楽園-Eの物語-龍のいる洞窟
二日後、ルージュサンとセランは、洞窟へと向かっていた。
食べては寝る、を繰り返し、驚異の速度で体力を回復したものの、いつもよりずっと、歩みは遅い。
セランの懐には《始めの娘》が持っていたという、石のナイフだ。
ルージュサンのストールから、こぼれ落ちそうになった三つ編みの先を直しながら、セランが聞いた。
「あの実はなんで、オグにあげたんですか?」
「ごめんなさい。オグならあの実を増やして、村の特産物に出来ると思ったからです」
「じゃあその時、沢山食べてね。すっごく美味し