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わたしと(壊れかけの)コニカ

私が持っているフィルムカメラは、ボロボロのおんぼろコンパクトカメラだ。

ネットの中古で1万5千円。コニカミノルタがコニカとミノルタだった頃の、可愛いKonicaC35。


実物を見て買った方が良いと、色んなサイトに書かれていたけど、まあとりあえずこれくらいの値段なら、使えなくてもインテリアとして上々だろうと、よく考えもせず買った。


フィルムを入れるために裏蓋を開けると、何かの破片がパラリと出てきた。レンズを覗き込むと、少し見えづらい。見えづらい時に、少しカメラを傾けて振ってみると、よく見えたりするので、何かの破片が入り込んでいるようだ。フィルムを引っ掛けるツメが劣化していて、うまくコマ送りできないことが結構ある。中央のピントを合わせるための窓が、見える日と見えない日がある。

と、こんな体たらくで壊れかけというより、もはや壊れていると言っても過言ではない。普通にスマホで撮影して、フィルム風の加工を施した方が出来上がりがよい。

デジタルの一眼レフカメラも持っているので、そっちだけで良くない?と言われることもある。否定はしたことがない。


コニカで撮影するときは、半分ギャンブルみたいな感じに思っている。とてもいい景色だけど、現像したらダメダメかもな、なんて考えながら、シャッターを切る。そのドキドキ感がよい、なんてことも思っていない。思ったように撮れるに越したことはないのだ。

それなのに、このだめだめコニカを、私はおそらくあと3年は捨てられないと思う。新しいものを買うこともないだろう。だってもったいない。それに安く買ったオンボロだとしても、とっくに愛着が湧いてしまっている。先がすり減っている木ベラとか、踵が擦れてきているスニーカーとか、そんなものと同じで、もう私のお家の一員なのだ。

いわいる「引き出しの中で一番切れ味の良い包丁」みたいに頼れる道具ではないけれど、そこが私に似ていて捨てられない。自分に似たものには優しくなってしまう。


恋人が、近所の少しお高いケーキ屋さんで、2人分のケーキを買ってきてくれた。奮発して、少しよいティータイムだ。嬉しかったので、スマホだけでなく、コニカでも撮影をした。ピントを合わせる窓が見えなかったので、こりゃダメだなと思った。

案の定現像すると、すりガラス越しみたいなケーキの写真が出来上がったので、恋人と2人してゲラゲラ笑った。すごく繊細なケーキだったのに台無しだ。だけど美味しかったよね、という記憶はしっかり蘇るので、結構お気に入りの1枚になった。


日常はあまりパッとしないから、これくらいおんぼろのカメラで撮影するのが、ちょうど良いのかもしれない。


2021.10.09 小鹿かの子

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