見栄

見栄を張らずに生きていけたら
どれだけいいだろう

けれどどこかで見栄でも張らなければ
生きていけないのも事実だ

何になりたいのかも分からずに
僕の傍らには積ん読の本が増えている

博識ぶりたい? だけど僕は
人より頭が悪いから追いつきたかっただけだ

そんな言い訳が罷り通るほど
人生は甘くなくて辛口ばかりだ

何をしているんだと軽い絶望に伏しても
変えることのできない現実がそこにある

なりたいものにはなれなかった僕を生きている
見栄なんか張らなくても生きていけるのに

生きるために見栄を張る悲しい現実
光と影が渦巻いている向こう側を見る

「あきらめたわけじゃない」と口にするのは簡単だが
心と体が相反して動けない

夢は大きかった 大きかった故に
僕はバカにされて口を噤んだ

いつのまにか取り残されて
我が道を往くと意気込むくせに

人にあるものが僕にはないことを知り
闇よりも深く沈んでいった

なりたいものにはなれないから何にもなれない
何にでもなれると思っていた日はすでに遠くなって

深く沈んだ僕のとなりに見栄があった
その見栄を使い生きてはみたが疲れるだけだった

いっそのこと
その見栄を捨てたらどうなるのかな

生活が大変だけど
少しずつなら変わっていけるのかな

その積ん読の本を少しずつ
読んでみたらいいことがあるかな

だから切り拓けよ
遅いなんてないんだからやればいいんだよ

つまらない見栄が苦しめていたのなら
振りほどけばいい

後悔があるならそれでもいいよ
忘れないで覚えていよう

見栄を張らずに生きていける
最高じゃないか

たどりつけよ どうかたどりついてくれ
その見栄を捨てて

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