コップは普通に持てるけども

 差異は日常の蓄積。その差を埋めようと小さな砂粒を注ぐ。
 私は左手で歯を磨く。実際は右利きだが、左手の筋力を上げるべくかれこれ10年以上続けている。だが未だに馴れない。左手だと奥歯の細かい凹凸が上手く磨けず、右手で仕上げ磨きをしたり横着をして最初から右手で磨いたりもする。
 大層な作業でなくてもいざ左手でこなそうとすると躓くことは多い。雑巾がけやビンの蓋を開けるなどは割合簡単だが、判子を捺したり急須のお茶を注ぐなどはスムーズにはいかない。単純な筋力だけでなく水平・垂直のコントロールが肝要な作業が難易を分けているようだ。
 そして今日も私は左手でボタンを押し、猫の喉を撫でている。

今日の英語:Dominant hand

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