メディアの責任

メディアの影響力は確かに大きく、私たちの考えを変える力があります。

しかしメディアが人間を都合のいいように洗脳していて様々な価値観や社会的な同調圧力を作り出しているという主張を聞くと、少し釈然としません。

確かに人間はメディアの影響下にあります。何故なら我々は様々な判断を下す際にメディアからのインプットに依存しているからです。

インプットが誤っていればアウトプットが誤ったものになるのは当然のこと、確かにフェイクニュースなどから影響を受けると間違った結論を出すのは目に見えています。

ですが一般に言われるメディアの影響というのはフェイクニュースなどによって正しい判断が出来なくなる現象をさしているのではありません。嘘をつかない範囲内で世論を操作するというイメージの方が適切でしょう。

では何のために操作するのか。それは政策に対する支持を得たり、自社の商品を売り込むためですね。

しかしこれらのことは悪い事でしょうか。政治家として自分の主張に支持を求めない人間はいないですし、会社は商品を売るために作っています。家にセールスマンが訪問販売しに来て商品を買った場合に「私は商品を買うように誘導された。」と主張することはできますが、そりゃそうでしょう。

いくらメディアが国民を扇動しようが最終的な判断を下すのは国民であり、もし全体として誤った方向に向かっているのであればそれは議論が不足しているということに他なりません。国民一人一人が啓蒙されていて客観的な視点から今ある問題の解決のために必要な情報が揃っているかどうか判断できていれば国民が扇動者に踊らされることはありません。

国民がメディアに洗脳されていているから自分は不幸なんだという結論を出す人間は敵をメディアにすり替えることで無意識に絶望しないようにしているのでしょう。そもそも国民が本当にメディアに洗脳されているのであればそれは国民に責任能力がない事を意味していて、であれば大衆に何かを発信し訴えることはあまり効率的ではありません。

メディアは飽くまで人々を誘導しているのです。
では何に基づいて誘導しているか。

メディアは大衆心理を理解していて耳障りのいい言葉を提供することによって民衆を誘導します。もしだれも望まない言葉がメディアで発信されていれば誰も耳を貸さないでしょう。

私が言いたいのはメディアが民衆を誘導しようとするのは当然のことでありそれに対して人間は適切な判断を行えるように情報リテラシーをもつべきであり、そのために必要なのはまっとうな教育であること。国民が洗脳されているのであれば洗脳しているのはメディアでなく、親と学校であるということです。メディアの言うことは正しいと言う親がいればそれこそ洗脳していると言えるでしょう。


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