無脊椎動物バイタリティ #2

 引き続きミルワームの世話について。
 ミルワームの成虫は床材であるふすまの中に卵を産むので、ミルワームを養殖し続けていくにはこれを棄てることはできない。なので

①幼虫ケースの床材を全て棄てる
②成虫ケースの床材を幼虫ケースに移す
③成虫ケースに新しく床材を入れる
④幼虫ケースに少し新しい床材を足す

という手順となる。
 これだけであれば算数の水の移し替えクイズのようだが、この①の後に挟まる作業が煩雑この上ない。
 床材を移す・棄てる際には“ふるい”を使って床材と生体を振り分ける。成虫は小型のものでも1cmはあるのでふるいを使って分別することに何の問題もない。しかし幼虫はかなりの割合が3mmほどのふるいの眼をすり抜けてしまう。リンさん(ヒョウモントカゲモドキ)が食べるサイズのものはふるいの中に残るので、この落ちていった幼虫は古くなったふすまとともに廃棄してしまっても養殖に支障はない。
 しかし生体の廃棄、それも外来種という問題がある。かつてこの古いふすまは他の生ゴミと一緒に庭に直接埋めていた。いくら自然から遠い都市部の日当たりの悪い庭であってもこのミルワームが定着しない可能性はゼロではない。かといってまだ生きている昆虫を可燃ゴミとして廃棄するのもあまりに業が深い。
 なので私は眼が1mmのふるいとピンセットを使って、可能な限りミルワームを古いふすまの中から拾い上げていた。それは文字通り「キリがない」うえふすまの粉末が舞い上がり、何故ミルワームなどを飼育しているのか自問自答の境地に至る作業であった。


今日の英語:Grains

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