言葉を使う者たちよ

2024年6月23日、KOTOBA Slam Japan東京中央大会で読んだ詩をアップします。
本当に日本はポリティカルなものを嫌う衒いがあるよなと、やってみて思いました。

戦争反対も言えないで
どうして言葉を使うのか
だけど僕には勇気がない
ニュースを見るたび胸が痛いのに

ガザへの攻撃を止めろ
イスラエルはピンクウォッシュをするな
そう言いたくても冷笑が怖い
そんな僕は路上にも立てやしない

非難されてしまうのだろうか

差別やヘイトが恒常化する
相変わらず「ネットde真実」の人間が多い
SNSでしか強気になれないのか
社会じゃ素性を隠したがるくせに

差別主義者の知事の名が入った
パートナーシップ証明なんか要らない
旧態依然の家族観で
苦しむ人たちが増えてきている

しあわせになりたいだけだ

そういえば共同親権はすぐに決まったな
だけど同性婚や選択的ふうふ別姓は
国民的に丁寧な議論が必要と言っては
答えをはぐらかすこの国のボスを見ている

我が暮らし楽にならざり
給与明細を見ては引かれる数字の大きさに
これでは何もできないと嘆く先に
政権与党が裏金を守っている

僕はこの手をじっと見る

言葉を使う者たちよ 言い淀むな
言葉は伝えるためにある
吐き出すことを止めてしまったら
生きることさえためらってしまう

言葉を使う者たちよ 言い尽くせよ
玉砕はしても後悔はするな
言わずに言葉を残してしまったら
後悔しか残らなくなるから

キラキラしたもので
覆い被せられた先を見なければ
本当の姿など見えやしない
いくらファンタジーに逃げたところで
空気なんか壊せやしない

再び僕は手を見た
言葉が使えるならやるしかない
黙るのは本意じゃない
空気は壊すものだから
そして沈黙は、死、だ


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