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[NFL]『'93 NFL TV観戦ガイド』を読む(第2回)

日本テレビが1993年に出版した『'93 NFL TV観戦ガイド』のチーム別選手紹介の紹介の2回目です。今回はNFCのチームを紹介します。

どうでもいいのですが、いまはスーパーボウル直前の日本時間2/11。しかも今年もひいきのチームが出場。わたしはなぜこんなオフシーズンの企画みたいな記事を書いてるんでしょうかね?

NFC東地区

まあいいや。
まずはNFC東です。NFC東ってNFLのメインイベンターって感じがしますよね。1993年もそうだったんですが、当時高校生のわたしもテレビ中継の雰囲気からそうであることを感じ取っていました。
今と違って5チームありますが、いまと同じく「東」に位置していないチームも混ざってます。

ダラス・カウボーイズ

AFC西地区のカンザスシティよりも西にフランチャイズを構えるNFC東地区のダラス・カウボーイズ。
1993年当時も今も「球界の盟主」的なポジションです。読売ジャイアンツに似てますよね。
1993年はとっても強くて、結局スーパーボウルを制したのはこのチームでした。
トロイ・エイクマン、エミット・スミス、ケン・ノートン
が掲載されています。
エイクマンは2023年現在MNFで解説をされてるのでご存じの方も多いでしょう。この本では「インタビューを拒否」「プロボウル途中で帰る」などのエピソードとともにイメージの悪い選手として紹介されています。今のNFLにも悪役っぽい選手はいますが、当時もいましたよね。ジョン・エルウェイとかジュニアー・セイオウとか。
ケン・ノートンはOLBの選手で、当時のダラス守備の中心選手でした。
ダラスにはいつの時代にも必ずスターRBがいますが、1993年はそれがエミット・スミスでした。
なにせ球界の盟主で試合の放送数も多かったので、マイケル・アーヴィンだとか、ジェイ・ノヴァチェックだとか、ほかの選手の名前もよく耳にしました。

ワシントン・レッドスキンズ

名監督が率いる強豪チームですが、わたしの周りにはなぜか好きだと言ってる人がいませんでした。1993年の時点では前々年度の王者って位置づけだったはず。
デズモンド・ハワード、マーク・リッピン・アーネスト・バイナー
が掲載されています。
バイナーはこの時点でかなりのベテラン選手。すでにエースRBとしてスーパーボウルを1度勝ち、この数年後にもう一度制することになるスター選手です。衝撃のファンブル劇「ザ・ファンブル」の主役でもありますので、そのイメージのファンの方も多いかもしれませんね。
デズモンド・ハワードはこの時点でまだ新人ですが、ブレイク直前ってとこでしょうか?いまはコメンテーターとして有名なのだそうです。
マーク・リッピンはこの2年前のスーパーボウルMVPですが、本には「顔も地味でガッツポーズもイマイチ決まらない」なんて書かれちゃってます。

フィラデルフィア・イーグルズ

ダラスが巨人ならこちらは阪神ってなイメージのチームです。違う???
「SUPER PLAYERS」に掲載されているのは
ランドール・カニンガム、ハーシェル・ウォーカー、ティム・ハリス
ティム・ハリスは今で言うEDGEの選手ですね。AFC編もそうでしたがパスラッシャータイプの選手がこの本にはたくさん取り上げられてるようですね。
ハーシェル・ウォーカーはこの時点ですでに何チームも渡り歩いているRBです。キャリアのピークは80年代後半ですので、この時点では「もう一花」みたいなイメージだったんでしょうか。
そしてカニンガム。
当時はアフリカ系のQBがそんなにいなかったのですが、彼はそのうちの一人。武器は鋭いQBランと奇想天外なロングパス。ってことでいまのイーグルズのエースQBであるジェイレン・ハーツを彷彿とさせる選手です。
今でこそQBのクイックネスは重要視されてますが、当時はまだプロTフォーメーションからFBのリードブロックつきのランでゴリゴリ進めるのが正統派のやり方みたいな時代ですので、このスタイルは相当珍しかったはず。

ニューヨーク・ジャイアンツ

泰然自若、紳士のチーム。旭化成陸上部のようなイメージを勝手に抱いていました。なんで急に陸上???
取り上げられているのは
フィル・シムズ、ローレンス・テイラー、ロドニー・ハンプトン
ね!?ちょっと大人のイメージでしょ???
シムズは少し前までCBSのナンバーワン解説者で、『マッデン』の解説者もしてたのでそれで有名かもですね。この時点で引退直前のベテランです。
テイラーも引退直前のはず。
ハンプトンはこの時点でまだまだ若手ですが、すでに実力証明済みです。「普段は縁なしの丸眼鏡をかけていて哲学者風」なんだそうです。

フェニックス・カーディナルズ

NFC東最後の1チームは当時14あったNFCの中で東から数えて12番目の位置にあるアリゾナ州フェニックスに本拠地を置くカーディナルズ。
当時は「シーズン負け数一桁が目標」的な弱小チーム。
スティーブ・ビュアライン、エリック・スワン、ガリソン・ハースト
というクセモノ3人が紹介されています。
スティーブ・ビュアラインは前年まで他チームの控えとして過ごし、この年からQB1待遇でフェニックスにやってきました。「ノートルダム大学ではモンタナをしのぐパス成績」なんだそうです。
エリック・スワンはこの時点において「未来のプロボウラー」ですね。大学に進学せずに(学業成績が足りなかったとのこと)セミプロリーグを経てNFLした初めての選手なんだそうです。
ガリソン・ハーストはこの年全体3位でドラフトされた期待の新人RB。でもカーディナルズには3年でカットされてしまいます。その後1998年にナイナーズでプロボウラーに選出されるほどの活躍を見せることになります。

NFC中地区

NFC中地区はいまのNFC北地区の前身。ライバル対決の熱量が高い印象がありますね。

グリーンベイ・パッカーズ

1993年から2023年までパッカーズは常に強豪でした。でもこの直前までは暗黒時代だったんですよね。
この書籍の選手紹介にはその転機をつくった男の名前が記されてます。
レジ―・ホワイト、ブレット・ファーブ、スターリング・シャープ。
レジー・ホワイトはこの年フィラデルフィアから移籍。この時点ですでに6回オールプロのファーストチームに選出されてたディフェンスの大物で、ついたあだ名は「防衛大臣」。テレビ中継でも「この人の名前くらいは知ってるでしょ」的なノリで扱われてました。
スターリング・シャープはこの前年に獲得ヤード数、レシーブ数、タッチダウン数ナンバーワンを記録した新進気鋭のWR。
そして鉄人ブレット・ファーブ。
この時は「鉄人」じゃなくて「新星」ってイメージでした。この書籍にも「彗星のごとく現れたチームの救世主」と書かれています。彼がこの後15年以上にわたってパッカーズの常勝街道をけん引していくことになるのはご存じのとおりです。

デトロイト・ライオンズ

2023年シーズンのデトロイト・ライオンズは「30年ぶりの地区優勝」で大いに話題になりました。
つまり1993年、この地区を制したのはライオンズだったってことになります。
30年前の優勝をけん引したメンバーはこちら。
バリー・サンダーズ、ロドニー・ピート、メル・グレイ。
サンダーズは「間違いなくNFLの歴史に残るRB」と紹介されており、事実そうなっています。
一点、ロドニー・ピートのこの書籍における評価は低いようで、「帯に短したすきに長し」「今年もとりあえずエース」との記載。ピートはこの年キャリアハイの数字を残しますが、シーズン後半からレギュラーの座を他の選手に奪われています。
メル・グレイはリターナーとしてプロボウルに選出されたとのこと。

ミネソタ・バイキングス

NFC中地区は10年刻みで黄金時代を築くチームが交代しているのですが、バイキングスの黄金時代は1970年代(ちなみに80年代はベアーズの時代、90年代はパッカーズの時代)。1993年時点で黄金時代は遠くなりにけり・・・なのですが、じゃあ暗黒時代かと言えばそんなこともなく、「勝てるんだけど絶対的な強さはない」、いかにもバイキングスらしい状態にありました。
ジム・マクマーン、テリー・アレン、クリス・ドールマン
が掲載されています。
ジム・マクマーンは破天荒な言動で知られる人物で、この書籍でも「パンキーQB」と紹介されています。結局ミネソタにいたのはこの年だけみたいですね。
アレンは前年のエースラッシャーでしたが、この年はケガで全休だったみたいです。
ドールマンは名前覚えてます!この時期に活躍したオランダの格闘家と同姓同名だったので。。。「バイキングスの攻撃的ディフェンスの核」だそうです。

シカゴ・ベアーズ

このときのベアーズは栄光の80年代を終え、長めの低迷期の入り口にいました。大都市をフランチャイズとしてますし、人気もあるはずなのですが、個人的になぜか地味な印象を持っています。
「SUPER PLAYERS」に選ばれているのは
ジム・ハーボウ、ニール・アンダーソン、クレイグ・ヘイワード
の3人です。
ハーボウは今では名HCとして有名ですね。2023年シーズンはミシガン大学のHCとして全米制覇を成し遂げ、2024シーズンはNFLに戻ってきます。
アンダーソンはベアーズ一筋のベテランRB。この時代に台頭し始めた「レシーブもうまいRB」のひとりです。
ヘイワードは今ではすっかり見かけなくなった大物FBの選手。この年トレードでベアーズ入りし、アンダーソンとコンビを組むことになります。
ちなみにロースターリストには先ごろ殿堂入りが発表されたスティーブ・マクマイケルの名前も見えます。彼はプロレスラーとしても有名ですね。

タンパベイ・バッカニアーズ

NFC中地区のもう1チームは現在南地区に所属するタンパベイ・バッカニアーズ。このときはまだジャージの色がオレンジ色でした。
紹介されているのは
ポール・グルーバー、レジー・コブ、そしてHCのサム・ワイチです。
グルーバーはOTの選手、コブはエースRBですが、すみません。記憶にない選手たちです。
バッカニアーズはこの時点で16年の歴史しか持たない、NFLでいちばん歴史の浅いチームなのですが、過去16年のうち13年でふた桁負けしているという弱小中の弱小チーム(しかもふた桁負けを逃れた1982年シーズンは全9試合シーズンなのでふた桁負けしようがない)なのです。
この本にも「今年もふた桁負けは必至」と書かれてしまっています。。。

NFC西地区

NFC西地区は4チーム。・・・ですが、そのうち2チームはどう考えても米国の東のほうにあるだろ!という謎のディビジョンです。

サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ

ダラスと並んで日本でも知名度が高かった(今も高い)フォーティーナイナーズ。長嶋茂雄さんはナイナーズのファンなのでしたっけ?
当時人気があった海外ドラマ『フルハウス』のタナーファミリーもナイナーズファンでしたよね。
書籍では、
リッキー・ワタース、ジェリー・ライス、スティーブ・ヤング
が紹介されています。
このときのナイナーズは80年代前半から続く黄金時代の真っただ中なのですが、この年からジョー・モンタナがいなくなり、正式にスティーブ・ヤング体制になります。
OCは引き続きマイク・シャナハン。この年も当然のように地区優勝し、当然のようにカンファレンスチャンピオンシップに進み、目の上のたんこぶのダラスに敗れています。
雪辱を果たすのは翌年のことになります。

ニューオーリンズ・セインツ

この地区はナイナーズ以外は強くなかったイメージがありますが、その中でナンバーツーチームがセインツ。当時まだスーパーボウル出場は果たせていません。
モーテン・アンダーセン、ブラッド・マスター、リッキー・ジャクソン
が掲載されています。
モーテン・アンダーセンはデンマーク人のプレースキッカーです。この時点ですでにキャリア10年以上のベテランで、すでに4度オールプロのファーストチームに選出されていました(のちにあともう1度だけ選出されます)。チーフスにもいましたよね。
リッキー・ジャクソンはベテランのラインバッカー。

アトランタ・ファルコンズ

現在は南地区に所属するファルコンズ。セインツのライバルですね。
ディオン・サンダーズ、アンドレ・ライゾン、クリス・ミラー
の3人が紹介されています。派手ですね。
ディオン・サンダーズはCBであり、リターナーであり、たまにレシーバーにもなり、オフシーズンはMLBブレーブス所属のメジャーリーガーというマルチタレントで、QB以外では日本で一番有名だったNFL選手かも。。。
個人的な話ですが、背番号21と聞いて真っ先に思い浮かぶのはわたしはこのディオン・サンダーズなんですよね。背番号21って、サッカーのジネディヌ・ジダンとか、アンドレア・ピルロとか、西武ライオンズの東尾修とか、あとアイシールド21って漫画とかいろいろありますが、ディオン・サンダーズの強烈な印象の前にはかすんじゃう感じです。
アンドレ・ライゾンもディオンに負けず劣らず派手なスタープレイヤーで、この年のタッチダウンレシーブ数でリーグナンバーワンを記録することになります。
クリス・ミラーはエースQBで、80年代後半から90年代初頭にかけてファルコンズの先発QBの座を守り続けました。
3人ともキャリア終盤には様々なチームに移籍し、活躍を見せることになります(ディオンとライゾンは別のチームでスーパーボウルリングを獲得しています)が、アトランタの象徴的なプレーヤーという印象が強いですね。

ロスアンジェルス・ラムズ

ラムズは気になるチームでした。チームカラーの黄色と青が通ってた高校のスクールカラーと一緒だったので、ウチの学校にフットボール部があればこんな感じのジャージなのかな?と妄想してました。
ウィリー”フリッパー”アンダーソン、ジム・エベレット、シェーン・コンラン
が掲載されています。
当時のラムズはいつからそうだったのか思い出せないくらいの暗黒期で、かつこの暗黒期はあと5年続くことになります。
アンダーソンは快速エースレシーバーで、平均レシーブヤード数ナンバーワンだったのだとか。コンランはMLBでこの年ディフェンスリーダーとして当時AFC最強のビルズから移籍してきています。
ジム・エベレットは長らくラムズのエースQBを務めていたベテラン。チームがこの状態なので厳しい批判にさらされていました。この書籍でも「プレッシャーに弱く、すぐボールを持ってうずくまるか、すぐに投げ捨ててしまう」「背番号11がやけに間抜けに見えてしまう」と散々な書かれようです。
このシーズンの終わり、ついにエベレットは放出されてしまうことになります。

この時代は名選手ぞろい

想い出補正承知のうえで、この時代はNFLの歴史に残る選手が数多くいた気がします。今回登場しなかった選手ではマーシャル・フォーク、ジェローム・ベティス、マーカス・アレン、ヘンリー・トーマス、チャールズ・ヘイリー、ケビン・グリーン、ダレル・グリーン、ロニー・ロット、ビニー・テスタバーディなどがこの時代の選手ですね。
YouTubeではこれら選手の活躍も見ることができますので、興味持たれた方はぜひご覧いただければと思います。


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