土なくともその姿求め

 世の中で売られている様々な商品が日々進化しているが、明らかに進化したもののひとつに造花が挙げられる。
 見上げるような大輪の牡丹から100円均一ショップに並んでいるコスモスまで、一昔前と比べてあらゆる造花が精巧に進化している。いや花だけではなく、手のひらサイズのサボテンから人間の背丈を越すブドウ蔓まで、全ての価格帯のフェイクプランツの再限度が上昇している。
 私が物心ついた頃の造花といえば、トイレに飾られた、いろどり以外の役目を果たしていないあからさまな作り物だった。それも濃い緑色と原色の花の組み合わせのものばかり。大型でアート性の高いものは、鳥の羽やシルクなど、見映えはするが植物以外のもので作られたのが明らかなものだったように記憶している。それが今や遠目に見て分からないどころか触って花弁をめくらないと分からないレベルにまで到達している。造花製作の技術革新といった話は寡聞にして知らないが、より美しいものを作ろうと努力している人々がいるのだろう。
 それでも私は落葉のにおいを愛おしむ。


今日の英語:Artificial flowers

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