コロナ禍の詩②~わたしたちは生活している~2度目の緊急事態宣言下での生活

2度目の緊急事態宣言が始まり
夜になれば街の灯りが静かに灯る

不用不急をかいくぐり
街の銭湯へと自転車を走らせる

「#緊急事態宣言を楽しもう」
そんなタグがSNSのトレンドに入っても

「それは何もかも恵まれた人のすることだ」と
リモートもテレワークも関係ない仕事の僕は嘆く

「どうせ僕は非常勤だからなぁ」と
ため息は夜の闇と湯気に消える

ニュースで伝えられる新たな感染者数
仕事をやってる感しか出さないこの国のボスとその仲間たち

そういえば所信表明で「まずは自助」って言ってたな
「国のために働く」というコピーが絵空事に聞こえる

そしていつも見ていた街の風景は
だんだんとシャッターを下ろした光景が目立っていった

政治は大事だ
だがその政治がそっぽを向いて機能していない

「会食だって国会議員もやっているでしょ」って
もうすでに政治はそっぽを向かれている

「マスクを外そう」「コロナはただの風邪」
そんなときに便乗する奴等が出て来て呆れるほかない

飲食業が槍玉に上げられ
僕の身近でも感染が伝えられる

日経平均株価が上がっていくのに
わたしたちの生活は苦しくなっていく

明日生活ができるかさえも
分からない人たちが日に日に増えていく

今日も命がけで
生活のために働く人がいても、だ

せめて今だけでも湯船に浸かりながら
何もかも忘れられたらいいけれど

このままいくと
銭湯にも気軽に行けなくなるかもな

今そんなことを言ったら
自称意識高い系に押し潰されそうだ

「僕も生きていられるか分からないな」
生活は誰のためにもあるはずなのに

巷に溢れる差別と陰謀に塗れた手を
洗うなら今だというのに

信じて裏切られることが
何度も繰り返されてきたというのに

歴史は繰り返す
けれど覚えないし忘れてしまう

だから現実は残酷だ
こんなにも自己責任を押し付けられる

所詮他人事と人を嗤う前に
今の自分がどうであるか見たほうがいい

そうだね できることなら
そのスマホとパソコンからしばらく離れてみようか

明日 目覚めたら
すべてが夢だったようにチャラになればいいけれど

明日 目覚めても
所詮夢は夢でそこから現実に引き戻されるだけだ

今が楽しいと思えるなら
この現実が悪夢でもいいけれど

今が悪夢という名の現実だから
夢の中でずっと寝ていられたらいいけどそうはいかない

こうしていつもの現実に引き戻される
補償も給付も渋られケチられずっとされないままだ

何度も何度も見てきただろう
一国のボスとその仲間たちが政治を愚弄してきたことを

そして我を忘れ熱狂して
鵜呑みにするファシズムが蔓延ったことを

忘れたのか?
忘れるはずがないだろう

けれど忘れさせようと
何度も何度もはぐらかされただろう

わたしたちは生活している
こんなクソみたいな世の中で

こんなクソみたいな世の中を
少しでもまともにしなきゃダメなんだよ

愛国心なんかより
地に足を付けている生活が欲しいんだよ

陰謀論なんかより
現実がどうあるかを確かめながら生きていきたいんだよ

生活するひとりひとりを
どうか どうか 忘れないでほしい

人や街から
生きることを奪わないでくれ

生活があってこそ
人は人でいられる

補償なき世で
人は人ではいられない

わたしたちは生活している
わたしたちは生活している

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