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ネットフリックスの株価下落が意味するのは?

ネットフリックスの企業価値が急速にしぼんでいると読みました。「20日の米株式市場では前日比35%安で取引を終え、約540億ドル(約6兆9000億円)分の時価総額を失った。会員数が過去10年間で初めて減少に転じ、今後の成長に対する懸念が強まったためだ(日経新聞4月21日)」。確かに株価だけ見ると急速に落ちてはいますが、よく見るといまのレベルは2019年末(コロナ直前)とほぼ同じ。つまりネットフリックスの株価は、ある意味「意識上のコロナ禍終息」を表していると思います。世界的に、人々は外出・外食、友人とのリアルな交流など、ネットフリックス(動画配信サービス)以外のコンテンツを楽しみ始めた。結果、ネットフリックスはコロナ前の「等身大の評価」に戻ったのでしょう。

ただリード・ヘイスティングスCEOはその対策として「広告をつけて利用料金を抑えるプランの導入」を検討しているとのこと。もし上記のようにコロナ禍の終息と関係しているのであれば、広告をつけて利用料金を下げてもあまり効果はないでしょう。つまり競争のフレームは「ネットフリックスvs他の動画配信サービス」ではなく「動画配信サービスvs屋外のコンテンツ」になっているからです。それにもし本当に広告課金型を導入すると、すべてではないにせよYouTubeや民放と変らなくなり、ブランドの優位性や独自性は損なわれるでしょう。スポンサー企業をいれないがゆえに作れる作品の自由さとハリウッド級の制作費、ダイナミックさがウリだった。

コロナ感染者数自体はあいかわらずスゴイけれど、最近ではリアル会議や会食も復活してきています。それに私生活でも「そろそろ動画で時間を潰す」という生活にも飽きてきた。誰かと会食したり、おしゃべりしたり、「直接話す」ことが実は最高のコンテンツだと再認識しはじめているようです。