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ワクチン接種にみる弱者の戦略

配信日:2021年4月21日

NHKスペシャルで「新型コロナ 全論文解読2~AIで迫る終息への道~」を見ました。このシリーズは全世界のトップ研究者が提出しているコロナ関連論文を、すべてAIが読み込み、そこから見られる専門家の興味関心や最新の仮説・報告を取り上げ今後の終息を探るものです。1回目の内容が非常に面白かったので2回目も楽しみにしていました。期待通り、今回も充実の内容でした。番組のなかではワクチン接種が先進国を中心に急速に進む中、今後、新種の変異株が出てきて効かないリスクが取り上げられています。幸い、研究では既存のワクチンは変異種への効果性も高いようです。ただコロナは狡猾なウィルスだと思うので、今後の変異によってはどうだろうかと考えてしまいます。スーパーサイヤ人みたいなのが出てきやしないか…。コロナというのは、どこか人間との生存競争をしているように思います。まるで目の前のコロナをやっつけても、次のもっと凄いのが出てきて別の戦い(ラウンド)が始まるようです。

日本では今月から65歳以上を対象に接種が始まりました。そして9月末までに対象者分のワクチンを供給できる状況にしたと聞きましたが、本当にそんなスムーズにいくのだろうか?僕の素朴な疑問はこれです。「ワクチンどころかマスクの配付すらスムーズに出来なかった。ワクチンはマスクに比べて恐ろしく複雑なオペレーションになる」。おそらく「ワクチンは手元にあるが接種は滞る」のではないかと思います。いわゆる兵站、ロジスティクスの問題だと思います。いまの政府や行政に「1億人もの人にごく短期間でワクチンを接種させる」というのは、文字通り巨大事業を短期間で作り上げるのと同じくらい難しいでしょう。ましてや変異種が猛威を振るい、それとのスピード競争にもなっている。政府はウィルスとの競争に勝てるのか・・・。

医療従事者を除き、もしワクチン接種を「市場参入戦略」として読み解くと、まずは巨大な市場(感染市場)のどこを狙うかから始めるのが常套手段だと言えます。もしワクチン確保、ロジスティクスも滞りなければ、いわゆる強者の戦略も考えられるものの、現状では明らかに弱者の戦略を採るのが正しい。その時に、日本全国の65歳以上という「年齢」による細分化は有効だろうか?そもそも3600万人というのはあまりにも多すぎる人口です。一方、感染状況は東京や大阪という「地域」のばらつきがあり、急を要するエリアというのは明白です。よって、ワクチンでまずはこれらの緊急エリアを集中的に攻めるのが感染スピードを弱める「勝てそうな戦略」だと思います。特に大阪はいまからでも接種のターゲットを変更してはどうか(大阪府は880万人)。いずれにしても「ない資源」を分散させたら、それ自体が失敗の条件になるのは明らかです。