窓を拭いている

年に一度しかしない大掃除で
窓を拭いている

右の薬指には仕事で噛まれた傷
なんだか自分らしい

オンラインで宝くじを買っても
高額当選なんて夢のまた夢だし

結局またSNSに映る誰かのことを羨ましく
遠くから見ているだけだったな

相変わらず本の壁を作っている
読めた本なんて一部しかなかったくせに

良いことよりも悪いことばかりだった
人にも好かれず嫌われていったな

後回しにしたものは
最悪の結果を生み出し

世界も自分も抱え込んでしまった越年案件を抱えて
来年という明日に向かっていく

窓を拭いている
このまま自分の存在も拭いて消せないかな

だけどそれは無理だな
自分についての数多の言葉がデジタルタトゥー化した

未だに誰かが自分について
あることないことを今でも書き連ねている

そんな人間もいるんだなと
相手から醸し出される空気でとうに分かっていた

そして自分を疎ましく思う身内は
ひっそりと隠れながら自分の背中を撃ってくる

自分や関係する人の属性が
見知らぬところで議論されて

言葉が強いのか知らないが
右からでしかモノを語れない人間が語る滑稽

強い言葉を放つ人間ほど中身が薄い
そんな人間に縋るのは自分が弱いからだろう?

そういえば何かを語れば
「活動家」と揶揄して気持ち良くなっては

被害者のふりをして誰かを叩くことで平静を装う
そんな人間の本性を見た気もする

窓を拭いている
2023年も終わっていく

いいことあった?
そうでもないよ

SNSがうるさすぎて
新しいところができても落ち着かないし

既存は既存で改悪されて
こうやって場所が奪われていくんだなと思っている

青い空に流れる言葉も
いつか悪い奴等に汚されていくのかな

せめて自分や大事な人には
言葉が汚されないように願う

自分は新たなモノを
産み出せるように書き続ける

たとえ何かを失ったとしても
ペンと紙だけは守り切っていきたい

窓を拭いている
世界はどうして平和にならない

自分の生活に必要なモノにまで
ボイコットして意思表示をすることがよく分からない

だけど世界を想えば有効な手段であり
これ以上の悲しみを増やさないための行動になる

涙が出てきそうだ
生きているべき人がいなくなることを想う

どんな気持ちで
自分はこの窓を拭けばいい?

どんなに拭いたって
消えないものがある

どんなに拭いたって
消せないものがある

どんなに拭いたって
きれいにはならないよ

人はきれいでいたくても
生きていく以上は汚れていくものだ

本当も嘘も分からないような世界で
よく生きているよなと思っても

そうならないように拭いたって
また 汚れていく

人は 繰り返す
失敗しないようにしていても 繰り返す

それでも汚したくないもののために
この世界はあるのだ

だから この年の終わりに
窓を拭いている

傍らにある本を
少しずつ読んでいこう

パソコンやスマホに依存せずに
リアルに人と逢って話をしよう

人の痛みが分かる人間になって
薄情にならないようにしよう

この心情を忘れないように
ノートに忘れずに気持ちを書こう

ずっとできないでいることを
反省しながら

この世界で生きるために
そして自分のことを守るために

窓を拭いている
窓を拭いている

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