全て遠ざかり夜と風の気配だけが
遥か彼方、静かでクリアだった時代を生きていた頃の遺伝子スイッチの揺れ。
今私は洞窟のようになった家で暮らしている。屋根と外壁の工事のため、家の周囲をぐるりと足場と飛散防止ネットで覆われている。加えて窓という窓に養生がされているものだから、昼でも家の中がぼんやりと暗い。
……森の奥、崖の下、垂れ下がる羊歯と蔓。霧雨、露の滴り、切れ切れの隙間から薄曇りの空を見上げる。小さな虫が飛んでいる、あとどれくらいで晴れるだろうか。
薄暗いが、何か守られているような安心感。内緒のような生活、夜は一層静かになる。
タイマーで消えていく灯り、音楽。沈む眠りの中でわにのゆめをみる。
今日の英語:Ancient times
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