億円まで成長した。組織はどのように拡大してきたのか、そしてその過程でどんな課題があったのか。

‐ 組織の転機は、50名5億の壁

創業時からの組織変遷を教えてください。

菅原氏:現在の事業をスタートしたのは2009年で、私は2008年にジョインしました。そのころ従業員数は10名、売上は2億円ほどでした。組織としての「壁」があったと思うのは、事業転換から2年ほど経った2011年、従業員数が50名、売上が5億円のころです。

組織が小さなうちは一声かければ全員に意図が伝わりますが、50名を超えるとそうはいきません。トップの意図をマネージャー陣にどう伝え、そこから社員一人ひとりにどう伝えてもらうか。マネージャー陣の士気をどう高めていくのか。マネジメントの必要性を感じるようになりました。

そこで、経営幹部、営業・CS・開発などのトップの採用をはじめることにしたんです。この時期に経営チームを作り基盤を安定させたことで、組織として拡大しやすくなったと思います。


‐ エンタープライズ領域参入で採用に転機

採用の転機はありましたか。

菅原氏:採用の方向性を変えたのは2016年ころ。それまでのSHIFTの主なお客様であったゲーム、Webサイト、アプリ開発などを手掛ける企業に加え、金融系や流通系などのエンタープライズ領域にもサービスを広げていくために、新たな人材層の開拓が必要となったからです。

金融機関、証券会社、カード会社、コンビニなどの流通系のトップ企業は、年間1,000億円かけてIT投資をしています。そこにSIer企業、コンサルティング企業など大手が入り開発をしているので、過去の業界知識がない方だと全然入っていけないんです。

そこで金融、流通、通信、製造系の業界経験があるベテランの方、年収1,000~2,000万円層を多く採用するようになりました。

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組織が拡大する中で生まれる課題について、菅原氏は「先回りして手を打つけれども、すぐに追いついてくる。その繰り返しです。」と語る。状況に応じて組織をフィットさせていく柔軟性がSHIFTの強みだ。

‐ 経営トップがハンズオンで人事に入る

組織が拡大する中で起きる問題には、どう対処してきましたか。

菅原氏:どの会社も成長過程で直面する課題はあると思いますし、私たちも同じように課題はたくさんあります。特に当社の場合は、毎年会社の規模が変わり、課題も変化している状態なので、人事機能、制度、コミュニケーションプラットフォームは日々刷新しています。

また、人事は営業と同じように会社にとって重要な機能だと考えています。社長の丹下は「こういう会社にしたい」ということを常に考えていますし、課題があればハンズオンで人事に入ってくる。

事業側も積極的に人事と関わりを持っています。だからこそ、常識の枠にとらわれない取り組みやアイディアを生み出せる。昨年からはじめた動画採用も、まさにそのひとつですね。


## 動画とブランディングで採用を加速

現在、グループ全体の従業員数は約3,000名、売上200億円と、メガベンチャーへの階段を駆け足でのぼり続けているSHIFT。SHIFT単体では、今年1年だけで1,000名に迫る採用を行ったという。優秀な人材を大量に採用し続けるために取り組んでいること、採用ブランディングについて話を伺った。

‐ 面接から3日で内定「動画採用」とは?

「動画採用」について、詳しくお聞かせください。

菅原氏:面接の動画を撮影し、その動画をもとに内定の見極めを行うのが「動画採用」です。面接は1回のみ、3日以内に内定を出すというスピードを重視し、約1年前から導入しています。

まだまだ売上200億のベンチャーであるSHIFTが、IT業界の中で訴求力の強い大手企業に勝つためには何をすべきかと考えたとき、まずは人材エージェントさんが「決めやすい」というのは重要だと思ったんです。

そこで、他社と比べて面接から内定までのスピードを圧倒的に早くすることを考えました。一般的に面接から内定までは1か月以上かかる場合が多いですが、当社の場合は3日で内定を出しています。エージェントさんからすれば、他社よりもSHIFTに紹介したほうが月末の売上をあげられるわけです。

また、そもそも採用プロセスに無駄なことが多いとも感じていました。書類を出して、一次・二次・社長面接などの段階をふむと、お互い同じような内容を繰り返すことになる。エージェントさんもそのたびアテンドしなくてはならないですよね。

動画採用は、無駄な工程が一切ありません。面接の前半30分~40分かけてこちらの想いを伝え、その後1時間~1時間半のインタビューをしていく。翌日の朝までに、面接の動画を採用決済する全員が見て、すぐに判断します。

スピードが早いことで、候補者と会社側双方で「伝えたいことが伝えきれない」などの問題は起きませんか。

菅原氏:今のところは、意図はきちんと伝えられていると思います。

実は動画採用をはじめるとき、「動画の面接1発で内定を出すなんて、受け入れられないんじゃないか」と人事は言っていたんです。これまでの常識から考えればそうですよね。

でも、やってみると1回の面接でもきちんと対話が生まれていますし、候補者の方も抵抗はないようです。むしろ我々がやりたい世界観を伝えると、「SHIFTってこういう文化なんですね。面白いですね。」と理解してもらえることが多いです。
 
もちろんチャレンジなので、成果を見ながら改善していくことは必要ですが、この1年で採用効率は間違いなくあがりました。応募は月間1,300名ほどくるようになり、現在70名の面接官、25名ほどの人事チームが対応しています。


‐ 多様なチャネルを駆使し採用×ブランディング

社長が出演するCMなど、ブランディングを強化されていますね。その理由や手法についてお聞かせください。

菅原氏:当社の認知度はまだまだ高くない。我々の調査では、IT業界の中でNECさんや富士通さんに代表される大手SIer企業は97%の方が知っていますが、SHIFTは20~30%程度。まずは知ってもらわなくてはならないですよね。

そこで、認知度のアップと採用広告キャンペーンを兼ねた、テレビCMや駅広告を行いました。品川駅や、IT企業のプロマネが多く住んでいると聞くエリアを絞って、広告を打ちました。

SHIFT_プレスリリース出典:プレスリリースより

CMは採用特化型で内容を作ったことが、他にはない取り組みとして目にとめてもらえたのだと思います。

今までほとんど知らなかった方の3割くらいに、SHIFTを認知していただけました。また当社の調べでは、キャンペーン後「SHIFTを知り、転職したいと思う」方の割合は45%と、他社さんと比べても高くなり、手ごたえを感じています。

そのほかにも、タクシーでの採用広告なども行いました。今後も、しばらくは採用特化型の露出戦略をやっていく予定です。

ネットやSNSなどのメディアを強化するのではなく、あえてアナログ的なプロモーションを展開するのはどのような意図ですか。

菅原氏:もちろん、ネットメディアでの取り組みも継続していますが、必要な人材に応じてリーチするチャネルは使い分けています。

今当社が欲しい人材は、元大手IT企業のプロマネや、金融畑で百戦錬磨のベテランというような方たちです。そういう方は、ネットで検索するよりも新聞で情報を得ているし、アナログ的な戦略が有効だということがわかってきたんです。

ほかにも、技術という点でのブランディングでは、日経xTECHにて寄稿連載を行ったり、RPA関連の活動にも協賛したりと、地道に続けています。

‐ 技術系ハイスキル人材へのアプローチ

技術者の中でも、ハイスキル人材を採用するために、どのようなアプローチをしていますか。

菅原氏:優秀な方がこの会社に入りたいと思う理由のひとつに、「あの人と一緒に働いてみたい」という動機があると思っています。そこで、まずは各領域の世界的な権威に参画していただく。アジャイル(開発手法)や自動化、RPA、デジタルトランスフォーメーションなど各領域の著名な方々に技術顧問になっていただき、世界での潮流や世の中の流れを取り入れ、魅力を高めていく取り組みを進めています。

‐ 強い人がいると、会社は一夜で変わる

幹部採用には、どのようなスタンスで取り組んでいますか。

菅原氏:幹部採用では、今必要なポジションというよりは、2年~3年先の成長を見据え、逆算して必要な人材かということが大事です。

まず事業サイドでは、自分よりも優秀な方を採用し、その領域を任せていく。その人を採用できれば作れる部署もありますし、その方ができることを探し、柔軟に組織を組み替えて広がりを作っています。

また、バックオフィスの部分は採用ポジションをオープンにして、ピンポイントで探していく。ヘッドハンティングやBNGさんなどエージェントさんにお願いしています。

外部から採用する人材がうまくマッチしないケースもありますか。

菅原氏:入社した方、会社側双方で思うようにマッチしないことも、もちろんあります。しかし、我々は変化が大きい会社なので、チャレンジしていかないと年1.5倍成長というのは難しいです。

強い人がくると、一夜にして会社は変わります。その方々が来たからこそ、現在の売上200億が見えてきた。これまでそういう経験を積んできたので、社内でも理解はありますね。


## BNGパートーズは「経営を伸ばしていくパートナー」

BNGパートナーズのサービスを利用した感想を教えてください。

菅原氏:BNGさんとは長いお付き合いで、SHIFTのことをよく理解してくれていると感じます。「どんな人を採用したいか」というインタビューの際も、この先SHIFTが目指す未来にはどんなポジションが必要かというこちらの意図を、何度も何度も聞いて理解してくれる。

BNGさんが連れてきてくださる候補者にはそれが伝わっているので、未来思考の提案ができる方が多いですね。人材エージェントというよりも、一緒に経営を伸ばしていくパートナーという感じです。

それにBNGの方は皆さん若いので、尖った提案をしてきてくれる。ときにははずすこともありますが(笑)、当たりはずれ関係なく打席に立ってくれるというのは嬉しいですね。

## 「その常識、変えてみせる。」SHIFTのこれから

SHIFTでは2019年5月、定年制を70歳に引き上げた。年齢、性別、国籍を問わず、実力があり社会のために活躍できる人を採用するという姿勢は、創業当初からの会社のDNAでもある。また菅原氏は、「営業、人、基盤の三位一体で進めて行くと、会社は伸びる」と語っている。成長を続けるSHIFTの事業と、拡大する組織のこれからをどのように描いているのだろうか。

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‐ 品質保証・テストのアウトソースを常識に

この先、事業の面で取り組んでいきたいことは何ですか。

菅原氏:お客様がいて、そこに優秀な人材が集まり、うまく事業運営する。その三位一体で進めていくと会社は伸びると思うんです。人、営業、基盤。この3つは会社がどのフェーズになっても強化し続けていくと思います。

事業の面でいうと、これから1,000億、5,000億、さらには1兆円企業へと成長を目指していく中で、IT業界の構造改革に取り組んでいきます。まずは、数百億のIT投資をしている会社さんがどの業界にも出てきていますので、品質保証・テストをSHIFTに任せていただけるよう、今の事業を加速させていく。そして既存事業の成長の上に、M&Aや新規の事業などをのせて、売上高1,000億円への道を早めていきたいですね。

また、キーエンスの元社長佐々木道夫さんに社外取締役で入っていただいておりますので、佐々木さんの知見を営業チームに注ぎ、営業力も強化していきたいと思っています。

‐ 自社開発の人材管理クラウドを活用、従業員の状態を知りマネジメントに活かす

組織づくりで取り組んでいきたいことはありますか。

菅原氏:採用力の強化と入社後の定着。公平でフラットな人事制度は強化していきたいですね。

現状、離職される方はSHIFTの加速的な成長についてこられない、スピード感の違いにギャップを感じている方が多いです。しかしスピード感が違っても、SHIFTの中で活躍できる場はあると思っています。

そこで、マズローの欲求で考え、各ステージにいる方がどんな欲求を持っているのかを洗い出し、人事制度と照らし合わせることで、課題が少しずつ見えてきました。昨年から、欲求にきちんと応えられる人事制度やプラットフォーム作りに取り組んでいます。

自社開発の人材管理クラウド「toiro」は、そのひとつです。会社の状況への理解、上長との関係、誰とどんな仕事をしたいなど、社員のさまざまな情報を一元的に管理し、それをもとにマネジメントを検討できるようになっています。

ストレスチェックだけではわからないことを、もう少し踏み込んで聞いていきたい。それを突き詰めた結果、自社開発に行きつきました。実際に、部門によっては離職率が改善しています。また、改善された部門のやり方を、まだ改善されていない部門にフィードバックするなど、引き続き注力していく領域です。

‐ 「その常識、変えてみせる。」に込めた想い

2019年2月にコーポレートタグラインを「その常識、変えてみせる。」に変更されました。想いを教えてください。

菅原氏:その常識、というのはいろいろな意味があります。現在、国内のソフトウェアテスト市場は5兆円ありますが、アウトソースされているのはわずか1%。開発者がテストまでを実施していることがほとんどです。

このIT業界の破断構造を変えていきたい。品質保証・テストの会社でも、プライムベンダーになるんだという、変革への意思を込めています。

また、組織の常識も変えていきたい。社長の丹下も「優秀なエンジニアが正当な評価と報酬を得られる会社にしたい」とよく言っていますが、これは創業時からの当社のDNAです。

国籍、性別、年齢などは問わず、実力があって成果を出し、社会のために働きたいと考えている人であれば採用したい。人事にこびりついた常識を変えていく、これまでチャレンジできなかったことができる環境がSHIFTにはあります。

売上規模もまだまだ数百億円の弊社ですが、代表の丹下のもと、我々は本気で売上高1兆円企業となることを目指しています。それは、単純に売上を拡大させたいということではなく、1兆円企業とは、社会インフラを担うことができる企業であると考えているからです。

ソフトウェア製品やサービスなくしてはもはや成立しない世の中で、社会全体の安心・安全を守ることができるのがSHIFTだと思っています。社会インフラ企業になるために、SHIFTの想いと目指す姿に賛同し、共に走ってくれる仲間がまだまだ必要です。

いろいろな常識の改革を楽しめる方に、どんどん参画いただき、一緒に成長していきたいと思います。

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