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「これから自分はやっていけるか」という不安にどう対処するか

広告代理店に勤める旧知の友人と食事をしました。彼はいま会社のなかでインディペンデントプロデューサーとして海外のスタートアップと仕事をしています。ただスタートアップとはいうものの、いわゆるガレージ・ビジネスのようなものではなく、それなりの規模感を想定した事業提携、または日本でのコネクションや逆にこちら側の海外市場への足掛かりを作るような仕事です。これらの仕事はいわゆるプロジェクトベースで進められます。この友人の凄いところは「会社から言われてやっているわけではない(なかった)」ことです。むしろ会社はこれまで通りの仕事を望んでいる(いた)かも知れません。しかし昨今の広告業界の変貌ぶりや世界的な流れを見ると、友人が「個人プロジェクト」として勝手に始めたことが重要になってきている。まだほとんど理解されていないかもしれないけれど、幸い彼の場合はそれが会社にも理解されて、いま最先端のビジネスをしているわけです。

「これから自分はやってけるか」。こんな話も大いにしました。先行きの見えない時代で、誰もが自分の可能性やキャリアを探索しているのが現実だと思います。「ライフ・シフト」のリンダ・グラットン教授によると、これまでの「教育・仕事・引退」という一般的な「人生フロー」から「エクスプローラー」「ポートフォリオワーカー」「インディペンデントプロデューサー」という「状態」を回遊しながら生きるようになる(なった)と言います。エクスプローラー(探検家)とは世の中の何に興味を持つかを観察し学んでいる状態。ポートフォリオワーカーとはいくつかの副業を行っている状態。そしてインディペンデントプロデューサーとは自分が主体になってプロジェクトを切り盛りする状態です。インディペンデントプロデューサーは必ずしも「起業」でないところが特徴です(もちろん起業でもよい)。

僕の理解ではこの3つの状態はそれぞれが重なり合って、「インディペンデントプロデューサーでありながらエクスプローラーでもある」ことも多い。事実、仕事をしながら新しい学びを体系的に仕入れている人や、副業をもつサラリーマンも多い。要するに、これは遠い将来や引退後の話というより、既に始まっている現実だと思います。先程の友人の仕事は良い例でしょう。つまり「私はやっていけそうか」という問いは「いま、私はどういう状態にあるか」という問いに置き換わるとも言えます。

ひとはどうしても日々の忙しさにかまけて「昨日と同じ毎日」を過ごしがちで、そこから一歩抜け出すのは逆に面倒、または不快でもあります。これが「これから自分はやっていけるか」と不安になる原因に違いありません。世の中が大きく変わっていくのを実感すればするほど、この不安は大きくなるに違いなく、そのうち「考えなくなる」。一方で「自分の変身能力」を自覚し、変われると「決めて」行動すると解決策になるかもしれません。主体的に変わっていくか、環境に変化を強要されるか。原因として生きるか、結果として生きるか。言い方は様々ですが、ラクなのは後者でしょう。ただその選択肢に疑問を感じている人も多いのではないか。しかしどちらを選ぶかは個人の自由であるのも事実です。